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2025年 MUSIC

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2025.1.14

マイケル・ランドウ
出演キャンセル


来週、ブルーノート東京に スティーヴ・ガッド・バンド の
ライヴを観に行く予定で、楽しみにしているのだが、
今日、ブルーノートからメンバー変更の発表があった。
マイケル・ランドウ (g) が、ロサンゼルス山火事の
影響を受け、出演がキャンセルになったというのだ。

ロスの山火事は、ニュースで観て、
大変なことになっているのは、知っていたけど、
ロスには知り合いもいないし、ちょっと遠いことの
ように思っていたら、影響が現れた。
もしかしたら、マイケルの家や機材が
焼失したのかも知れない。
心配だ。
こんな風に急に身近に感じるんだな。
そういえば、2018年のカリフォルニア州の
マリブの山火事では、リー・リトナーが
家とスタジオを失った。
100本のギター、40台のアンプも
焼失したという記事も読んだ。
自然災害の恐ろしさだ。

今年の山火事は、昨日13日時点でも
まだ鎮火していないようで
火災の死者は13日時点で少なくとも24人、
行方不明も23人だという。
日本は、ああいう山火事は起きないんだろうか。

マイケル・ランドウの代役のギタリストは、
トシ・ヤナギという日本人。
私は、知らなかったし、日本での知名度は
低そうだけど、1985年に渡米し、
21歳で MI (Los Angeles Musicians Institute) を
卒業し、アメリカで活躍しているギタリストだ。
たぶん、私より4歳か5歳ぐらい年下だろう。
知らんだけで、こんな人おるんやなぁ。

マイケル・ランドゥのキャンセルは残念だけど、
トシ・ヤナギがガッド・バンドでどんなギターを
聴かせてくれるのかも楽しみだ。

山火事のことは、早急な鎮火と復旧を祈る。





2025.1.18

奥平真吾 THE NEW FORCE +1



今年初めてのライヴは、ジャズ。
久しぶりに馬場さんのギターを聴きたくなり、
新宿ピットインへ
「奥平真吾 THE NEW FORCE+1」の
ライヴを観に行ってきた。
この「+1」が馬場さんとのこと。
調べてみると、馬場さんのライヴは、
2019年12月以来だったので、
なんと5年ぶりでビックリした。

奥平さん(Dr)のライヴは、初めてだったけど、
さすがに19年もの間、ニューヨークで
活動でしていただけあって、とても素晴らしい
熱いプレイが聴けた。
ギターの馬場さんはもちろん、
メンバー5人全員素晴らしかった。
ピアノの堀さんは、観たことがあったけど、
サックスの岡さん、ベースの落合さんはたぶん初。

奥平さんは、ニューヨーク時代、15年間、
カルロス・ガーネット(t.sax)のバンドにいたとのこと。
カルロス・ガーネットは、一昨年84歳で他界した。
「奥平真吾 THE NEW FORCE +1」の
最新アルバムは、昨年発表された、
カルロス・ガーネットに捧げた『The Big Brother』。
「The Big Brother」とは、カルロスのことだ。

今日は、そのアルバム収録曲を中心に演奏された。
『One for Carlos (奥平真吾)』、
『Catch Me If You Can (Carlos Garnett)』、
『U R D 1 4 Me (Carlos Garnett)』、
『Harvie’s Tune (堀 秀彰)』、
『Stop & Go (堀 秀彰)』など。
どの曲も良かったが、中でも印象に残ったのは、
岡さん作曲の『Birds Words』。
チャーリー・パーカーのフレイズをモチーフに
作られたというゴキゲンな曲。
アンコールは、古いスタンダードで 『Love Letters』。
1曲ずつ解説があるのは、ありがたい。
久しぶりの ピットインだったけど、外国人客が多かった。
東洋人、西洋人、合わせてたぶん3割ぐらい
いたんじゃなかな。


[ MEMBERS ]
奥平真吾 (Ds)
岡 淳 (Sax&Fl)
堀 秀彰 (Pf)
落合康介 (B)
馬場孝喜 (G)

@ PIT INN (新宿)





2025.1.24

STEVE GADD BAND
JAPAN TOUR 2025

featuring WALT FOWLER, TRAVIS CARLTON,
MITCHEL FORMAN, DUKE GADD & TOSHI YANAGI




今年の4月で、80歳になる、
スティーヴ・カッドのライヴに行って来た。
ブルーノート東京、合計6日間公演の初日の
2nd ショーだが、バンドはすでに愛知、
静岡、石川、北海道の公演を済ませての
ブルー・ノート公演だ。

メンバーとして来日予定だったギターの
マイケル・ランドゥが、ロスの山火事の影響で
キャンセルになり、急遽トシ・ヤナギという
米国で活動する日本人ギタリストが、
代役に抜擢された。
先日も書いたけど、私が知らなかっただけで、
世界で活躍している日本人はたくさんいるんだろうな。

さて、ライヴの方はというと、何度も観てきた
バンドだけど、期待を上回る素晴らしさだった。
上質で極上の音楽に浸ったという満足感がある。
今回は、ガッドの息子、デュークが
パーカッションとして参加。
故リチャード・ティーの書いた
『The Bottom Line』では、ヴォーカルを担当。
リチャード・ティーのような優しい歌声だった。

ギターのトシ・ヤナギは、さすがにマイケル・ランドゥの
トラだけあって、職人の技を披露してくれた。
前半、とても大人な、抑制されたプレイという
感じがしたのだけど『Green Foam』の
ブルース・ソロで爆発!
これが素晴らしいソロだった。
ギターは、ストラトキャスター。
ヘッドの形状から、Xotic かなと思う。
(目が悪くなって、ロゴが読めない。)

今日が誕生日だというキーボードの
ミッチ・フォアマンのプレイも良かった。
『Put It Where You Want I』では、
トロンボーンも吹いた。

トラヴィスは、いつも通りカッドの手元を
ガン見しながらのプレイ。
スティックがドラムやシンバルに当たる瞬間を
見逃すまいとしているかのようだった。
彼を見て父親(ラリー・カールトン)に似ていると
思ったことは、一度もなかったけど、
今日はある瞬間、ラリーとそっくりの目つきをしたよ。
また、トラヴィスはあまりベース・ソロを弾かない
イメージだったけど、今日はタッチワウなんかも
使って結構長めのソロを弾いた。
そのソロも良かったな。

個人的ハイライトは『Signed Sealed Delivered』に
おけるガッド親子のユニゾン・ドラム・ソロ。
覚えるだけでも大変そうなスネアのソロを
ふたりでバチっとユニゾンしてた。
この時は、素晴らし過ぎて泣きそうになったよ。

曲は、前述のもの以外では、
ヤン・ハマーの『Oh, Yeah!』、
『Way Back Home』など。


[ MEMBERS ]
Steve Gadd (ds)
Walt Fowler (flh,tp)
Travis Carlton (b)
Mitchel Forman (p,key,tb)
Duke Gadd (per,vo)
Toshi Yanagi (g)

@ Blue Note Tokyo
2nd show





2025.2.2

リンダ・ロンシュタット
サウンド・オブ・マイ・ヴォイス

Linda Ronstadt: The Sound of My Voice




2022年公開時、劇場で観たいと思いながらも
見逃してしまったリンダ・ロンシュタットの
ドキュメンタリー映画『リンダ・ロンシュタット
サウンド・オブ・マイ・ヴォイス』を 観た。

高校生の頃、リンダの『It's So Easy』が
大好きでシングル盤のレコードを買った。
当時のお小遣いでは、LP は中々買えなかったんだ

この映画は、リンダの生い立ちに始まり、
LA に出てバンド(トリオ)でデビュー、
その後、ソロになってからの活躍から、
パーキンソン病になり、思うように声が
出なくなり、引退することまでが描かれている。

ご本人はもちろん 登場人物は、ジャクソン・ブラウン、
ライ・クーダー、ドン・ヘンリー、ボニー・レイット、
ドリー・バートン、エミリー・ハリス、J.D.サウザー、
カーラ・ボノフなど 超豪華。
そのほかにも演奏シーンや写真では、
グレン・フライ、ニール・ヤングも。
ドリー・バートン、エミリー・ハリスとのトリオの
ライヴ(TVショー)では、バックバンドに
デビット・リンドレーやリーランド・スカラーらしき
姿も見え、ウエスト・コースト・ミュージック
ファンにはたまらない内容となっている。

若い頃、イーグルスはリンダのバックバンドだったと
雑誌で読んだような気もするが、
ドン・ヘンリーご本人の口からそのことが
語られるのを聴けることは貴重だろう。

リンダが、ただのカントリーロックや
ロックンロールに収まらず、オペラまで
歌っていたのは知らなかったので驚いた。
1983年にジャズ・スタンダードを唄った
アルバム『What's New』を聴いた時には、
まだ若かった私は、退屈だと思った。
オペラの公演中に母親が亡くなり、
死に目に会えなかったリンダは、
母親が好きだったジャズを唄おうと思ったのが
あのアルバムのスタートだったんだな。
レコード会社の反対を押し切り、
ネルソン・リドルに直接、編曲を頼み、
実現させたんだ。

オペラ、ジャズの後1987年には、
父親から教わった曲を歌いたいと、
自身のルーツでもあるメキシカン・ミュージックの
アルバム『ソングス・オブ・マイ・ファーザー /
Canciones De Mi Padre』をリリース、
ツアーを行った。
これも当初はレコード会社の反対にあったようだが、
リンダは決めたら突き進む人だったんだ。
結果、アルバムは歴代1位のスペイン語の
アルバムになったという。

ミュージシャンのドキュメンタリー映画というと
酒やドラッグ、異性関係などの
ダークサイドも描かれることが多い。
もちろん、その人の生き方が音楽に現れるのは
間違いないけれど、『ホイットニー
オールウェイズ・ラヴ・ユー』のように
ダークサイドに焦点をあてた映画は
観ていてしんどいし、観たくない。
本作は、リンダの恋愛についても触れているが、
あくまでも彼女の音楽が中心で、好感が持てる。

引退した彼女の言葉が印象的だ。
「たくさんの夢を叶えられて私は幸運だった。
死んだあとのことはどうでもいいの。
大事なのは存命中よ。
何をするか。どう生きるか。」

リンダは、現在 75歳。
最後には2019年に撮影された、
いとこと甥とのハーモニーが聴ける。

ところで『It's So Easy』は、リンダのオリジナルだと
思っていたら、1958年のThe Crickets
(バディ・ホリーがいたグループ)がオリジナルだった。
作詞作曲は、バディ・ホリーとノーマン・ペティ。
あまり売れなかったみたいだ。
1977年のリンダのカヴァーは、
ビルボード・チャートの5位に入った。
リンダのヴァージョンの方が、ややテンポが遅く
重たい感じで好きだな。


★★★★▲


2019年製作/93分/アメリカ
原題:Linda Ronstadt: The Sound of My Voice
劇場公開日:2022年4月22日

Amazon Prime Video で鑑賞





2025.2.9

TRES Ⅳ
沖仁×大萩康司×小沼ようすけ




昨日は、2年ぶりに「TRES」の
コンサートに行ってきた。
「TRES」は、フラメンコ・ギタリストの沖仁、
クラシック・ギタリストの大萩康司、
そして、ジャズ・ギタリストの小沼ようすけによる
ギタートリオ。

「TRES Ⅳ」とあるので、4年目なんだな。
2022年、2023年と聴きに行ったのに
なぜか昨年は行かなかったんだ。
2023年のエントリーに
「次回は同じヤマハホールでも、
1階席の前の方で聴きたいな」と
書いていたけど、それが叶い、昨日は
前から3列目という良い席だった。
覚えてないけど、たぶんチケットの発売と
同時に買ったんだと思う。

この2年間の間に「TRES」は発展を遂げていて、
ヤマハホールでのコンサートに留まらず、
昨年は、色んなところで公演をしたようだ。
今年も全国あちこちでの公演が
すでに決まっているらしい。

こういう企画を継続的に続けるのは、
色んな事情が絡んで難しいと思うのだけど、
単なる企画モノのトリオを脱し、
続けてもらえるのは、オーディエンスとしては
とても嬉しいことです。

このトリオの特長は、フラメンコ・ギタリスト、
クラシック・ギタリスト、ジャズ・ギタリストの
トリオということで、他では聴けない音楽が
奏でられること。
昨日、大萩さんが「今日が今までで一番、
それぞれの個性が際立っていると思う」と
言っていたけど、それは私も特に3人の
ソロ演奏を聴いて感じた。

トリオによる演奏でももちろん個性が出るのだけど、
ソロ演奏だと全くその人ひとりの世界で演奏し、
表現することになるので、フラメンコ、クラシック、
ジャズという それぞれの背景にあるものが
色濃く現れるように思う。

沖さんのソロ曲は、ご本人のオリジナル『カジャオ』。
カジャオというのは、25年ほど前沖さんが
住んでいたマドリードの街の名で、当時は
とても治安が悪く、危険なところだったらしい。
(今は違うと言っていた。)

大萩さんのソロ曲は、横尾幸弘作曲による
『さくらの主題による変奏曲』。
日本の伝統的な曲『さくらさくら』を題材にした
変奏曲で、目を閉じて聴いていると、
琴ではないかと錯覚するような部分もあった。
曲も演奏も素晴らしかった。

小沼さんのソロは、ご自身の『Around The Love』。
ディレイやルーパーも使っての演奏で、
ジャズの自由さと即興の面白さを表現していた。

このトリオの1年目2022年、小沼さんは
ふたりと同じくナイロン弦のギターだった。
翌年は、スチール弦のギターだった。
昨日、ご本人が話していたんだけど、
始まりのきっかけが、アコースティックギターの
イベントだったので、最初はナイロン弦で参加したけれど、
本来はエレクトリック・ギターの方がメインなので
そのことで葛藤というか試行錯誤があったらしい。
それで、2年目はスチール弦で演ってみたりしたらしいが、
結局、自分のメインのスタイルで 演ることが
良いということに行きついたんだな。
昨日聴いていて、それは大正解だと思った。
これで「TRES」が完成したんじゃないか、と思ったよ。

沖さんの乾いた硬質だけどリッチなトーン、
大萩さんのふくよかで深みのあるトーン、
小沼さんの甘くて太いメローなジャズ・トーン。
この、同じギターと言えども異質な3つのトーンが
うまく混ざりあい、溶けあい、そして、
影響し合い一つの楽曲が奏でられるんだ。
本当に素晴らしい演奏で、
最後のスタンディング・オベーションも納得。

なんでも、小沼さんのお母さんが
鎌倉でカフェをやっていたのを閉めて、
3月に八ヶ岳にカフェをオープンするらしく、
そこで合宿をしてきたらしい。

クラシックの大萩さんは、小沼さん・沖さんの
演る度に違う演奏がとても面白く刺激的なようで、
「リハーサルから全部聴いて欲しいぐらい」と言っていた。

個人的に一番良かったのは『アルハンブラの思い出』。
あの主題を大萩さんと沖さんがトレモロでハモる。
もともと好きな曲だけど、アレンジが素晴らしかった。
ぜひ、CD化して欲しい。

小沼さんのギターは(現在の?)メインギターだと
言う Abe Rivera のフルアコ。
ディレイ&ルーパーは、STRYMON の VOLANTE。
これ、良さそうだったな。
そして、ボリュームペダルは、私も所有している Shin's Music。
やっぱりそうでしょう、という感じ。



ギターアンプは、偶然にも この数日間、ずっと欲しいな、
欲しいなと思いながら、YouTubeで試奏動画を
観ていた Henriksen の The Bud SIX。
このタイミングで実物と出会うのは、やばいよなぁ。
やっぱりええ音で、また購買意欲が
上がってしまったけど、これがお安くないねん。
どうしようかなぁ。
まずは、手元のアンプを減らすことにしよう。


