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 つつみしんやのひとりごと  2026年6月
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2026.6.3

捨てる生き方
小野龍光・香山リカ 著




香山リカさん(精神科医)とはお会いしたことが
ないが、小野龍光さんのお話しは、数回 生で
聴いているせいもあるだろうと思うが、
誤解を恐れずに書けば、圧倒的なレベルの差の
様なものを感じてしまった。
もしかしたら香山さんは、読者目線に立って、
龍光さんに敢えてそういう問いかけをしたのかも
知れないけれど、どうも正解ありきの様な浅い質問に
「何言うとんねん」と思う場面が幾度かあった。
そして、何よりも全ての質問に回答(正解ではない)
できる龍光さんの思慮深さにも感銘した。
これは、ご本人が相当苦しまれたからこそのことだ
とお察しする。

香山さんは、東京の仕事を辞めて北海道の
僻地診療所での仕事を選んだことを、
龍光さんの選択(年商100億超えの IT企業の
CEO を辞めた後、得度した)と同レベルに
語っているかのように思える節もあるが、
とんでもない話しである。
それを並べること自体、恥ずかしいと思うのが
普通ではないかと読みながら違和感を拭えなかった。
まあご本人は、同レベルで並べているつもりでは
ないのかも知れないけどね。

思うに仏陀の教えはとても哲学的で、
所謂「正解」がないのではないか。
一方、医学を学んだ精神科医には
一応の対処法(≒正解)が、あるのではないか。

しかし、過日私が読んだ『ネガティブ・
ケイパビリティ答えの出ない事態に耐える力』
(著者は精神科医の帚木蓬生〈ははきぎほうせい〉)
に精神科の患者には治療の正解がない、と
いうようなことが書いてあって、なるほどと
思ったことも記憶に新しい。
そういう、不確かな面に関する記述、いわば
ネガティブ・ケイパビリティがほぼ感じられず、
常に正解を求めるように(私には感じた)
香山さんの言い分は、多くの場面で残念ながら
私は同意しかねた。

それが顕著なのは、第五章で「利他」について
語っている際に、龍光さんは「利他」などと
大げさなものではなく「思いやり」を持つことで、
自分目線ではない考えを持つことができ、
「思いやり」を持つこと自体が自分の幸福に
繋がるという話しをしているのに、
その「思いやり」について誕生日パーティの
サプライズでケーキを準備する例を出してくる。
私には、おいおい、って感じだった。
なんかずれてないか。
まあ、いいんだけどね。

他にも思うことあったけど、
香山さんを批判しても意味がない。
この辺でやめておこう。


小野龍光さん
★★★★★
香山リカさん
★★▲☆☆

偏ってますか? この感想。


(追記)
読み終えた勢いで、辛辣な感想文になってしまった。
考えてみると、香山さんのスタンスが龍光さんと
違っているおかげで、この本は龍光さんの
奥深さを引き出すのに成功していることに気付いた。
主役は、龍光さんだからね。
そういう意味では、香山さんは GJ ということかな。

Amazon のレビューに「お金持ちの道楽」と
書いている人がいて、驚いたね。







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