[ MEMBERS ]
沖仁 (gt)
大萩康司 (gt)
小沼ようすけ (gt)

@ YAMAHA HALL (銀座)

[ SETLIST ]
1. インビテーション(アサド兄弟)/トリオ
2. アルハンブラの思い出(フランシスコ・タレガ)/トリオ
3. カジャオ(沖)/沖 ソロ
4. さくらの主題による変奏曲(横尾幸弘)/大萩 ソロ
5. Around The Love(小沼)/小沼 ソロ
― 休憩 ―
6. 地中海の舞踏(アル・ディ・メオラ&パコ・デ・ルシア) /トリオ
7. Moun Ka Heley(小沼)/トリオ
8. ファンタスマ(沖)/トリオ
9. リベルタンゴ(ピアソラ)/トリオ
EC1. カバティーナ(スタンリー・マイヤーズ)/トリオ
EC2. ? /トリオ


[ 関連エントリー ]
2022.2.5 沖仁×大萩康司×小沼ようすけ "TRES”
2023.2.26 沖仁×大萩康司×小沼ようすけ "TRES Ⅱ"



余談。
実は、昨日のチケットを二度も購入してしまった。
2回目は、発売から大分日が経っていた。
席は、2階席だった。
二度目の購入後、「早く買わなかったから、
2階席やぁ、残念」と思ったのだけど、
それからしばらくして、
すでに買っていたことに気が付いた。
それが前から3列目だったんだ。
なんというマヌケ。
これも年を取った証かしらね。
2階席の方は、なんとかチケジャムで売ることが
出来たけど、もともと転売目的ではないし、
売れなかったら全額損なので、少し安くした。
それでも、売れるまでしばらくかかったけど。
昨日は満席で、チケットを持っていない人が
来ていて「満席?」と残念そうに帰って行っていた。
なんでも「TRES」の公演は、今まで全部
ソールドアウトなんだって。
大人気なのも納得の演奏です。

もうひとつ、余談ではないけど。
「アサド兄弟」というブラジルのギター・デュオが来日する。
結成60年という円熟のデュオだ。
その「アサド兄弟」と「TRES」も出演するコンサートが
4月24日にあるのだけど、その日は、
エリック・クラプトンのチケットを買っていて 大変に悩ましい。
アサド兄弟だけのコンサートも25日にあるのだけど、
その日は、東京フィルのコンサートのチケットを
買ってしまった。
うーむ、どうしたものか。
アサド兄弟は、どうも20年ぶりくらいの来日のようだし、
この機会を逃したら、生では聴けないかも知れない。
名古屋(4月29日)まで行こうか。





2025.2.10

小澤征爾

世界的な指揮者、小澤征爾氏が亡くなって
2月6日で一年だった。
そのためか小澤さん関連の記事が目に入ってきたり
テレビ番組をいくつか観たりしている。
そのこととは関係なく、たまたま小澤さんの
本を読んでいるところでもある。

名前ぐらいしか知らなくて、何がそんなに
凄かったのかを今頃になって知っている状態で、
なんというか、彼が生きている間に一度は
生で観ておくべきだったと、今さら遅い後悔をしている。
といっても、私の20代から50代の頃に
聴いていた音楽は、ロックやジャズが中心で、
クラシックは本当にわずかしか接していなかった。
つまり興味がなかったのだから仕方がない。
(この頃は、妙にクラシックが聴きたい。)

20歳ぐらいの時、あるミュージシャン
(女性シンガー)に、音楽をどうやっていったら
良いかという相談を電話でしたことがある。
彼女のお父さんは、ヴァイオリニストで
クラシック音楽の教育者だった。
私の父と一緒に仕事をしていた関係で、
父を通して、紹介してもらったような記憶がある。

その時のアドバイスで、明確に覚えているのは、
「ブラック・ミュージックを聴きなさい」だった。
彼女自身が黒人音楽の影響を受けていたのは
間違いない。
そして、話の中で彼女が言った言葉で、
なぜかずっと心に残っている言葉が
「クラシック音楽が一番」というような言葉だった。
正確には覚えていないのだけど
「クラシック音楽が一番 難しい」だったのか
「クラシック音楽が一番 芸術的」だったのか
「クラシック音楽が一番 高尚」だったのか
覚えていない。
ただ、私は当時、ロックが一番カッコイイ音楽と
思っていたときだったので「クラシックが一番」に
同意できず、その意味も分からなかったんだ。
今なら、彼女の言いたかったことも
私なりにだけれども分かる。
一番とか二番とか、順位を言いたかったのでは
ないだろうし、優劣を言いたかったのでもないだろう。
ロックやブルース、ジャズの表現がクラシックに
比べて貧しいなんて思わない。
でも、40人ぐらいから多ければ150人にも
なるというオーケストラを纏め上げることは、
4~5人のロック・バンドの比ではないのは明白だ。

昨日観た NHK の小澤さんのドキュメンタリーで、
彼がオーケストラを指揮する姿、
音楽と向き合う姿は、本当に感動的だった。
リハーサルで、楽曲を作り上げていく様子は
それ自体が別の作品として鑑賞に値すると思う。
そのうち、映画が作られるだろうな。

小澤さんは、「日本人が西洋の音楽を
どこまで理解できるのか」一生をかけての
実験だと言っていた。
実験は、大成功だったんだ。





2025.2.11

Tribute to Jeff Beck
by Char with HOTEI and Tak Matsumoto
featuring The Jeff Beck Band




2023年1月10日に急逝したジェフ・ベックの
トリビュート・ライヴが開催された。
出演は、Char、布袋寅泰、松本孝弘という
日本のロックギターを代表する3人に
バンドは、ザ・ジェフ・ベック・バンドだ。
メンバーは、ロンダ・スミス (b)、アニカ・ニールズ (ds)、
ジミー・ホール (vo)、ゲイリー・ハズバンド (kbd)。

3人のギタリストの名前が並んでいるけれど、
私の感想は、Charさんがメインで、あとのふたりは
ゲスト的な印象がぬぐえなかった。
アンコールをを含めて18曲中、演奏したのは
Charさん 14曲、
布袋さん 5曲、
松本さん 3曲。
(ふたりで演奏した曲と3人で演奏した曲が
あるので、合計は18曲を超えます。)
まあ、私は Charファンなので文句はないけど、
松本さん目当ての観客は残念だったろうなと思う。

休日の16時30分開演だったので、結構長く
(3時間位)演るのかなと思っていたら、
本編終了時で 90分。
アンコールを入れても1時間50分もなかった。
ちょっともの足りない感じもするけど、
リハーサルのこととか考えると こんなもんかね。

Charさんは今日も良かったけど、
布袋さんも 良かったなぁ。
Charさんとは、また違う「華」がある。
ギターのプレイもきれいだ。
一方で松本さんは、このふたりに挟まれると
見た目もギタープレイも、地味な印象。
弾いている姿もあまり表情豊かとは言えない。
まあ、彼はフロントマンではないから仕方ないね。

ギターは、Charさんはクリーム色のストラトキャスター
たぶんジェフ・ベックモデルじゃないかと思う。
『Little Wing』だけバーガンディミストの
ストラトに持ち替えた。
松本さんは、ゴールドのレスポールと、
アンコールでは黒いレスポール。
布袋さんは、Zodiac の布袋寅泰モデル。
『People Get Ready』のときだけ
黒いテレキャスターに持ち替えた。

去年、ロッド・スチュワートは、
『People Get Ready』を演らなかった。
聴きたかったのに。
まさか1年後、同じ有明アリーナで、
こんな形で聴けるとは思わなかった。

演奏には満足だけど、ステージ横の
モニターがコンマ何秒か遅れていて、
気持ち悪くて見ていられなかった。
特にドラムのときね。
16分音符分ぐらい遅れてるんやもん。
最近は、こういうモニターにも
ほとんどレイテンシーを感じなくなっていたのに
今日のはシステムのせいでしょうか。

あと、チケットが高いのは仕方ないのかな。
S席 22,000円、VIP席 35,000円(特典付)ですわ。
私は特典なんか要らないのだけど、
前で観たいから VIP席を買ったけど、
前から 33列目で、全然 VIP ちゃうやん。
その名前、やめて欲しいわ。
ロッドのときは「ゴールド席」やったな。
どっちでも同じようなもんやけど。
まあ愚痴ってもしゃあない。
ちなみに特典は、ロックグラスと VIPパス & ストラップ。

あと、隣の席のおっさんが酒臭いのよ。
なんか身体に染みついているような におい。
それに食べとるポップコーンのにおいが混ざって
独特なオイニ―を発しとった。


[ MEMBERS ]
Char (gt)
布袋寅泰 (gt)
松本孝弘 (gt)
The Jeff Beck Band:
Rhonda Smith (b)
Anika Nilles (ds)
Jimmy Hall (vo)
Gary Husband (kbd)

@ 有明アリーナ


[ SETLIST ]
<Char>
1. Led Boots
2. Beck's Bolero
3. Rice Pudding
4. Morning Dew
5. Wild Thing
<松本孝弘>
6. Cause We've Ended as Lovers
7. Too Much to Lose
<Char>
8. Superstition
9. Jailhouse Rock (監獄ロック)
10. Train Kept A-Rollin'
11. All Shock Up
12. Little Wing
<布袋寅泰>
13. Hammerhead
14. People Get Ready
<Char × 布袋寅泰>
15. Freeway Jam
16. Blue Wind
<Char>
EC1. Jeff's Boogie
<Char × 布袋寅泰 × 松本孝弘>
EC2. Going Down





2025.2.18

ボクの音楽武者修行
小澤征爾 著




小澤征爾さんが音楽之友社から、1962年に
出版した『ボクの音楽武者修行』を読んだ。

1959年、小澤さんが23歳の時、神戸港から
貨物船に載ってフランスに渡り、ブザンソンの
指揮者コンクールで1位になり、そこから急展開で
カラヤン、ミュンシュ、バーンスタインに師事するなどし、
1961年にはニューヨーク・フィルハーモニック副指揮者に就任。
コネも資金も、語学力もない若者が
世界の小澤になっていく、
輝かしい歴史のそのスタートの部分を
ご自身の言葉で語られる。

スクーターとギターを持って、貨物船に載せてもらい、
2カ月かけてフランスを目指すくだりは、
もう冒険小説でも読んでいるかのようにワクワクした。
本を読んでこんなにワクワクしたのは、
子供の時以来かも知れない。

1959年というと まだまだ一般の日本人が
外国に行くのは難しかった時代だ。
その時代にこんな破天荒なやり方で
ヨーロッパやアメリカで認められたのは、
小澤さんの音楽に対する情熱に他ならないが、
時代が良かったのかも知れないとも思う。
今なら、色んな規則が多すぎて、
この時代のようには行かないだろう。

そんな時代に海外に音楽の勉強をしに行くなんて
よほど裕福な家庭だったんだろうと思ったが、
そうでもないんだな。
小澤さんの音楽に対する情熱が、
周りの人たちを動かし資金をかき集め、
富士重工のバイクを手に入れ(そのために
東京じゅうかけずり回った」とある)、貨物船に
載せてもらいフランスに渡ることができたんだ。
そして、言葉の壁に阻まれ、色んなトラブルに
遭いながらも着実にステップアップしていく。

この本が、60年経った今もベストセラーとして
読み継がれているのは、小澤さんが辿った道、
その奮闘が、きっと多くの音楽家を目指す若者に
勇気と力を与え続けているからだと思う。

さて本書は、現在は新潮文庫になっているが、
もう文庫本の字は、小さくて読めないのと、
ある事情でオリジナルの音楽之友社版を
中古本で買った。
(50年以上の前のものにしては、
カバーも付いており、状態は悪くなかった。)

その事情というのは、哲学者の武田康弘先生の
ウェブサイト
に書いてあったこと。
武田先生は、1970年代にこの本を小学6年生の
読書会で使っていたらしいが、数年でやめてしまった。
その理由が、文庫化された際にある文章が
削除されてしまったことだった。

小澤さんがカラヤンの弟子になったくだりだ。

「 レッスンになると、カラヤンは指揮台の真下の
椅子に腰かけて、ぼくらが指揮しているのを、
じろっと睨むように見ている。
ぼくは睨まれると、カラヤンの音楽そのものを
強要されるような気がした。
そこで考えた。
こんなことをしているとカラヤンの亜流になってしまう。
カラヤンなにくそと思って、ぼく流の音楽を
作らなければいけないと固く心に誓った。


新潮社による文庫本では、上記の
青字部分
削除されているらしい。
(新潮文庫は、手元にないので未チェック。)

それに対して、武田先生はこう書いている。

「若き血潮ほとばしる小澤のこの決意の言葉が
抜け落ちた文章を通読すると、当時、
楽団の帝王として大きな政治力をもっていた
カラヤンへの賛美だけとなり、平板で面白味が
ないだけでなく、小澤の見方と決意=【魂】が
消されて、全体はまるで別物の印象となります。」

またそのページにある写真に添えられた説明文
「カラヤンの指揮でベルリン音楽祭の幕は
切っておとされた」が、「カラヤンの人気は
ヨーロッパ全体でもすばらしい」と
変えられているらしい。

もう一か所、「あとがき」の一部(6行)が
削除されていることも先生は指摘しているが、
これは私の入手した1973年の第十二刷では
すでに削除されていた。
「プライベートの話」とあるので、
音楽之友社の時代に削除されたのだろう。

クラシック音楽業界の政治的圧力なのか、
カラヤン賛美の現れなのだろうか、
何者かに対する忖度なのだろうか、
どういう力が作用したのかは想像するしかないが、
小澤さんの反骨精神を表した文章は、
消されてしまった。
確かに、今出版するとしたらOKではないだろう
表現も数か所あった。
例えば黒人のことを「黒ん坊」と書いていたり、
「土人」という表現を使っていたり。
もちろん差別の表現ではない。
これは、1960年代は今よりも鷹揚な時代だった
証にはなるが、カラヤンのくだりの削除とは話が違う。

その小澤さんの
「若き血潮ほとばしる小澤のこの決意の言葉」
が、書かれた本を読みたいと思って、
わざわざ古いものを取り寄せたんだ。

感想は、前述したようにワクワクする冒険小説の
ようでもあると同時に、知らないクラシック音楽業界を
覗き見ることができてとても面白かった。
フランスとドイツとアメリカのオーケストラの違いなんて
3つの国のオーケストラで指揮をしたことの
ある人にしか語れないだろう。
この違いはある種、各国の国民性とも繋がっていて
とても興味深い話だった。

1961年4月にニューヨーク・フィルハーモニーと共に
2年数カ月ぶりに帰国したところで本は終わっている。

ここからは、本には書かれていない話。
先日、TBSで深夜に放送されたドキュメンタリー
『解放区 小澤征爾 ~魂のタクト・奇跡の第九~』
では、小澤さんが、ブザンソンの指揮者コンクールで
1位になった際、司会者が「Seiji Ozawa」と
名前を呼ぶ映像が流れた。
こんな映像が残っていることに驚き。

1962年小澤さんはN響(NHK交響楽団)と
仕事をするが、アジアの演奏旅行中に
オーケストラの団員と小澤さんの間に
軋轢が生じ、N響側が小澤さんをボイコットした。
大変な事件に発展したようで、
「日本で音楽をするのはやめよう」と
思ったほど小澤さんにとってはショックだったらしい。
その理由は色んな記述があり、
何が本当かなんて分からないけど、
次に小澤さんとN響が共演するのは、
32年後の1995年になる。
もちろん1962年当時の楽団員はひとりも
残っていなかっただろう。

そのドキュメンタリーでは、1965年に再び帰国し
武道館で第九を振る映像も練習風景を含めて
収められていた。
武道館でクラシックというのも珍しいのではないかと思う。

明日は、小澤さんが作った、
「サイトウ・キネン・オーケストラ」の
ブラス・アンサンブルを聴きに行くよ。


★★★★▲





2025.2.18

デューク・ガッド

先月、ブルーノート東京で、父親である
スティーヴ・ガッドとの素晴らしい親子
ユニゾン・ドラム・ソロを聴かせてくれた、
デューク・ガッドが2月12日に逝ってしまった。

「住んでいたラスヴェガスで、鎮痛剤の
過剰摂取による」との記述を見た。
ジェフ・ポーカロが死んだとき、最初の
ニュースは「殺虫剤を撒いていて」
だったことを思い出した。
FBを見ていると「drug」という言葉が散見される。
事実は分からないけど、もしドラッグが
原因だとしたら本当に本当に残念。
デューク、お父ちゃんより先に逝ったらあかんやん。

スティーヴはさぞや悲しんでいることだろう。
ガッド家族に心の平安を。

合掌


2025.1.24 STEVE GADD BAND JAPAN TOUR 2025





2025.2.19

サイトウ・キネン・オーケストラ
ブラス・アンサンブル

セイジ・オザワ 松本フェスティバル特別公演




小澤征爾のスピリットを受け継ぐ
サイトウ・キネン・オーケストラ。
そのオーケストラの金管と打楽器セクションの
12名からなる「ブラス・アンサンブル」。
6年ぶりの全国ツアーらしいが、
その東京公演を観てきた。

もともと私が中学高校と吹奏楽をやっていた
ということもあるけれど、やっぱり、
ブラスバンドって良いなぁと思ったのでした。
活力が出てくるね。
ハーモニーがとてもリッチだし。

サイトウ・キネン・オーケストラといっても
世界からメンバーが集まっているので、
今日のメンバーも日本人以外にも
ハンガリー人、オーストリア人、チェコ人、
アメリカ人など国際色豊か。

打楽器の竹島さん(N響の打楽器奏者)が凄い。
パーカッションはもちろん、ティンパニ、ドラムセット、
マリンバ、そして ピアノまで。
一曲の中でもパーカッションとピアノの掛け持ちしてた。

知らない曲が多かったけど、とても楽しめた。
印象に残ったのは、サン=サーンスの『交響曲
第3番「オルガン付き」より終楽章』の
出だしの部分。
タイトルにあるように原曲は、オルガンが
入っているし、オーケストラが演奏するのとは、
違う感じなんだろうけど とても良かった。

アルカディ・シルクローバーの『フィガ』という曲での
ホルンとフリューゲルホルンの8バースも
ジャズっぽくて良かった。
調べてみたら、アルカディ・シルクローバーは、
存命のロシアのホルン奏者でクラシックから
ジャズまでこなす人のようだ。

このアンサンブルでは、クラシックだけに留まらず、
ピアソラやガーシュウィンなども取り上げ、
音楽のジャンルを感じさせないのも良かった。

アンコールは、スターウォーズの『王座の間とエンドタイトル』。
これが、感動的でとても良かった。
改めて、ジョン・ウィリアムスの偉大さを感じたね。
アンコールは続き『花は咲く』と『バードランド』。
『バードランド』はちゃんとリズムがバックビートに聞こえたし、
アドリブパートっぽいところもあって、ジャズに迫っていたよ。


[ MEMBERS ]
トランペット:ガボール・タルコヴィ、
ライナー・キューブルベック、高橋 敦、服部孝也
ホルン:ラデク・バボラーク、勝俣 泰、阿部 麿
トロンボーン:ワルター・フォーグルマイヤー、呉 信一
バス・トロンボーン:ヨハン・シュトレッカー
チューバ:ピーター・リンク
ティンパニ&パーカッション&ピアノ:竹島悟史

[ PROGRAM ]
1. ヤナーチェク:《シンフォニエッタ》よりファンファーレ
2. サン=サーンス:交響曲第3番「オルガン付き」より終楽章
3. ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ
4. プロコフィエフ:バレエ音楽「ロミオとジュリエット」より
― 休憩 ―
5. ピアソラ:《ブエノスアイレスのマリア》より
6. アルカディ・シルクローバー:フィガ
7. ジョージ・ガーシュウィン:《ポーギーとベス》より
EC1. ジョン・ウィリアムス:スターウォーズより
「王座の間とエンドタイトル」
EC2. 菅野よう子:花は咲く
EC3. ジョー・ザヴィヌル:バードランド

@ すみだトリフォニーホール





2025.2.26

ジャズ深掘りトーク・セッション
魚返明未 井上銘 石若駿 著




著者の3人は、全員間違いなく日本の
若手ジャズ・シーンの重要人物。
3人ともの演奏をライヴで聴いたことがある。
魚返さんは、たぶん一度だけだと思うけど、
あとの2人は、何度もライヴを観ている。

本書は、魚返さんと井上さんのトーク・セッションで
話したことを編集部がまとめたもの。
石若さんはほとんど登場しなくて、
別に取材をしたものをちょこっと書き足した感が否めない。
個人的な感想としては、何とは言えないのだけど、
この編集があまり良いとは思えなかったのは残念。
内容ではなくね。

「ミュージシャンが語るライブ・演奏・音源の愉しみ方」
とある通り、内容としては、これからジャズを聴く人、
ジャズに興味を持ち始めた人向けだろう。
どちらかというと私のような彼らの父親の世代が
読むのではないかなという印象。
別に知っていることばかりだったというつもりは
さらさらなくて、私もジャズに詳しいわけではないので
えらそうに言うつもりはない。
実際、後半の魚返さんの作曲家についてのくだりは、
とても興味深く 参考になった。
彼はかなり勉強されていて、ツウだと思う。
ただ、これまた何とは言えないのだけど、
前半はちょっと期待していたものとは違ったんだな。

ちなみに「魚返明未」、「おがえり あみ」と読む。
読めん。


★★★▲☆





2025.3.4

SF JAZZ COLLECTIVE
SF ジャズ・コレクティヴ




ブルーノートの会員になっていると
7回行くと招待券がもらえる仕組みになっている。
今回は、招待券の有効期限内に
特に観たいライヴがなかった。
いや正確にいうと来週はマイク・スターン、
再来週にはアルフレッド・ロドリゲスの
ライヴがあって、それらはすでに予約済みだった。
どちらかのライヴをもう一度観る、ということも
考えたのだけど、せっかくなので観たことのない
アーティストを観る機会にしようと思い、
何曲か音源を聴いたらゴキゲンだったので
「SF JAZZ COLLECTIVE」を選んだ。

「SF JAZZ COLLECTIVE」は、
オールスターによるアンサンブル。
ブルーノートの解説によると
「サンフランシスコの非営利ジャズ機関
“SFジャズ” の呼びかけで結成」とあるので、
「SF」はサンフランシスコのことだろう。
コンセプトは「ジャズの伝統を讃え、更新すること」
クリス・ポッター(sax)が、音楽ディレクターを務める。

編成は、セプテット(7人編成)。
ホーンが3人に、ピアノ、ベース、ドラムス、
そしてヴィブラフォンという編成。

最初にピアノのエドワード・サイモンが
挨拶し、メンバーを紹介。
たぶん、昨年で結成20年というような
話をしていたんだと思う。たぶんね。
1曲目からメドレーのように40分近く
ノンストップで演奏。
人数が増えれば増えるほど制約が増し
自由度がなくなるような気がするのだけど、
こういうレベルの人たちは、そんなこと感じさせない。
時折、ちょっと強面なヴィブラフォンの
ウォーレン・ウルフが、かわいらしい笑顔で
ピアノのエドワード・サイモンにアイコンタクトを取る。
何がそんなに面白いのか、楽しいのか分からないけど、
彼らの中では何かが起こっているのが分かる。

全員素晴らしかったなぁ。
特にピアノのエドワード・サイモン、
ドラムのケンドリック・スコットね。
この人、観たことがあるなぁと思ったら
2018年に渡辺貞夫さんのグループで観てた。
クリス・ポッターは初めて観たけど、
「現代最高峰のサックス・プレイヤー」とまで
言われるのもよく分かった。

「beautiful」という英語は、見た目が美しいという
こと以上の意味を含んでいると何かで読んだ。
これは「Beautiful Music」だわ。


[ MEMBERS ]
Chris Potter (music director, sax, b.cl)
David Sanchez (sax, perc)
Mike Rodriguez (tp)
Warren Wolf (vib)
Edward Simon (p)
Matt Brewer (b)
Kendrick Scott (ds)

@ Blue Note Tokyo
2nd show





2025.3.8

名もなき者
A COMPLETE UNKNOWN




1961年、無名だったボブ・ディランは、
ミネソタからニューヨークに出る。
そして、フォーク・シンガーとして
時代の寵児となる。

本作は、ディランがニューヨークに着いた
ところから始まる。
ディランは、入院中のウディ・ガスリーに会いに
行くが、偶然、そこにはウディの友人である
ピート・シーガーもいた。
その出会いをきっかけにディランは、売れていく。
映画は、1965年のニューポート・フォーク・
フェスティバルで、エレキギターを持ち観客の
大ブーイングを浴びるまでの物語。

ボブ・ディランを演じるのは、ティモシー・シャラメ。
5年かけて歌、ギター、ハープ(ハーモニカ)を
トレーニングしたという記述も読んだが、
アカデミー賞主演男優賞ノミネートも納得の演技。

ピート・シーガーを演じるのは、エドワード・ノートン。
確かにエドワード・ノートンなのだけど、
エンドロールのクレジットを読むまで気付けなかった。
すっかり歳を取ったんだな。
エドワード・ノートンというと、私には
『真実の行方』や『アメリカン・ヒストリーX』、
『25時』のイメージが強すぎる。
ジョーン・バエズ役には、モニカ・バルバロ、
ジョニー・キャッシュ役にボイド・ホルブルック、
ふたりとも雰囲気があって良かった。
ボブの恋人シルヴィ役にはエル・ファニング。
監督は、ジェームズ・マンゴールド。
『フォードvsフェラーリ』の監督だ。

時代が60年代前半ということで、
キューバ危機、ケネディ暗殺、ベトナム戦争、
公民権運動など、歴史的背景を知っている方が、
より理解が深まると思うが、さほど詳しくない
私のような浅い知識でも十分付いて行けた。

映画で描かれていることが全て事実だとは
思わないが、エレキギターを持って登場した
ディランに非難があったというのは有名な話。
フォークギター一本の弾き語りこそが
フォーク・ソングだと思われていて時代に
エレキギターを持ちこんだボブ。
今では、演奏形態ではもうジャンルを決められないし、
そんな聴衆も少ないだろう。
きっと、ディランがやったことは一種の革命で
その後のロックやポップ・ミュージックに
大きな影響を与えたのだろうと思う。

私のような特別、ディランのファンでない者でも
『Blowin' in The Wind(風に吹かれて)』は
もちろん知っているが、どちらかというと
ザ・バンドの『I Shall Be Released』、
エリック・クラプトンの『Knockin’ on Heaven’s Door』、
ダイアナ・クラールの『Wallflower』などのように
カバーで知った曲も多い。

140分はあっという間で、良かったのだけど、
ディランがエレキギターを持つに至る心境の
変化みたいな部分をもう少し丁寧に
描いて欲しかったと思う。
勝手なイメージを持たれ、期待に応えなきゃ
いけないことに嫌気がさしていたのは、
十分 分かったけどね。
そして映画を観て、ノーベル文学賞の授賞式に
欠席したことは改めて、さもありなんと思ったのでした。

IMAXで鑑賞(2500円)。


★★★★☆


2024年製作/140分/G/アメリカ
原題:A Complete Unknown
劇場公開日:2025年2月28日





2025.3.12

MIKE STERN BAND
featuring RICHARD BONA,
DENNIS CHAMBERS,
BOB FRANCESCHINI & LENI STERN




一昨年は9月、昨年は7月、そして
今年は3月と、コロナが明けて以来
1年も空けずに来日が続いている マイクスターン。
今年の来日メンバーは、昨年とほぼ同じだが
ベースがリンカーン・ゴーインズから
久しぶりのリチャード・ボナにチェンジしている。
今夜は、ブルーノート4日間8公演、
初日の 2nd ショーを観てきた。

マイクのライヴは、この20年ほどで 20回以上
観ているが、今日はその中でもかなり良かったと思う。
思うに、リチャード・ボナとデニス・チェンバースの
組合せがとても良い。

1曲目は、昨年と同じく奥方のレニを
フューチャーした曲。
『Wishing Well』におけるリチャードの
スキャットは、本当に美しい。
『KT』、『Tipatina's』では、デニ・チェンの
スリップ・ビートが炸裂。
信じられないプレイで一体どうやって
リズムを取っているのか全く分からない。
『Tnmble Home』では、ギター、サックス、
ベースによる高速リフのユニゾン。
アンコールは、ここのところ定番の
ジミ・ヘンの『Red House』。
マイクのロック魂が炸裂!

マイクは今年72歳になったし、
レ二は来月73歳になる。
レ二のギターは、時々微妙な気もするけれど、
こうやって夫婦でツアーを周れるのは、
幸せで素晴らしいことだろうなと思う。


[ MEMBERS ]
Mike Stern (g)
Richard Bona (b)
Dennis Chambers (ds)
Bob Franceschini (sax)
Leni Stern (g)

@Blue Note Tokyo
2nd show





2025.3.15

Flamenco guitar ⇄ Jazz guitar
公開マスタークラス
講師:沖仁 & 小沼ようすけ



一般社団法人 日本フラメンコ協会主催の
「新進フラメンコ芸術家等育成プロジェクト
Flamenco guitar ⇄ Jazz guitar
公開マスタークラス」に行ってきた。
会場は、多摩にある東京外国語大学の
プロメテウスホール。

講師は、フラメンコ・ギタリストの沖仁、
ジャズ・ギタリストの小沼ようすけ。
このふたりのライブには、何度も足を運んでいる。
たぶん小沼さんの方が回数は多いけど、
先日(2月8日)にもおふたりが共演する
”TRES Ⅳ” のライブを観た。

私は、その ”TRES Ⅳ” のライブで、
今日チラシを手にしたから来られたけれど、
おそらく、このイベントを知っていれば、
来場したかったアマチュア・ギタリストは、
たくさんいるだろうと思う。

主催は、日本フラメンコ協会で文化庁から
文化芸術振興費補助金の支援を受けての開催。
「次代を担い世界に通用する創造性豊かな
フラメンコ芸術家の育成を目的」ということで
簡単に言えば、ブロ・ミュージシャン育成の為の
補助金が出ているわけだ。
補助金のおかげで「集客にエネルギーを
使わないで済んだ」というようなお話しを
司会の方が言っていた。
なるほどそうかも知れないけれど、
もっと宣伝すればもっと多くの人が集まり、
日本のフラメンコの発展にも寄与したかも
しれないと思うと、なんとも悩ましい限りだ。

マスタークラスは、明日もあるのだけれど、
今日は2回休憩を挟んで、たっぷり5時間。
オーディションを通った履修生が5人。
彼らはギターを弾きながら受講する。
そして、私のような聴くだけというか
見学の聴講生が10人ほど。

内容は、チック・コリアの『SPAIN』と
スタンダードとも言える『黒いオルフェ』を題材に
フラメンコ・サイドからとジャズ・サイドからの
楽曲へのアプローチのレクチャー、模範演奏など。

私は、フラメンコの奏法には憧れたが、
これは一朝一夕にマスターできるテクニックでは
ないので、随分と前に諦めたのだけど、
やはり自分の演奏の中にあの技術があれば
もっと表現の幅が広がるのになぁと
思いながら聴いていた。

小沼さんのアドリブへのアプローチは、
沖さんも興味深々であれだけ弾ける人でも、
まだまだ学びたいし、ジャンルによって
アプローチが大きく違うのだなと思ったのでした。

とにかく、この内容で2,000円は安い!
5,000円でも良いと思ったよ。

明日は、朝から講座が2時間ほどで
休憩を挟んで、講師陣による特別ライブがある。
明日も講座は2000円で、ライブ鑑賞が 2000円!

会場に沖さん監修の Aranjues(アランフェス)の
フラメンコギターが2本置いてあって、
自由に弾いて良いとのことだった。



沖さんが「1本は20万円程で、1本は8万円程です。
音を聞いたら分かります」と言った。
(実際は税込22万円と9万9千円)
受講生のひとりがスタンドに置かれたままのギターを
開放弦のままボロロンと鳴らした。
すぐにどちらが22万円か分かった。
逆に言えば、違いがないようではあかんわな。
ボロロンと鳴らした彼は、22万円の方を持って、
講座に参加した。
聴講生もギターを持って来て良いと
予め案内があったのだけど、私は聞いているだけで
良いだろうと思いギターを持って行かなかった。
が、講義を聴いているうちに自分もギターを
弾いて確かめたくなった。
そんな時、沖さんがその安い方のギターを指差して
「良かったら弾いて下さいね」と言ったので、
ここぞとばかりにそのギターを手にした。
内心、これは若者の教育のための機会だから、
私のようなおじさんは遠慮した方がいいなと
思っていたのだけど、誰も手にせず
ギターが置いてあるのだから、弾かない手はないだろう。

クラシック・ギターや、ナイロン弦ギターと
呼ばれるものは何本も弾いた経験があるけど、
もしかしたらフラメンコ・ギターを弾くのは
初めてだったかも知れない。
見た目は似ているけど、微妙に違いがあるんだ。
休憩の時、件の受講生が22万円の方のギターを
置いたので、引き比べてみたところ、
私には安い方のギターがしっくりきた。
というか弾きやすかった。
音は確かに22万円の方が良かったんだけどね。
22万円の方は9万9千円のに比べて弦高が
高い上に、出荷後ネックが痩せたのかフレットが
出っ張っていて引っかかる感じだった。
22万円出してこれやったら、がっかりすると思う。
まあこれは個体差があるし、
調整すれば改善されることだけどね。
でも、なんだかその安い方のギターが好きになってしもたよ。

スタート前


小沼氏のギター2本


そういえば、小沼さんのギターアンプは、
”TRES Ⅳ” のライブの時、
「Henriksen の The Bud SIX」だったと
書いたのだけど、今日は「SIX」ではなく
大きい「TEN」だった。
もしかしたら、あの時も「SIX」だったかしら。

ところで、今日の題材だったチックの『Sapin』。
沖さんによると、スペインでは演奏されないらしい。
沖さんはスペインから帰国後、日本で
この曲をやろうと言われたけど、弾いたことが
なかったという。
確かにこの曲はフラメンコではない。
リズムは、ラテンっぽいし。
以前、この曲は「コンセプトがスペイン」だと
聞いたことがあるが、そう言われるとなぜか納得だ。
沖さんは「フラメンコの外の人がイメージする
スペイン」と言っていた。
なるほどな。





2025.3.16

Flamenco guitar - Jazz guitar
公開マスタークラス Day 2

講師:沖仁 & 小沼ようすけ


昨日に引き続き「Flamenco guitar - Jazz guitar
公開マスタークラス」に行ってきた。
今日のお題は昨日の続きで『黒いオルフェ』。

昨日も今日も「フラメンコにジャズを取り入れる」
というようなコンセプトを感じたが、
まあ、小沼さんが色んなネタを出してくること。
そして、現場で経験してきた話しがまた面白い。
やはりあのポジションにいるだけあって、
物凄い背景の奥深さを垣間見た。
沖さんは、やや控えめで謙虚な印象だけど、
フラメンコでやることは半端ない。
2人とも受講生からの質問にも丁寧に
応えていたのが、印象的だった。
ある受講生の質問に、正解があるかのようなものや
明らかにやり方ではない分野なのに
ハウトゥを尋ねるようなものがあった。
私の聞き方の問題かもしれないけど、
そんなことは、自分で考え、苦悩し、自ら発見するしか
ないだろうと思ったが、きっと私も若い頃なら
ああいう質問をしていたのかも知れない。
結局、マスターへの近道はなく、そのためには
練習と経験を重ねるしかないのだと思う。
こういう質問が出るのは、日本の学校教育の
マイナス面のように思うのは考え過ぎだろうか。

ライブの方は、1時間ほどだったけど、
沖&小沼デュオ、それぞれのソロ曲、
受講生を含んでのセッションと盛り沢山。
受講生4人は、今回の課題曲『スペイン』
『黒いオルフェ』にそれぞれふたりずつ参加。
受講生はたぶん20代30代だろう。
この中から次世代の名手が生まれると良いな。

今日は、講座とライブで2時間弱の
ランチ休憩を挟んで、5時間強。
2日間合計で約10時間ほど、
とても充実した、意義ある時間でした。


小沼さんのギター Abe Rivera と Henriksen のアンプ



昨日、書いた "Aranjuez" ギターのサイト。
Aranjuez con JIN OKI





2025.3.18

Believe ビリーヴ~夢を生きぬいて
上田正樹 著




キー坊(上田正樹)は、大好きなシンガーの一人だ。
そのキー坊の 2002年に発行された著書
『ビリーヴ~夢を生きぬいて』を読んだ。

彼の生い立ちについては、何も知らなかったけれど、
平凡な家庭ではなく、ちょっと複雑な家庭で
育っており、なるほど BLUES な人なんだと思った。

日本ではあまり知られていないが、
インドネシアでは、レザというシンガーとの
デュエット曲が、15週間連続チャートの
トップになったこともある。
日本の商業音楽シーンとは一線を画した
活動をしているアーティストなんだ。

本の発行元は、第三文明社という創価学会の
関連企業であることからも分かる通り、
キー坊は、創価学会の信者だ。
ミュージシャンや芸能人には、信者は珍しくない。

若い頃は、宗教に抵抗のあったキー坊が
なぜ創価学会に入信したのか、
そういう経緯も全て書かれている。
私は、創価学会以外の宗教も含めて
信仰を持とうとは、思っていない。
子供の頃から、宗教に対する抵抗があった。
しかし、本を読んで気が付いたのは、
若いころほどネガティヴではないということだった。
信仰を得て、人生が良くなった人は、
それはそれで良いやないか、と思うのだ。
若い頃は、そういう他人事に対してさえも
否定的な感情があった。
その背景が何かは、また別の機会に触れるとして
ああ、年取ったんたなと思ったのでした。

「死ぬ間際には『僕のやってきた音楽は、最後には
僕というジャンルだった』と絶対に思えるように」
という記述があったけど、すでに「上田正樹」という
ジャンルになっていると私は思う。
例えば、レイ・チャールズやスティービー・ワンダーは
リズムアンドブルースやソウル・ミュージックと
いうより、彼ら自身がそのジャンルになっている
アーティストだと思う。
誰もがそれを目指したいだろうが、
自分の名前が、ジャンルと呼べるアーティストは、
そう多くはない。
キー坊は、日本人にあって、その域に達している
数少ないシンガーの一人だと思う。
彼の歌をライヴで聴くたびに、
もはや「唄っていない」とさえ思う。

来月は、半年ぶりにキー坊のライヴに行くよ。


★★★★☆





2025.3.18

ALFREDO RODRIGUEZ TRIO



昨年9月にライヴを観たキューバのピアニスト、
アルフレッド・ロドリゲスが半年も開けずに
来日したので観に行ってきた。
当初は、昨年と同じメンバーで来日の予定だったが
ベースのヤエル・ヘルナンデスが来られなくなったようで、
代わりにスワエリ・ムバッペに来日。
紹介の時「フランス」と聞き取れたが、
フランス人なのかな。
スワエリ・ムバッペって、アフリカ人みたいな
名前だけれど。

ライヴは期待通り。
ラテンって 楽しくていいなぁ。
"Blueberry Fields” の途中のソロピアノも
素晴らしかった。
曲は、"Besame Mucho"、
"Guantanamera"、"Thriller" など。
"Guantanamera" では、客席大合唱。
簡単な歌詞の部分だけだけど、覚えている人が
多いことに驚いた。
というか、キューバ好きなら知っていて当然なのかもな。
"Thriller" は昨年も盛り上がったけど、強力だわ。
今日は、アルフレッド自ら、観客に立つよう
あおっていたよ。
アンコールでは "Fur Elise(エリーゼのために)"
などのメドレー。

アンコールを入れて70分弱だったので、
もう少し聴きたいなぁ。


[ MEMBERS ]
Alfredo Rodriguez(p)
Swaeli Mbappe(b)
Michael Olivera(ds)

@ Blue Note Tokyo
2nd show


余談。
"Guantanamera" は、いつどこで誰の
バージョンを聴いたのか分からないのだけれど、
ずい分前から知っているような感じのする曲。
調べてみると、1929年に初演された世界的に
有名なキューバの曲らしい。
1963年にピート・シーガーのカバーがヒットしたらしい。
ピート・シーガーといえば先日観たボブ・ディランの
映画『名もなき者』で、重要な存在として
登場していた。
演じていたのは、観終えるまでエドワード・ノートン
だと気付かなかった。
YouTube で探して、ピート・シーガ-のバージョンも
聞いてみたけど、白人のフォーク・シンガーが唄うそれは、
キューバン・ミュージックとはちょっと違う世界。





2025.3.23

ANDY TIMMONS BAND



6年ぶりの来日のアンディ・ティモンズを観てきた。
3日間6公演のファイナルショーだ。

アンディは、2016年も2019年も来日公演は
コットンクラブが会場だったのだけど、いずれも
1st show と 2nd show は、違う内容のライヴだった。
ファンには嬉しい、2つのショーの通し券があって、
別々に買うより安いセットで売られていて、
私は16年も19年も通しで2ショーを鑑賞した。
今回も同様に 1st show と 2nd show で
違うプログラムを組んでおり、通し券の発売も
あったのだけど、どうしようかと迷っているうちに
通し券は売れ切れてしまい、気が付いた時には、
2nd show しか売れ残っていなかった。

買えた席は、ステージの真横。
しかもアンディは、ステージ下手に立つのだけど、
私の席は上手側でやや遠い。
迷わずすぐにチケットを取れば良かったと後悔しても遅い。

でもライヴは、やはり観に行って良かったと思える満足度。
2nd show は、「Perfect World, Electric Truth,
Recovery and beyond!」というテーマだった。
『Plays Sgt. Pepper』、『Theme From A Perfect World』と
アンディ・ティモンズのソロ近作『Electric Truth』、
『Recovery』からの選曲ということで、"WInterland"、
"Love Greater Than Hate"、"On Your Way Sweet Soul"
などのほか、チャップリンの "Smile"、
クィーンの "Bohemian Rhapsody"、
日本語で歌う "Sukiyaki"(上を向いて歩こう)など。
『Plays Sgt. Pepper』からはやらなかったんじゃないかな。

ステージから降りなかったけど、
たぶんこれはアンコールだなというところまで入れて約70分。
アンディのギター・プレイは、メロディアスで 丁寧で
美しくてやっぱり好きだな。
ギターは、いつもの Ibanez。

英語が殆ど聞き取れないのだけど、
ジェフベックの話をしてから演った曲は、
ジェフ風のフレーズもあって、やっぱりそうだよね、
という感じでした。


[ MEMBERS ]
Andy Timmons (g,vo)
Mike Daane (b)
Rob Avsharian (ds)

@Cotton Club
2nd show





2025.3.24

THE BRIAN BROMBERG ACOUSTIC TRIO
with TOM ZINK & CHARLES RUGGIERO




今夜はジャズ。
ブライアン・ブロンバーグ(ベース)でした。
ブルーノートの会員サービスでミュージック・チャージが
半額だった。
ブライアン・ブロンバーグは、以前にライヴを観た覚えがあり、
「何をすんねん!」というソロだった記憶があるのだけど
いつだったのか記録を発見できなかった。
彼のリーダーライヴではなく、誰かのバンドで
観たのかも知れない。

メンバーは、ピアノにトム・ジンク、
ドラムスに東京が初めてだというチャールズ・ルッジェーロ。

エレキベースなら、指弾きで高速プレイをする
ベーシストが何人もいるけれど、コントラバスで
あんな風に弾ける人はそんなにいないんじゃないだろうか。
コントラバスのソロって、楽器が大きしい、
弦も太いし、ネックも長いのでどうしても
そんなに速く弾けない(と思う)。
早く弾いても、なんだか重たく聞こえるような気がする。
しかし、ブライアンのソロは、誤解を恐れずに書くと
聴いていて 軽い。
良い意味で軽い。
軽やかというか 軽快というか、軽い。

通常、ベーシストやドラマーに対して、
「あの人のプレイは軽い」というとき、ほぼ誉めてはいない。
薄っぺらいか、リズムが浮ついているか、
なんだかそういうニュアンスで良い意味ではない。
しかし、ブライアンのプレイは、とても良い意味で
「軽い」と感じた。
あの太い弦で、あの大きな楽器で奏でているとは
思えないような軽さがある。
「軽い」以外の表現がきっとあると思うのだけど
今思いつかない。

個人的に印象に残ったのは、1曲目の
「何をすんねんソロ」。
それから、ワルツの曲。
演奏後、60年か70年前のディズニーの曲と
言ったように聞こえたけど間違っているかも。
出だしを聴いて、一瞬『Someday My Prince
Will Come(いつか王子様が)』かなと
思ったので、確かにディズニーっぽい。
それから『My Foolish Heart』も良かったな。
アンコールは、ソロ・ベース。
演奏前のMCで「ビル・エヴァンス」「ダニー・ボーイ」
「1961年にレコーディング」「転調が美しい」
などと聞き取れた。
別の曲(長いイントロ?)を演ってからの
『Danny Boy』。
おそらく、ビル・エヴァンスのプレイに影響を受けての
アレンジだと思うだが、息をのむような美しさでした。

調べてみると、ビル・エヴァンスの『Danny Boy』は
1962年にリリースされた『EMPATHY』というアルバムに
収録されている。
ドラムはシェリー・マン、ベースはモンティ・バドウィッグ。
確かに途中転調している。
「1961年にレコーディング」と聞こえたのは、
私の聞き間違いかもしれない。

そのほか、知っていたか、曲名が聞き取れたのは、
モンクの『Straight, No Chaser』、
『Gloria’s Step』、『Full Circle』(たぶん)。

[ MEMBERS ]
Brian Bromberg (b)
Tom Zink (p)
Charles Ruggiero (ds)

@ Blue Note Tokyo
2nd Show





2025.4.7

RODRIGO Y GABRIELA
ロドリーゴ・イ・ガブリエーラ




激情ほとばしる魂の咆哮!
最強のギター・デュオ、9年ぶりの来日公演。
超絶テクニックに裏打ちされた強靭なライヴ・パフォーマンス!


これは、ウドー音楽事務所のロドリーゴ・イ・ガブリエーラの
来日公演情報ページのコピーだ。

ロドリーゴ・イ・ガブリエーラは、メキシコ出身の
男女アコースティック・ギターデュオ。
「イ」はスペイン語の「and」の意味なので
「ロドリーゴとガブリエーラ」という意味だ。

2006年にリリースされた、『激情ギターラ!』
(原題:Rodrigo y Gabriela)
というアルバムで世界的にも有名になった。
私もこのアルバムで知ったが、日本でのリリースは
2008年とあるから、2008年に知ったのかも知れない。
その時に買った CD がもう手元にはないので
国内版だったか輸入盤だったか今では分からないけど。

初めて聞いた時、結構衝撃だった覚えがあるが、
その後はほとんど聴かなくなっていた。
今回の来日を知って、これは一度はナマで
聴いておきたいと思ったのだが、
スタンディングのコンサートだったよ。

開場時間の18時に会場に到着。
スタンディングなので、整理番号順の入場。
私の整理番号は、136。
上手よりのステージから3列目の場所を確保したが、
開演まで約1時間、じっとしていなければ
ならないのはつらかった。
ひとりなので、トイレに行ったら
もうその場所はなくなってしまうだろう。
誰かと一緒にいればなんとかキープすることも
可能かも知れないけど。

10分ほどで隣りに立っていた2人組の女性の
ひとりが「足が痛い」と言い出した。
「おいおい、まだ開演まで50分ぐらいあるし、
始まったら(たぶん)2時間ぐらい立ちっぱなしだぜ。
大丈夫かい?」(と、心の中で呟いた。)
まあ、ライブが始まったら、足の痛みも忘れるだろうけど。
それにしてもこの動けずじっとしていなければならない
システムは、慣れないし、好きじゃない。

開演時刻を1分ほど過ぎて、オープニングらしき
音楽が鳴り出した。
それをBGMにふたりが登場するのかと思ったら、
1曲まるまる流したので4分ぐらいかかった。
じらしよるなぁ。

ようやくふたりの登場。
ふたりともヤマハのギターを使用していているのは
知っていたけど、特にガブリエーラの NCX が良い。
たぶん旧モデルだと思うけど、ロドリーゴの NTX
よりもナチュラルな音がしていた。
ちょっと前から急に NCX が気になり出していた
ところだったので、ますます欲しくなったよ。


(スマホの写真撮影はOK)

ロドリーゴが、メロディやソロを
ガブリエーラがバッキングを担当。
このデュオは、ガブリエーラの叩き出すリズムで
8割ぐらいカラーが決まっていると感じた。
文字通り、ギターを叩く叩く。
ガブリエーラのバッキングは、ひとりで
何役もこなしているように感じた。
私的にはソロを弾くロドリーゴよりも
完全にガブリエーラに心を奪われたね。



ガットギターでこんなに激しいデュオは
彼らのほかにはいなかったかも知れないな。

ロドリーゴは、数曲でエレキギター
(Fender JAGUAR)を使用。
エレキギターとガットギターでも
こんなに合うのかと思った。



よく聴いていると数曲で、効果音や
シンセのパッドのような音が聴こえていた。
ステージ上には、ギターアンプもモニタースピーカーも
なく、ふたりともイヤモニだったので、
クリックも鳴っていて、それらを流していたと思われる。
基本的にステージにいない楽器が鳴っているライブは
好きではないけど、今日はとても自然に聞こえて良かった。
本当にふたりだけの演奏でもガブリエーラの
伴奏はバンドのように聞こえたよ。



アンコールを入れて、1時時間45分ぐらい。
彼らも9年ぶりの来日をとても喜んでいるのが
伝わってきたし、観客も大盛り上がりだった。
ギター2本だけで、しかも歌なしであれだけ
盛り上げられるのは、凄いよ。
最後にはなんだか感動してしまった。
今回の来日公演は、東京と大阪、各1回のみ。
大阪公演(明日)は、会場がバナナホールらしい。
そのあと、彼らはオーストラリアを7公演 廻る。




[ MEMBERS ]
Rodrigo Sanchez / ロドリーゴ・サンチェス (gt)
Gabriela Quintero / ガブリエーラ・クインテーロ (gt)

@ 恵比寿ザ・ガーデンホール





2025.4.9

SILVIA PEREZ CRUZ
&
SALVADOR SOBRAL




昨年に続き来日したスペインの歌姫、
シルビア・ペレス・クルスを観てきた。
2018年の初来日以来4度目の来日だが、
昨年同様、今日も 1stショー、2ndショーを
続けて観たよ。
それほどまでにお気に入りのシンガーなのだ。

毎回違ったプロジェクトで来日しているが、
今回は「シルビア・ペレス・クルスと
サルヴァドール・ソブラル」という名義でのライヴ。
5月に発売予定の CD があるのだが、
この来日公演がワールド・プレミアなのだ。

今回の来日を知ったとき、この動画を観て
これまた心をつかまれたのだった。

Silvia Perez Cruz - Em moro - ft. Salvador Sobral

声だけでこんな豊かで、荘厳で、繊細で、
慈愛に満ちた 美しいハーモニーが存在するんだな。
歌い終わった後の、サルヴァドールの表情と涙が
この時が特別であったことを物語っている。
何か癒しの力のある特別な倍音が出ているんじゃないかとも思う。

ライヴはふたりきりではなく、ギターやチェロの
メンバーを含むクインテット。
チェロのマルタ・ローマは昨年の来日メンバーでもあった。

1st ショーはやや後ろの方の席で、2nd ショーは
中央の前から3列目で観たのだが、
こんなにも臨場感が違うものかと思うほど違う。
昨年も同じような体験をしているので、
知ってはいるけれど、伝わって来るバイブレーションが
全然違うのと、ステージに近ければ近いほど
音楽に浸れる感じがある。

1曲目のみ、シルビアとサルヴァドールとチェロの3人で
あとは、5人の演奏なのだけど、この人達の
演奏がほかの誰かのライヴとは何が違うのか
観ていて気付いた。
彼ら自身が自分たちの音楽を聴いているんだ。
それは他のミュージシャンでもそうなんだけど、
上手く言葉にできないが、ちょっと次元が違うというか。
例えば、チェロのマルタ・ローマは、演奏しながら、
シルビアやサルヴァドールをまるで観客のように
見つめ、どっぷりとその音楽に浸かり、いや、
音楽の中に溶け込み、そして演奏しているように見えた。
サルヴァドールも何度もシルビアの歌に歓喜している
ように見えたし、とにかく、全員からプレイすることの
歓びがにじみ出ているんだ。
互いを讃え合い、リスペクトしていることが
伝わってくるんだ。

これは、数多くライヴに行っている私でも稀な
ことなので、体験してみないと伝わらないと思う。
厳かで、歓びがあって、平和で、愛に満ちている。
そんなステージでした。

サルヴァドールは、ポルトガル人で、来日は初めて。
もの凄く色んな声を出していた。
ギター、マンドリン、バンジョーのセバスティア・グリスは、
なぜか日本語が少し話せる。
もう一人のギター、ダリオ・バロッソは、ギターは
フラメンコギターでとても繊細で美しいギターを弾く。
チェロのマルタは、ベースの役割をしたり、
アルペジオを弾いたり。
このクインテットでは、かなり重要。
そして、シルビアの重厚で情熱的な魂の歌声。
何度聴いても素晴らしい。

残念なのは、MC の英語がほとんど分からないこと。
その中でも聞き取れたのは、シルビアは
「誰かと一緒に唄うのはとても難しいのだけど、
サルヴァドールと一緒に唄うのは、とても簡単」
だと言っていた。
あれだけ、息が合って、共鳴し、ハーモニーが
溶け込むのだから、そうなんだろうな。
サルヴァドールは、「アルバムが5月に出るのだけど、
今日ここで予約できるよ」と言っていた。
私の聞き間違いでなければ。
その CD のワールドプレミア公演ということもあって、
彼らは本当に心から楽しんでいるようだった。

曲は、スペイン語はもちろん、英語の曲も。
フレンチソングと言って唄ったのは、
フランス語だったように聞こえた。
ブラジルの曲と言って演ったのは、
ポルトガル語だったのだろうか。
そして、アンコールは 1st ショーも 2nd ショーも
何と日本語で『上を向いて歩こう』。
これも美しいハーモニーで。

そういえば、スペインの曲と言って演った曲が
メキシコの曲だと言われても信じるだろうという曲調で
「メキシコみたい」と思いながら、聴いたのだけど、
考えてみれば、それは逆でメキシコの音楽が
スペインの影響を受けているんだよな、きっと。


[ MEMBERS ]
Silvia Perez Cruz (vo, key)
Salvador Sobral (vo, key)
Marta Roma (vc, voice)
Dario Barroso (g, voice)
Sebastia Gris (g, banjo, mandolin, voice)

@Blue Note Tokyo
1st show and 2nd show




これは今回の来日公演のフライヤーなどに使われている
写真だけど、なんかちょっとB級サスペンス映画の
ポスターみたい。
この写真の印象と音楽は全くかけ離れているんやけど
なぜ、この写真を……


[ 関連エントリー ]
2018.5.7 SILVIA PEREZ CRUZ
2018.5.12 SILVIA PEREZ CRUZ
2019.10.8 SILVIA PEREZ CRUZ & MARCO MEZQUIDA
2019.10.11 SILVIA PEREZ CRUZ & MARCO MEZQUIDA

2024.4.8 SILVIA PEREZ CRUZ presents "Toda la vida, un dia"





2025.4.10

上田正樹&内田勘太郎
with Yoshie.N

「Singing the Soul&Play the Slide




約半年ぶりのキー坊(上田正樹)。
今日は、ギタリスト内田勘太郎さんと。
ありそうでなかった組合せだな。
もっとも、初共演ではないだろうと思うけど、
Yosie.N と3人で演るのは、先日の
横浜でのライヴが初で今日が2回目だと言っていた。

ハコは、目黒のブルースアレイジャパン。
ここは、地下のライブハウスなのだが、観客席の
真ん中あたりに1メートル四方ほどある柱があって、
席によっては、その柱が邪魔でとても見にくい。
今回は予約したのが遅かったせいか
案内された席はその柱でステージの一部が見えない。
途端にテンションが下がる私。
これで、他の席と同じ料金というのは解せないが、
文句を言ったところで、満席のようだったので、
席を替えて貰える訳でもあるまい。
きっと今までにもその事でクレームを言った客はいただろう。
それでも建物の構造上仕方がないと言われれば
それまでだが、見にくい席は料金を下げるなどは
できると思うんだけどどうだろう。

テンションが下がったんだけど、
始まってみたら、3人とも ちゃんと見えたので、
そんなに言うほど悪くはなかった。
キー坊が、ピアノを弾くときだけちゃんと見えなかったけど。

キー坊のギタリストといえば、有山じゅんじ。
それから、死んでしもた石やん(石田長生)、
昨年も共演を観た山岸潤史などが思い浮かぶ。
全員、非常に個性的だが、本日の勘太郎さんも然り。
かなり自由です。
勘太郎さんのギターは、Kヤイリ。
キー坊は、ギター(セミアコ、たぶんシェクター)とエレピを演奏。

曲は(曲名が分かるものだけで)、
『Imagine』(ジョン・レノン)
『Geogi on My Mind』(レイ・チャールズ)
『Honky Tonk Women』(ローリング・ストーンズ)
『Help』(ビートルズ)
『Something You Got』(ウィルソン・ピケット)
『悲しい色やね(Osaka Bay Blues)』などの他に
『ベートーヴェンの第9』をブルース風に。
凄いわ、ベートーヴェンからストーンズまでやで。
Yosie.N をフューチャーしては、
『Oh Darlin'』(ビートルズ)
『People Get Ready』(カーティス・メイフィールド)
『Nobody Knows You When You're Down And Out』
(ベッシー・スミス)
勘太郎さんは、2部の始まりでソロ・ギターを2曲。
1曲は『Susie Q』かな。
アンコールは、『Midnight Hour』(ウィルソン・ピケット)
『Stand By Me』(ベン E. キング)。

『悲しい色やね』と
『Nobody Knows You When You're Down And Out』
では、ゲストでピアノの堺敦生を迎えて。
これは、もともと予定されていたものなのか、
ライヴを観に来た堺さんをステージに上げたのか
分からん感じやった。
2曲目『Nobody Knows You When You're Down
And Out』は、ぶっつけみたいだった。

その堺さんの伴奏で Yosie.N がニューアルバム
(カヴァー・アルバム)を出すらしく、先行で
販売していたので買ってきた。
Yosie.N を初めて観たのは、もう10年以上前だけど
もの凄く良くなったと思う。
彼女のライヴを観に行きたいと思うようになったもん。
キー坊が「次世代の日本を代表するソウル・シンガー」
といつも紹介するのだけど、本当にそんな感じがしてきた。
上田正樹が師匠だからね。

ドラムやベースがいなくても、腰が動く。
変な言い方やけど、R&B が基本やなぁと
再確認したようなライヴでした。
キー坊は、今年76歳になる。
声は全く衰えていない。
まだまだ元気でソウルを聴かせて欲しい。

そうそう、アメリカ南部では、Vネックの
アンダーシャツが売っていないらしく、
胸の開いたシャツとスーツを着るときに困るそうな。
それで、キー坊がベン E. キングに日本製の
Vネックのアンダーシャツをプレゼントしたら、
もの凄く喜んで「Best of My Life」とまで
言ったという話は面白かった。


[ MEMBERS ]
上田正樹 (Vo/G)
内田勘太郎 (G/Vo)
Yoshie.N (Vo)
guest:堺敦生 (P)

@ BLUES ALLEY JAPAN





2025.4.14

ERIC CLAPTON
エリック・クラプトン 第一夜




つい先日、80歳の誕生日を迎えた
エリック・クラプトンの来日公演がスタートした。
一昨年(2023年)の来日時、
これが最後だろうと思った私は、
6回の武道館公演を全て観た。
しかし、彼は再びやって来たのだ。
今年は2回の追加公演を含めて8回公演。
前回同様、東京 武道館のみの公演。

当初、来日公演が発表された時は、
6回だったので、これはケチったらあかんと
思い、全公演のチケットを取った。
そのあとで、追加の2公演が発表された。
もしかして、来日最後のライヴを見逃すなど
あってはならぬと思った私は、
その追加公演もチケットを取った。
まあ、ロンドンまで観いくことを思えば
安いもんだと自分に言いきかせ。

今日は、その来日公演第一夜。
一昨年も6回観て、日によって
様々な思いを抱いたことを覚えている。
80歳のじいさんに多くを望んではいけないと
はやる気持ちを抑えて会場に足を運んだ。



1曲目『White Room』のイントロで
泣きそうになるが、ギターソロでは
「エリックさん、どないしはったん?」と
言いたくなるようなミス。
その後も数曲で、激しいミストーンや
『Winderful Tonight』では、イントロ終わりで
マイクと離れすぎていて唄い初めに
慌てて動き、笑いを誘うシーンもあった。

が、『Badge』のソロは、エリックもドイルも
ティム・カーモン (key) のソロも良かったな。
あと『Old Love』のソロも良かった。
声は、全く衰えを感じなかった。


開演前

今回のステージは、ステージの上に6つの
モニターがあってとても観やすい。
6つのモニターには、同じ映像だったり、
違うメンバーが映ったりする。
ただ、ドラムのソニー・エモリーのアップの
映像だけが、明らかにレイテンシーがあり
観ていて気持ち悪かった。
正面から撮っているカメラでエリックの
後ろに映っているときは遅れていないので、
あのソニー・エモリー専用のカメラの信号だけが
遅れているように感じた。

モニターの画面は明るいのだけど、
ステージ上にはスポットライトは当たっておらず
やや暗いのが気になった。
もしかしたら、照明を当てられない事情でもあるのだろうか。

エリックは、黒い(もしかしたら濃い紺かも)の
ストラトキャスター。
アコースティック・セットでは、マーティンのOOOタイプ
数本と12弦ギターを使用。
12弦ギターは、『LOCKDOWN SESSIONS』の
時のもの(ギターテックのダン製作)だろうか。
ネイザン・イーストは、ヤマハのベース。
アコースティック・セットでは、コントラバスを演奏。

ニューアルバム『Meanwhile』からは
アコースティック・セットで『The Call』を演奏。
今日は全17曲中9曲がブルースやったわ。

MCでちょっと喋ったんだけどほとんど聞き取れず。
「Mr. Udo」「opportunity」という言葉が
聞き取れたので、たぶんだけど ウドーさんの
おかげでまた来日できた、という話だったのかな。

一昨年にも感じだことだけど、高齢になったエリックは、
もう立ってロックをやるのはしんどいんとちゃうかな。
座ってアコギで唄う方が、今のエリックには
合っているような気がした。

今日の席は、アリーナのかなり後ろの方。
でもモニターのおかげであまり不満はない。

今日は、80歳になっても来日してくれたことだけで
感謝だ。
あと7回も観られることにも感謝。


[ MEMBERS ]
Eric Clapton (g,vo)
Nathan East (b, vo)
Sonny Emory (dr)
Doyle Bramhall II (g,vo)
Chris Stainton (key)
Tim Carmon (key)
Katie Kissoon (vo)
Sharon White (vo)

@ 武道館

[ SETLIST ]
( Electric set )
01. White Room
02. Key to the Highway
03. I'm Your Hoochie Coochie Man
04. Sunshine of Your Love
( Acoustic set )
05. Kind Hearted Woman Blues
06. The Call
07. Motherless Child
08. Nobody Knows You When You’re Down and Out
09. Golden Ring
10. Tears in Heaven
( Electric set )
11. Badge
12. Old Love
13 Wonderful Tonight
14. Cross Road Blues
15. Little Queen of Spades
16. Cocaine
( Encore )
17. Before You Accuse Me





2025.4.16

ERIC CLAPTON
エリック・クラプトン 第二夜




80歳のエリック・クラプトン来日公演の第二夜。
武道館公演は、今日が104回目だという。
これは、単独公演では 157回の矢沢永吉、
129回の松田聖子に次いで第3位になるそうな。
ちなみに第4位は103回の THE ALFEE。

エリックは、今回の来日全公演が終わると
日本では通算230公演となるらしい。
そのうち武道館が、110回となる。
私は、大阪在住時代に、厚生年金会館大ホール、
フェスティバルホール、大阪城ホールの
コンサートも体験している。
武道館以外で観られたというのも
今では大切な想い出となった。

さて、今日は、スタンド席1階。
南西の6列目。
一昨日のアリーナ席より数メートル、ステージが
遠くなったのだが、上からなので観やすい。
ステージの上の6つのモニターがとても良い。
一昨日にも書いたけど、ステージ上が薄暗く
見えるので、このモニターばかり見てしまいがち。


開演前

セットリストは、一昨日とほぼ同じだが、
アコースティック・セットに変化があった。
『Nobody Knows You When You're Down and Out』
と『Golden Ring』の2曲演奏されず、替わりに
ネイザン・イーストがヴォーカルを取って
『Can't Find My Way Home』。
(この曲は、ブラインドフェイスでは、スティーヴ・
ウィンウッドが唄っていた。)

なので1曲減ったのだけど、終わってみれば
時間は一昨日と同じ、1時間45分のショーだった。

演奏は、一昨日より今日の方がかなり良かった。
リラックスしていたのだろうか、
エリックの笑顔も多かったように感じたし、
ズッコケそうなソロのミスもなかった。
以前、ツアー1日目のエリックは、あまり良くないと
読んだことがあるような気がするが、こういうことなのかもな。
特に『Old Love』のソロはかなり良かった。

今日は、なんだか『Tears in Heaven』が染みたな。
この曲は、1991年に当時4歳半で亡くなった
エリックの息子コナーに捧げた曲だ。
(コナーは、アパートの窓から転落するという
事故で亡くなった。)
1986年発売のエリックのアルバムは
『August』だった。
その年の8月にコナーが生まれたので、
アルバム・タイトルを『August』にしたんだ。
そのコナーが生きていたら、今年で39歳だ。

『Tears in Heaven』を聴きながら、
こうして、エリックはステージでこの曲を唄うたびに
コナーのことを想い、偲んで来たんだなと思った。
この曲のイントロが始めるとひと際大きな拍手が
起きるが、たった4歳半で旅立ったコナーの
存在の大きさを思わずにはいられない。

エリックのギターは、一昨日と同じと思われる
ブラックのストラトキャスター。
ソロの時は、ミッドブーストを上げているのがよく分かる。
アコースティック・セットでは、一昨日は
「マーティンのOOOタイプ数本」と書いたのだけど、
今日はOOOタイプは1本ではなかったか。
それが、ヘッドにはマーティンのロゴがなく、
12弦と同じような丸いロゴマークが入っていた。
あんなに会場内にも外にもマーティン(というか
黒澤楽器か)のブースが出ているのに
本人がマーティンを弾いていないなんてことが
あるのだろうか。
12弦もやはりマーティンではないだろう。
(2025.4.24 追記)
OOOタイプは、マーティンの「OOO-42K Goro's」で
あることを確認しました。


ドイルのギターは、チェリーとナチュラルの ES-335が2本。
アコースティック・セットでは、おそらくマーティン。
そして、数曲で塗装の剥げたストラトキャスターを使用。
これは、一昨日は登場しなかったんじゃないかな。
このストラトでソロを弾いたのだが、個人的には
エリックのストラトより好きなトーンだった。
相変わらず、弾いている姿は独特。
(彼は左利きだけど右利きのギターの
チューニングのまま弾いている。)

さて、あと6公演。
あっという間に終わるんだろうな。
次回は、明後日18日。
いまだ演らない『Layla』は聴けるんだろうか。




[ MEMBERS ]
Eric Clapton (g,vo)
Nathan East (b, vo)
Sonny Emory (dr)
Doyle Bramhall II (g,vo)
Chris Stainton (key)
Tim Carmon (key)
Katie Kissoon (vo)
Sharon White (vo)

@ 武道館

[ SETLIST ]
( Electric set )
01. White Room
02. Key to the Highway
03. I'm Your Hoochie Coochie Man
04. Sunshine of Your Love
( Acoustic set )
05. Kind Hearted Woman Blues
06. The Call
07. Motherless Child
08. Can't Find My Way Home
09. Tears in Heaven
( Electric set )
10. Badge
11. Old Love
12. Wonderful Tonight
13. Cross Road Blues
14. Little Queen of Spades
15. Cocaine
( Encore )
16. Before You Accuse Me





2025.4.18

ERIC CLAPTON
エリック・クラプトン 第三夜




80歳のエリック・クラプトン来日公演の第三夜。
武道館は105回目の公演で外国人アーティストの
最多記録を更新中だ。

アリーナ席、1階席と観てきたが、
今日の席は、スタンド 2階 東。
B列だったので前から2列目かと思ったら
1列目でこの3回ではステージが一番近かった。
舞台袖も見えたので今まで分からなかった
ことも見えてきたよ。
前の2回が西南側だったけど、今日は
ステージを上手側から観る形になり
これもまた違う感じだった。

前2回は6つのモニターが良く見えたので
楽しめたけど、今日は6つのうち 4つしか見えず、
そのうち2つは角度が付きすぎていて
見ていられないし、一つはもろにスピーカーが
重なっていて見えない。


開演前

まともに鑑賞できるモニターはひとつだけという状況。
これは残念だったが、その代わり、ステージが近いので
直接ステージを観る時間は今日が一番長かった。


開演前

演奏は、一昨日と同じような印象で、軽微なミスは
あるものの初日のようなズッコケ感はなく、特に
『Old Love』、『Little Queen of Spades』あたりの
ソロは良かったと思う。

セットリストは、ほぼ同じだったが、
アコースティック・セットで
『Can't Find My Way Home』のあとに
『Nobody Knows You When You’re Down and Out』
を演った。
前回の16曲から1曲増えたのか、と思いきや
なんと『Wonderful Tonight』を演らなかった。
アンコールは、『Before You Accuse Me』で3日間同じ。
今日も『Layla』は演らず。

不満げに書いているようだが、不思議と全く
不満はなく、なんだか満たされている自分がいる。
一昨年の来日が最後だと腹をくくっていたところに
今年の来日は、もうご褒美のようなもの。
おまけにそのご褒美8公演を全て堪能できる
贅沢な歓び。
もう来日してくれたことへの感謝しかないのだな。

これもエリックが親日家であることに加えて、
ウドー音楽事務所との長い人間関係の賜物でしょう。

今日は、ステージ上手のステージ袖まで
しっかり見えたので、分かったことがある。
あくまでも今日に限ったことだけど、
エリックのギターはストラトキャスターが3本。
アコギは、OOOタイプと12弦のそれぞれ1本が
用意されていた。


開演前

4月14日のエントリーには、「マーティンの
OOOタイプ数本」と書いたけれど、
少なくとも今日は、OOOタイプは1本で、
しかもマーティンではなく、ヘッドのロゴマークは、
『LOCKDOWN SESSIONS』の時の
ギターテックのダン製作の12弦と同じように見えた。
ということは、6弦も12弦もダン・ディーンリーの
ギターを使っていて、マーティンは弾いていないということだ。
いいんでしょうか、黒澤楽器さん。
私はいいんですけど。

(2025.4.24 追記・訂正)
OOOタイプは、マーティンの「OOO-42K Goro's」で
あることを確認しました。
ロゴマークはダンのギターとは違う「goro’s」のマークです。


そして、一昨日はアコースティック・セットで
間違いなくドイルは(何曲か分からないけど)
アコギを弾いていたのだけど、今日はアコギを弾かず。
同じセットリストでも、ギターを変えたりしてるんだな。
今日は、チェリーの ES-335 中心で、
『Motherless Child』では、Novo Guitar と
思われる P-90 タイプの PU の付いた
ジャズマスターっぽいラインの黒いボディのギターを使用。
あと塗装の激しく剥げたサンバーストのストラトも
数曲で使用。
ドイルは、右利き用に張った弦を左利きで
弾いているためか、アップピッキングが激しい。
それで、ボディの上側(つまりピックガードが
ない部分)の塗装が剥げているのだと思う。
今日のドイルは、ハットをかぶって、胸に富士山(?)の
絵のあるシースルーのジャンバーを着てた。
そういえば、一昨日は羽織(旅館で浴衣の上に
羽織るようなの)を着てたわ。

最後の『Before You Accuse Me』が
終わった後の、エリックの晴れ晴れした笑顔と、
メンバー間の和やかな雰囲気がとても印象に残った。
あの一瞬を見ることが出来ただけでも満足。

あと5公演。
明日は早くも4公演目。
今日明日と連日なので、疲れていなければ良いが。


[ MEMBERS ]
Eric Clapton (g,vo)
Nathan East (b, vo)
Sonny Emory (dr)
Doyle Bramhall II (g,vo)
Chris Stainton (key)
Tim Carmon (key)
Katie Kissoon (vo)
Sharon White (vo)

@ 武道館

[ SETLIST ]
( Electric set )
01. White Room
02. Key to the Highway
03. I'm Your Hoochie Coochie Man
04. Sunshine of Your Love
( Acoustic set )
05. Kind Hearted Woman Blues
06. The Call
07. Motherless Child
08. Can't Find My Way Home
09. Nobody Knows You When You’re Down and Out
10. Tears in Heaven
( Electric set )
11. Badge
12. Old Love
13. Cross Road Blues
14. Little Queen of Spades
15. Cocaine
( Encore )
16. Before You Accuse Me





2025.4.19

ERIC CLAPTON
エリック・クラプトン 第四夜



数週間前、JR目黒駅に貼られていた広告


80歳のエリック・クラプトン来日公演の第四夜。
今回の来日公演で、昨日今日と追加公演の
26日27日だけが、2日連続のスケジュールに
なっており、80歳のエリックにどの程度の負担なのか、
想像もつかないが、昨日の疲れが残っていなければ
よいなと思い会場へ足を運んだ。
今日は、土曜日なのでいつもより早く、
16時開場の17時開演。
(平日は、18時開場 19時開演)

今日の席は、2階 南西K列。
今日は、モニターも まあまあ ええ感じで観られた。


開演前



比べるのは難しいけど、今までの4公演の中では、
今日がベストかもと思えるライヴだった。
昨日の疲れなど全く感じることなく、
エリックの声は力強く、ギターソロも全編通して良かった。
ギターソロでは、いつものエリック節に加えて、
普段聴かないような音使いも数曲で聴かれた。
特に『Sunshine of Your Love』、『Old Love』が良かった。
『Old Love』は、毎回良い。

アコースティック・セットでのギターは、
今日もマーティンはなし。
今回のツアーは、
「黒澤楽器店 MARTIN GUITAR Presents」
なのだけどね。

(2025.4.24 追記・訂正)
エリックの使用したOOOタイプは、マーティンの
「OOO-42K Goro's」であることを確認しました。


今日は、昨日までの3公演で毎回演っていた
『Motherless Child』を演らずに、
初日に演った『Gold Ring』が復活。
全部で16曲は変わらず。

今日までの4公演、同じセットリストではないのだけど
ほとんど一緒なので、そろそろ曲順も覚えてきたよ。
アンコールも、同じ『Before You Accuse Me』で、
本日も『Layla』は聴けず。
『Wonderful Tonight』も演らず。
ブルース中心のセットリストだから、
エリックはやっぱりブルースを演りたいんだよな。

一昨年もツアーの途中で 17曲から16曲に
減ったことを思うと、残りの4回で曲が
増えることは期待できそうにないな。

公演初日の前々日、ネイザン・イーストが
インスタに桜の写真と鰻を食べている写真を
アップし、こう書いていた。

So great to be back in Japan (for my 85th trip!)
just in time for “Sakura” Cherry Blossom season!
Eric Clapton concerts start next week at Tokyo Budokan
Hope to see you!

なんと来日が85回目!
もちろん、エリックのツアーだけではなく、
彼は、様々なプロジェクトで来日している。
ネイザンは、なんというか、品が良い。
信仰心も厚い印象を受けるし、
きっと人格的にも素晴らしい人だと思わされるね。
彼は終演後、毎回ステージに最後まで残り、
観客をスマホで撮影しているよ。

8回も観られると思っていたけど、
あっという間に4回が終わってしまった。
今日も終わった時のエリックの晴れやかな表情が良かった。
大変満足です。

次は、明後日21日。


[ MEMBERS ]
Eric Clapton (g,vo)
Nathan East (b, vo)
Sonny Emory (dr)
Doyle Bramhall II (g,vo)
Chris Stainton (key)
Tim Carmon (key)
Katie Kissoon (vo)
Sharon White (vo)

@ 武道館

[ SETLIST ]
( Electric set )
01. White Room
02. Key to the Highway
03. I'm Your Hoochie Coochie Man
04. Sunshine of Your Love
( Acoustic set )
05. Kind Hearted Woman Blues
06. The Call
07. Golden Ring
08. Can't Find My Way Home
09. Nobody Knows You When You’re Down and Out
10. Tears in Heaven
( Electric set )
11. Badge
12. Old Love
13. Cross Road Blues
14. Little Queen of Spades
15. Cocaine
( Encore )
16. Before You Accuse Me





2025.4.20

ソエジマトシキ

ソエジマトシキ(副島俊樹)というギタリストがいる。
数年前から YouTube で見かけるようになった。
所謂「ネオ・ソウル」というジャンルに分類されて
いるようだが、スムース・ジャズ的な、聴いていて
心地良いギターインストで、おいしいギターを弾く。
YouTube では、機材のレビューやギターの奏法の
レクチャー、ライヴの映像などを公開していて、
教則本も出している人。33歳。

私も時々彼の動画は観ていて、
影響を受けて機材を買ったこともある。
以前、彼の持っているギター(Bruno Guitars)が
欲しくて調べてみたが、数年の予約待ちで
諦めたこともあった。
動画からは、温厚な人柄が伝わってくる。
今年は、コットンクラブのライヴを
(観に行ってないけど)成功させた。
また動画に登場する、トランペットの女性は奥方で、
夫婦でええ感じで音楽を演っていることが伝わってくる。

その世界では、それなりに知られてはいるが、
まだまだ一般の人には知られていないだろう。
そのソエジマさんのインスタグラムを読んで驚いた。

テレビの取材を受けたらしいが、その中で
ある外国人アーティストが、今注目している
日本人ギタリストとして、ソエジマさんの
名前を挙げたことを知らされる。
その外国人アーティストが、
なんと エリック・クラプトン。

そのことを報告するソエジマさんの YouTube も
観たが、感極まって涙するソエジマさんに、
私ももらい泣きしてしまった。

エリックは、世界中のギタリストを SNS で
チェックしているらしい。
来日中なので「日本人で注目している
ギタリストはいますか?」と訊かれ、
ソエジマ氏の名前を挙げたのだという。

ソエジマさんのテレビの取材の様子は、
すでに放映されたようで、私は観ていないのだが、
クラプトンが、名前を挙げただけで、
その前後で世界が大きく変わってしまうのが想像できる。
とたんに知名度が上がっただろうし、
これからもっと注目されることだろう。
仕事も増えるかも知れない。
いや、そんなことは重要ではない。
一番は、彼自身にとって、音楽を続けてきた意義、
そして大げさではなく、彼の人生が一瞬にして
トランスフォームしたことだろう。
その前後で何も変わっていないのに大きく違う。
クラプトンのひと言が彼の人生を
どれだけ力づけるか計り知れない。
このことが、日本のアマチュア・ギタリストを
どれほど励ますか計り知れない。

人生ってこういう期待を遥かに上回ることが
起きるんやな。
それも、狙ってできることじゃないこと。
それは、コツコツと地道に積み重ねてきたからこそ。

なんかええ話や。
私には全く関係ないのに、嬉しい。
ソエジマさん、おめでとう。


[ 参考動画 ]
信じられないような出来事が起きました

Toshiki Soejima : "Tokyo" Chill Session at COTTON CLUB





2025.4.21

ERIC CLAPTON
エリック・クラプトン 第五夜




80歳のエリック・クラプトン来日公演の第五夜。
8回のうち5回が終わってしまった。

今日の席は「アリーナ B-5 81番」。
今までの中では、一番ステージまで近い。
アリーナ席は、前後に3ブロック、
左右に11ブロックに分かれている。



図の通り、A-6、B-6、C-6が真ん中なのだが、
今日の私の席は、B-5ブロックの最後列の左端。
中央よりのブロックで、まあまあ良い席だった。
今日の見え方は、こんな感じ。


開演前



さて、今日はセットリストにまたまた変更があった。
アコースティック・セットで今まで4公演で
演奏されなかった『Driftin' Blues』が加わった。
そして、毎回演奏されていた『The Call』がなくなった。
『The Call』、『Motherless Child』も演奏されずで
1曲減り、合計15曲になった。
4月14日の第一夜が 17曲演奏されたことを
思うと2曲減ったことになる。

考えてみれば、途中アコースティック・セットで
座るとはいえ、それ以外は1時間以上立ったまま、
しかも4キロほどあるギターを抱え、
声を張り上げて唄うのだから、いくら元気でも
80歳にはそれなりに負担だろうと思う。
唄っている時は、そうでもないけど誰かがソロを
演奏中のエリックの表情は、つらそうにも見える。
残りの3公演を無事に乗り切って欲しい。

『The Call』は好きな曲なので聴けなかったのは残念。
この曲は、エリックの曲だとばかり思っていたら、
(エリックが作者だと書いているサイトもある)
ボブ・ニューワースという人の 1999年の曲だった。
歌詞は確かに同じだけど、私には
全く違う曲のように聞こえるんやけど。

Bob Neuwirth - The Call

Eric Clapton - The Call

観客の年齢層が高くなってきているのか、
『Cocaine』まで立つ観客は、ほとんど見当たらない。
初日は『Cocaine』が始まると、アリーナは
総立ちだったように見えたけど、2日目以降は、
『Cocaine』が始まっても立つ人はちらほら。
歓声はあるので、盛り上がっていないわけではない。
『Cocaine』が終わると、スタンディングオベーションに
なるしね。
ただ、以前はもっと早くに立ち上がって
いたような気がするねんけど どうだろう。

今日は、ギターについて注意深く観たので書いておこう。
エリックは、全ての曲で基本的にセンター PU で
弾いており、私が気付いた限りでだが、
『Hoochie Coochie Man』のソロで リア PU を
『Old Love』のソロでは、フロントからセンター、
そして リア と PU を変えていった。
『Little Queen of Spades』と『Cocaine』でも
ソロ中に リア PUを使用。
ミドブーストは、ソロの時にのみ上げているように見えた。

今日のドイルは、ほとんどの曲でチェリーの ES-335。
『Hoochie Coochie Man』でナチュラルの ES-335。
剥げ剥げのストラトキャスターは、
『Cross Road』と『Cocaine』で使用。
しかし、今日気付いたことがある。
それは、チェリーの ES-335 が2本存在していること。
チェリーからチェリーに持ち替えた時があって、
その時に発見したのだが、ピックガードが、
下に付いているのと、上に付いているのがあるんだ。
今日多くを弾いたのは、ピックガードが下に
付いているタイプ。

それから、前回、前々回にエリックの
OOO(トリプルO)が、マーティンではないと
書いたのだけど、ここへきて、あれはマーティンの
「OOO-42K Goro's」だという情報を得た!
YouTube で楽器屋さんが話していたんだ。
このモデルは39本の限定品であったらしい。
「Goro」とは、レザークラフト「goro’s」の高橋吾郎氏。
エリックと交流があった人のようで、
藤原ヒロシ氏の監修のもと、マーティンで
作られたモデルということまで分かった。
ギターのボディ内部には、エリックとゴロー氏の写真、
そして、エリックと藤原ヒロシ氏のサインがある。

OOO-42K Goro's



ネットで拾ってきた画像

このインレイは、「goro’s」のマーク。
エリックが今回使っているのは、どうもヘッドの
インレイがこれではないような気がする。
次回もっと注意して見てみようと思う。

(2025.4.24 追記・訂正)
エリックの使用したOOOタイプは、マーティンの
「OOO-42K Goro's」であることを確認しました。
ヘッドのインレイは、「goro's」のマークでした。


さて、エリックは、この来日公演が終わると、
5月の後半からイギリス4公演(うち3公演は
Royal Albert Hall)、イタリア2公演、
フランス2公演の欧州ツアーだ。
そして、9月にはアメリカを数か所周る予定になっている。
まだまだ元気に続けて欲しい。


[ MEMBERS ]
Eric Clapton (g,vo)
Nathan East (b, vo)
Sonny Emory (dr)
Doyle Bramhall II (g,vo)
Chris Stainton (key)
Tim Carmon (key)
Katie Kissoon (vo)
Sharon White (vo)

@ 武道館

[ SETLIST ]
( Electric set )
01. White Room
02. Key to the Highway
03. I'm Your Hoochie Coochie Man
04. Sunshine of Your Love
( Acoustic set )
05. Driftin' Blues
06. Kind Hearted Woman Blues
07. Nobody Knows You When You’re Down and Out
08. Can't Find My Way Home
09. Tears in Heaven
( Electric set )
10. Badge
11. Old Love
12. Cross Road Blues
13. Little Queen of Spades
14. Cocaine
( Encore )
15.Before You Accuse Me





2025.4.24

ERIC CLAPTON
エリック・クラプトン 第六夜




エリック・クラプトン来日公演の第六夜。
あっという間に6回目が終わってしまった。。
追加公演が決まらなければ、
今日が最終公演だったところだ。
一昨年は、6公演だったしね。
この追加公演というのは、どのあたりで
決定するんだろうか。
もともと予定されていたのだけど、いきなり
8公演売り出すとチケットの売れ行きが
鈍るのであと出しにしているのか、それとも
本当にチケットの売れ行きを見てから
決定しているのか、どうなんだろうな。

そんなことはさておき、本日のエリック。
とても良かった。
今日までの6公演の中では一番良かった。
最後の曲が終わった時の感動は、
今までの5回にはなかったものだった。

席は、アリーナ B-11ブロックの3列目の右端。
ちょっと角度はあるけれど、そんなに見にくくない。


開演前

エリックは、ほとんどMCをしないし、
「アリガトウ」や「Thank you」もあまり言わない。
以前はもっと言っていたような気がするんだけど。
無言で始めることも多いのだが、今日はステージに
登場した際、「コンバンハ!」と元気に挨拶した。

1曲目『White Room』が始まると、
(今日はいいぞ)という予感が走った。
実際、『White Room』のギターソロは、
今日が一番冴えていたと思う。
『Key to the Highway』
『I'm Your Hoochie Coochie Man』
『Sunshine of Your Love』
と続くがやはり今日は冴えている。

アコースティック・セットでは、毎回少しずつ
セットリストが違っていたけど、今日も。
『Tears in Heaven』では今日が初めて、
客席にスマホライトが揺れた。
いつもは『Winderful Tonight』で
そうなるんだけど、この3公演
『Winderful Tonight』を演らなかったので、
誰かが『Tears in Heaven』で仕掛けたのかな。

そして、エレクトリック・セットに戻ってからも
調子が良い。
なんと、初日と2日目には演奏されたが、
そのあと3回は演らなかった
『Winderful Tonight』が復活。
エンディングのソロでは、ドイルとユニゾンし、
最後のフレーズをハモるというアレンジで来たヨ。

そのあとはいつも通りで、前回の15曲から
16曲に増えた。
減ることはあっても増えることはないだろうと
思っていたので、これは嬉しい誤算。

本編最後の『Cocaine』は、今日はアリーナ総立ち。
でも、始まったらばぁっと立つんじゃなくて、
パラパラ、バラバラという感じやけど。
演奏後のエリックの表情が良い。
なんというか、とても若々しい。
その姿になぜかウルウル。
そして、エリックはネイイザンとハグ。
アンコールは、やはり『Before You Accuse Me』。
いやあ、良かったよ。
本日も大満足。

そうそう、キーボードのティム・カーモンは素晴らしいよ。
数曲で長尺のソロがあるけど、今までハズレのソロがない。
たぶん、クリス・ステイントンよりもドイル・ブラムホールII
よりもソロが長い。
エリックがティムを買っている証拠だとも思う。

ギターの話。
エリックのストラトは 一見ブラックだが、
モニター上では 光のあたり方によっては、
初日に書いた通り濃い紺色に見えることもあった。
私はもしかしたら、エリックが以前にも
使ったことのあるメルセデス・ブルーかも
知れないとも思っていたんだ。
しかし、今回のストラトについて触れている
YOUNG GUITAR の記事を発見。
そこには、こう書かれている。

手にしたフェンダー・カスタム・ショップ製の
シグネチュア・ストラトキャスターは一瞬
ブラック・フィニッシュ(ブラッキー)にも見えたが、
エリック所有のフェラーリと同じ ブルー・スコッツィア
というカラーで、2023年の “Crossroads Guitar
Festival” の時にマスター・ビルダーの
トッド・クラウスが製作したものと思われる。


まあ普通の人が見たら、「黒」やけどな。

前回に書いた「アコギはマーティンか?」問題。
ヘッドのインレイが手がかりだと分かったので、確認したよ。
確認の結果。
はい。マーティンでした。
間違いなく「goro’s」のマークでした。
なので、あのギターは OOO-42K Goro's です。
今まで「マーティンではない」などとええ加減な
ことを書いて申し訳ない。
お詫びして訂正します。
でも、スッキリして良かった。
良く考えたら「黒澤楽器店 MARTIN GUITAR Presents」
のコンサートでマーティンを使えへんなんてあり得へんわな。

それから、何度かドイルの剥げ剥げの
ストラトキャスターについても触れてきたが、
ネットで拾ってきた画像ではこんな感じ。





このようにボディの上部の塗装が剥がれて
しまうのは、ドイルのアップピッキングが
激しいからだろうと思う。
同じ個体かどうか分からないのだけど、
こんな写真も見つけた。



ドイルが若いので、何年も前と思われる。
ストラトの塗装はまだ現在ほど
剥がされていないのが分かる。

今日もドイルのメインギターは、
チェリーレッドのギブソンの ES-335。
(ピックガードが下にあるタイプ)
『Hoochie Coochie Man』の時、
ナチュラルの ES-335 でスライドのソロをしたので、
もしかしたらだけど、オープン・チューニングなのかも知れない。
『Can't Find My Way Home』では、
チェリーレッドの ES-335 のピックガードが
上にあるタイプを使用。
『Little Queen of Spades』、『Cocaine』で
前述の剥げ剥げストラトキャスターを使用。


ステージ上に映されるモニターに時々、
ドラムのあたりから、エリックの後ろ姿を映している
映像が出る。
エリックの後ろ姿の向こうに武道館の観客が
映っているんだ。
曲のエンディングでは、振り向いたエリックが
ソニー(Dr)を見つめ、最後の音を合わせる。
私はそのアングルが大好きだ。
絶対にステージからしか見られない光景。
それは、若い頃に夢に見た、
永遠の憧れの光景なんだ。


[ MEMBERS ]
Eric Clapton (g,vo)
Nathan East (b, vo)
Sonny Emory (dr)
Doyle Bramhall II (g,vo)
Chris Stainton (key)
Tim Carmon (key)
Katie Kissoon (vo)
Sharon White (vo)

@ 武道館

[ SETLIST ]
( Electric set )
01. White Room
02. Key to the Highway
03. I'm Your Hoochie Coochie Man
04. Sunshine of Your Love
( Acoustic set )
05. Kind Hearted Woman Blues
06. Golden Ring
07. Nobody Knows You When You’re Down and Out
08. Can't Find My Way Home
09. Tears in Heaven
( Electric set )
10. Badge
11. Old Love
12. Winderful Tonight
13. Cross Road Blues
14. Little Queen of Spades
15. Cocaine
( Encore )
16. Before You Accuse Me


初日のエントリーにこう書いた。

MCでちょっと喋ったんだけどほとんど聞き取れず。
「Mr. Udo」「opportunity」という言葉が
聞き取れたので、たぶんだけど ウドーさんの
おかげでまた来日できた、という話だったのかな。


今回 紹介したYOUNG GUITARの記事に
そのMC について
「2023年に亡くなったウドー音楽事務所の
創業社長、有働誠次郎氏への感謝を述べてから」

とありました。





2025.4.25

東京フィルハーモニー交響楽団
第169回東京オペラシティ定期シリーズ

指揮:尾高忠明(桂冠指揮者)
ピアノ:舘野 泉




エリック・クラプトンのコンサートに挟まれている今日、
クラシックを聴きに行ってきた。
東京フィルハーモニー交響楽団の
定期演奏会で、ピアノが舘野 泉さん。

昨年11月に東京オペラシティ コンサートホールに
「オーケストラ・プロジェクト 2024」という
コンサ―トを聴きに行った。
その時、会場で配られたチラシの中に
今日のコンサートのものがあった。
それだけなら、聴きに行こうとまで思わなかったかも
知れないけど、その時、ちょっとびっくりするような
ことがあったんだ。
それについては、こちらを。

2024.11.29 舘野さん

で、あれから5か月近く経って今日を迎えた。

今回はS席ではなくC席を買った。
なぜC席にしたのか覚えていないんだけれど、
たぶんエリック・クラプトンにお金をかけ過ぎたので
自粛したのかも知れない。
3階バルコニー席の2列目だったのだけど、
1列目と高低差があり、1列目が視界をふさぎ
ステージの4割ほどが見えない席だった。
下手側だったので、指揮者の出入りは見えず、
ピアノの館野さんも身を乗り出してギリギリ見えるという席。
チケット代はケチるものではないと思った。

まずは、オーケストラで尾高惇忠(あつただ)作曲の
『音の旅』より3曲を演奏。
尾高惇忠(故人)は、今日の指揮者の
尾高さんのお兄さん。
なんとも親しみのあるメロディだったな。

続いて、ラヴェルの『左手のためのピアノ協奏曲』。
この曲は、ラヴェルが第一次世界大戦で右手を
失ったピアニストの依頼を受けて作曲したもの。

舘野さん(88歳)は、65歳の時に脳溢血で倒れ、
右半身に麻痺が残るも、2年後には、
左手だけのピアニストとして復帰を遂げた。
10年前に舘野さんのことを知った衝撃を
ここに書いている。

2015.3.19 左手のピアニスト

舘野さんのピアノを生で聴くのは10年ぶりだったので
楽しみにしていったのだが、ピアノ協奏曲が始まって
しばらくして、眠気で意識が朦朧としてきた。

休憩の後のエルガーの『交響曲第3番』も
半分以上、眠気で聴けなかった。
ここのところ、エリックのコンサートでは
眠くなることなど全くなかったのにな。残念。

エルガーの『交響曲第3番』は、いわくのある曲で
未完成のまま本人が死んでしまった。
現在では、エルガーの死後、60年以上経って、
アンソニー・ペインという作曲家が、
残されたスケッチを元に仕上げたものが演奏される。

オーケストラのアンコールはなかった。
ピアノ協奏曲の後、舘野さんがアンコールを
されたからだろうか。
鳴り止まない拍手に何度目かの登場で、
尾高さんは「疲れた。よくこんな曲書いたと思う」と
言ってたので、エルガーの『交響曲第3番』は、
棒を振るのも大変なんだろう。
尾高さん、77歳だ。




[ 出 演 ]
東京フィルハーモニー交響楽団
指揮:尾高忠明(桂冠指揮者)
ピアノ:舘野 泉

[ プログラム ]
尾高惇忠/『音の旅』(オーケストラ版)より
第1曲「小さなコラール」
第5曲「シチリアのお姫さま」
第15曲「フィナーレ~青い鳥の住む国へ~」
ラヴェル/左手のためのピアノ協奏曲〈ラヴェル生誕150年〉
エルガー/交響曲第3番(A. ペイン補筆完成版)

@東京オペラシティ コンサートホール





2025.4.26

ERIC CLAPTON
エリック・クラプトン 第七夜(追加公演1)




エリック・クラプトン来日公演の第七夜。
いよいよ追加公演のスケジュールに入った。

本日の席は、アリーナ B-6 の106番。
Bブロックの最後列だが、ど真ん中で、
前から数えて 21列目。
真正面にエリックが立っている。


開演前



隣のおにいちゃんが『Wonderful Tonight』を
大声で唄うのは、やめて欲しかったな。
これ、合唱する曲ちゃうしな。

セットリストは、一昨日と全く同じ 16曲だった。
今回は、毎回少し違っていたので、
同じセットリストは、初めて。

一昨日、6公演の中で一番良かったと書いたが、
今日もそれに引けを取らない出来だった。
後半ややミスが目立ったのだけど、
そのミスも含めて今日は良かったと思うね。
『Badge』、『Old Love』のソロは
今日も素晴らしかった。

今日のエリックは、7日間で一番多く
「アリガトウ」「Thank you」を言ったような気がする。
ネイザンは「原宿」と漢字で書かれたTシャツ。

やはり、もう『Layla』は聴けないのだろうな。

来日中のエリックをテレビ局がインタビューし、
先週、放送されたけれど 私は知らなかった。
ここにも書いたけど「日本人ギタリストで
注目している人は?」と聞かれ、
「ソエジマトシキ」と応えたというインタビューだ。
(厳密には名前を思い出せなくて
あとから連絡したようだ。)
そのことを知ってすぐに、番組が YouTube に
アップされていないか検索したのだけど、見つからなかった。
そのインタビューが今日、YouTube にアップされた。

「若さの秘訣は?」と訊かれ、
「たくさん歩く」「ウドーさんが教えてくれた深呼吸」
「瞑想」と答えている。
やっぱり歩かなあかんな。
また「今回の来日は、ウドーさんの追悼のため」
というほど、ウドー氏との関係は深いものであったようだ。
エリックの日本好きは、ウドー氏の存在が
大きいんだろうなと思った。
また、日本の侍映画のオタクぶりも伺えるなど、
興味深い話が満載だ。
  ↓
【情報7daysニュースキャスター】
ギターの神様!エリック・クラプトンを直撃


インタビュアーの質問の内容に批判もあるのだけど、
テレビ局のインタビューだから、
あまりマニアックになるわけにもいかず、
ある程度は仕方がないと思う。
確かにビートルズ関連の質問は私も多すぎると思うけど。
いずれにせよ、雑誌の活字ではなく、生で喋る
エリックのインタビューは、とても貴重だと思う。


ところでステージの上の楽器を見るとこんな感じだ。
ギター/Fender、Gibson、Martin
ベース/Yamaha
ドラム/Yamaha
エレピ/Yamaha
オルガンは、ハモンドかな。
シンセサイザーは、クリスとティムと1台ずつだが
詳しくないので分からない。
それにしても、こう見ると ヤマハはスゴイな。




[ MEMBERS ]
Eric Clapton (g,vo)
Nathan East (b, vo)
Sonny Emory (dr)
Doyle Bramhall II (g,vo)
Chris Stainton (key)
Tim Carmon (key)
Katie Kissoon (vo)
Sharon White (vo)

@ 武道館

[ SETLIST ]
( Electric set )
01. White Room
02. Key to the Highway
03. I'm Your Hoochie Coochie Man
04. Sunshine of Your Love
( Acoustic set )
05. Kind Hearted Woman Blues
06. Golden Ring
07. Nobody Knows You When You’re Down and Out
08. Can't Find My Way Home
09. Tears in Heaven
( Electric set )
10. Badge
11. Old Love
12. Winderful Tonight
13. Cross Road Blues
14. Little Queen of Spades
15. Cocaine
( Encore )
16. Before You Accuse Me





2025.4.27

ERIC CLAPTON
エリック・クラプトン 第八夜(追加公演2)
< 最終公演 !>



エリック・クラプトン来日公演の第八夜。
ついに最終公演が終わってしまった。

昨日のグッズ売り場は、開演40分ぐらい前だったと
思うけど、Tシャツや小物は売り切れており、
パンフレットとボストンバッグしか売っていなかった。
今日は、やはり開演40分ぐらい前だけど、
もうパンフレットしか売ってなかったわ。
追加公演だから仕方ないのかも知れないけど、
Tシャツとか欲しかった人は、残念だったろうな。
私は、初日と2日目にTシャツとマグカップを買ったよ。
年を取ってきて、もうこういうモノは、要らんように
なったと思いながらも、なんか欲しいねんな。
大分買わなくなったけど。

さて、今日の席は、S席 スタンド1階 南A列 13番。
南というのは、ステージの正面なのだ。
その1階1列目。


開演前



確か TOTO や QUEEN をこの南1階最前列で
観たことがあるが、ステージまではそれなりの
距離があるものの、個人的には武道館で
一番見やすい良い席だと思う。
最終日がこの席だというのもなんだか嬉しい。

さてライヴはどうだったかというと、
セットリストは昨日と全く同じ。
最終日ということで私が気持ちが入って
いたのかも知れないけれど、1曲目
『White Room』のイントロのイントロからして
エリックの気合を感じた。
明らかに前7回とは違うフレイズを弾いていたよ。
その流れなので、ソロも初日しか観なかった人が
気の毒なほど、良かった。
総じて、この3公演は、甲乙つけがたい出来だが、
今日は最終公演ということもあってか、
観客のテンションは、一番高かったように思う。

エリックは、8日間通して紺色のジャケットに
黒っぽいパンツ。
シャツは、白の日や青い日があったけれど。

『Sunshine of Your Love』のリフは、
いつもより歪んでいなかったのは、意図的なのかな。

『Winderful Tonight』では今日は、イントロの
あのメロディは、ドイルに弾かせ、エリックは
アルペジオにまわった。

本編最後の『Cocaine』でドイルは、EBOW を使用。
これも もしかしたらレアなことかも。

終演後、深々とお辞儀をするエリックに
なんだか意味不明に恐縮し、感動してしまった。

この2週間に8公演、1回1時間45分として
合計にすると約14時間、エリックと同じ空間で過ごし、
ステージを観て、ギターを聴き、声を聴いた。
ギタープレイには、全盛期に比べて衰えを
否定できないものの、歌に関しては、
80歳とは思えない声だった。
もちろん、それでも40代50代と比べると
本人的にはしんどいのだろうけどね。
それが『Layla』を演らないひとつの理由かも
知れないし。
でも、そんなことは関係ないメッセージを
日本のファンは受け取ったと思う。

25,000円×8公演は安くないけれど、
ロンドンに行くより安いと思って思い切った。
でも、8公演14時間も観るなど、
ロンドンまで行ってもそんなことは出来ない。
エリックが、日本に来てくれたおかげだ。
それは、昨日も書いたけど、ウドーさんという
日本人との関係があってのことでもある。
そんなことは、表面では分からない。
この世界は、知らないところで、知らないことが、
複雑に絡み合って成り立っているんだ。
知らないところで。
知らないことが。


エリック、ありがとう。
たくさんの想い出をありがとう。
素晴らしい音楽をありがとう。
あなたのおかげで、あなたの影響で、
私はとても良い青春を、良い人生を送れたよ。


[ MEMBERS ]
Eric Clapton (g,vo)
Nathan East (b, vo)
Sonny Emory (dr)
Doyle Bramhall II (g,vo)
Chris Stainton (key)
Tim Carmon (key)
Katie Kissoon (vo)
Sharon White (vo)

@ 武道館

[ SETLIST ]
( Electric set )
01. White Room
02. Key to the Highway
03. I'm Your Hoochie Coochie Man
04. Sunshine of Your Love
( Acoustic set )
05. Kind Hearted Woman Blues
06. Golden Ring
07. Nobody Knows You When You’re Down and Out
08. Can't Find My Way Home
09. Tears in Heaven
( Electric set )
10. Badge
11. Old Love
12. Winderful Tonight
13. Cross Road Blues
14. Little Queen of Spades
15. Cocaine
( Encore )
16. Before You Accuse Me


エリックがテレビ局のインタビューで
「日本人で注目しているギタリストは?」
という質問に「ソエジマトシキ」と答えた話は
先日 書いたけれど、ソエジマさん、エリックと
会って話せたんだね。
本当に凄いことです。
こんなことは普通ではないです。

人生本当に何があるかわかりません





2025.4.29

アサド兄弟



22年ぶりの来日のアサド兄弟。
結成60周年のブラジル出身の兄弟ギターデュオだ。
兄のセルジオは現在ニューヨーク在住。
弟のオダイルはベルギー在住。
25日の東京公演は、行けなかったので、
勢いで名古屋のチケットを買った。
アサド兄弟を観るのは初。
たぶんもう機会がないかも知れないので、
観ておきたいとは思ったのだけれど、
彼らの大ファンという訳でもないので、
果たして名古屋まで行ってどうだろうと
やや不安もあり、睡魔の襲来で
聴きたいのに爆睡で終わるという最悪の事態も
想定の上、名古屋まで行ってきた。

結果、往復約5時間と交通費を
かけてでも行って良かった。
素晴らしい演奏で、大満足し最後には
感動をもらって終わった。
途中、数曲うとうとしてしまったのは、
もったいなかったけど。

会場は、電気文化会館 ザ・コンサートホール。
キャパ400人弱のホールで、前から8列目
(真ん中より前)という良い席だった。
PAなしの生音のみね。


開演前

前述の通り、この兄弟デュオは、今年結成60年!
ご本人たちも「今年はスペシャルな年」と言っていたよ。

兄弟という血の繋がりの上に60年という年月が
そうさせたのか、はたまた結成当初から
そうだったのかは分からないけど、
私にはふたりの演奏とは思えなかった。
ひとつの魂が、ふたりの肉体を使って
演奏している、とでも言えば良いかな。
通常の演奏では「相手を良く聴いて」なんてことを
言われるけど、聴こうが、聴くまいが、
ひとつの魂が演奏しているので、合わない訳はないのだ。
ふたつのギターが、完全にひとつの音楽を
奏でているという感じだった。

一応、弟のオダイルがメロディを、兄のセルジオが伴奏を
弾く場面が多かったけど、ゴンチチの様に明確な
役割分担ということでもなく、時には入れ替わったり
しながら演奏は進んだ。
指板を見ながらなので、やや俯き加減なオダイルに対し、
セルジオは、時折り視線を上げて宙を見つめる。
さながら音楽の妖精を探しているのか、
追いかけているのか、見つめているのか、
何とも言えぬ表情で宙を見ていた。

曲は、オリジナルから、ピアソラやブラジルの
作曲家の音楽。
一応、彼らはクラシックにジャンル分けされて
いるようだけど、私にはクラシックというより南米音楽。
あ、これ何かに似てると思ったら、アルゼンチン出身の
Guillermo Rizzotto(ギジェルモ・リソット)だったり。

予定のプログラムを終了し、一旦舞台袖にはけると、
鳴り止まぬ拍手に応えて登場。
ギターを持たずに出てきたので、
あゝアンコールはないのか と思った。
が、それでも鳴り止まない拍手に応えて
今度はギターを持って登場しアンコール。
その曲が終わると、一旦舞台袖に下がった後、
再び拍手に応えて ギターを持たずに登場。
が、それでも鳴り止まない拍手に
またギターを持って登場し、2度目のアンコールを演奏。
その曲が終わると、またもやギターを持たずに登場。
さすがにもう終わりだろうと思った客が
パラパラと立ち始めるも、三たびギターを持って登場。
なんと、3度目のアンコール!
最後は、日本の映画のために書いた
「組曲『夏の庭』より さようなら」 。
きっと疲れているだろうに「明日、家に帰るんだ」と
言いながら、3度ものアンコールに応えてくれた。
それだけ、拍手喝采が大きかったということでもある。
彼らも観客にあれだけ熱烈に拍手されて
本当に満足だっただろうな。

プログラムは後述するが、本編の後半2曲以降は、
アンコールも含めて楽譜なしね。
今年、73歳のセルジオと69歳のオダイル。
こういう音楽は、何歳ぐらいまで演奏できるんだろうか。
ジャズやロックなら、80歳を超えても曲を選べば
演れるだろうが、技術的に衰えたら、
もう演奏できない音楽だと思う。
これは、本当に観られて良かったよ。


[ プログラム ]
1. ピアソラ:《トロイロ》組曲より バンドネオン、シータ
2. セルジオ・アサド:3つのブラジルの情景
(1) カランゴのご紹介
(2) オウロ・プレット
(3) チコ・レイのコンガーダ
3. ニャターリ:ワルツとコルタ・ジャカ
4. セルジオ・アサド:組曲《リオの1週間》
(1) 月曜日のチャカラ・ド・セウ
(2) 火曜日のコルコバード
(3) 水曜日の現代美術館 (MAM)
(4) 木曜日のフォホー
(5) 金曜日のラージェ公園
(6) 土曜日のセメンテ
(7) 日曜日のマラカナン
5. ヴィラ=ロボス:ブラジルの魂
6. セルジオ・アサド:ディアンスと3つの時
(1) 北のローラン
(2) シャンソンとローラン
(3) 南のローラン
7. ジスモンチ:パラーソ、やくざなバイヨン
8. セルジオ・アサド:タヒヤ・リ・オーソリナ
(アンコール)
9. セルジオ・アサド:メニーノ (MENINO)
10. アントニオ・ラウロ:ナターリア (NATALIA)
11. セルジオ・アサド:組曲「夏の庭」より さようなら

@ 電気文化会館 ザ・コンサートホール(名古屋)









 ひとりごと