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つつみしんやのひとりごと 2009年 映画・演劇・舞台 etc
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2009.1.4

パコと魔法の絵本 デトロイト・メタル・シティ

今年、初めての映画は、表題の2本立て。

どちらもそんなに悪くはないけれど、

正直、期待していたほどではなかった。

「パコと魔法の絵本」 は、普遍的なテーマを個性的に

ファンタジーらしく、うまくCGを使って楽しませてくれたけど、

ヒステリックな観ていてイヤなシーンが多かったのが残念。

主演の役所広司や、子役のアヤカ・ウィルソンが良かっただけに

そのマイナス部分が惜しい。

でも、そのヒステリックさが、

この映画の個性をより引き立たせているのだろうけど。


「デトロイト・メタル・シティ」 は、原作のコミックは、読んだことないが、

広告を観てもっと面白いコメディかと思ってしまった。

期待が大きすぎんだな。

あんまり面白くないだろうと思って観たら、面白いだろう。

母親役の宮崎美子は好演。

KISS のジーン・シモンズの登場は、ロックファンにはうれしいかも。





2009.1.12

コレラの時代の愛

今日は、愛と結婚 がテーマの映画 2本立てを観てきた。

1本目、「コレラの時代の愛」。

舞台は、内戦とコレラのまん延する18世紀末から20世紀前半のコロンビア。

ひと目惚れした女性を52年近く待ち続ける男の純愛(?)物語。

主人公フィオレンティーノは、ひと目ぼれしたフェルミーナと

手紙のやり取りしかしていないが、彼女に一生の愛と貞操を誓う。

が、彼女は、数年で二人の恋愛が幻想だと気付く。

そして、はっきりと、彼を振る。

でも、彼はあきらめない。

そのうち、彼女は、医者と結婚する。

でも、彼はあきらめない。

彼は、心の痛み(?)から、癒し(?)を求めて、他の女性を抱く。

その数、52年間で622人!

ちゃんと、ノートに女性たちの名前と特徴をメモしていくあたりに

彼の性格が表れている。

彼は、彼女の亭主が死ぬまで待つことを誓う。

そして、ついにその時がやってくる。

彼は、亭主が死んだその日に、彼女に52年間の変わらぬ愛を

伝えに行く。

そして・・・当然のごとく、「出て行け!」 と、彼女の怒りを買う。

なにしろ、ご主人が亡くなった日だから。

そして、ラストは・・・・

それは、観てのお楽しみ。

それにしても、これって、純愛物語だろうか。

フィオレンティーノは、心はフェルミーナ一筋だけど、

カラダは、他の女性に行きまくる。

70歳過ぎても、20歳そこそこの女性と関係を続ける。

ストーカー&セックスマシーンって感じ。

異常でしょ。

主演は、「ノーカントリー」 でアカデミー賞に輝いたハビエル・バルデム。

彼って 「海を飛ぶ夢」 もそうだったけど、老け役が上手い。

今作も30代ぐらいから、70代まで演じている。

一方、ヒロイン役のジョヴァンナ・メッツォジョルノは、

年老いてからが、日本の2時間ドラマを思わせるような、

メイクでイマイチだったのが惜しい。

20歳くらいから、72歳まで演じるのだから大変だろうが、

若さが隠せないのだ。

ただ、最後ヌードは、合成でうまく作られていた。

セリフも面白いので、137分でも退屈しなかったが、

彼のバカさかげんに会場は女性の失笑が多かったので、

ちょっと、彼に同情してしまうという 妙な心境になってしまった。



あぁ、結婚生活

2本目は、「あぁ、結婚生活」。

これは、ロードショー時から面白そうだなと 観たかった映画。

愛人と結婚したいがために妻と離婚したいが、

妻を傷つけるのがイヤで、離婚を切り出せず、

ついに、妻を毒殺することを計画する中年男の物語。

ラヴコメディということだったが、ブラックユーモアだ。

ちょっとハラハラ、サスペンス的要素もあるし、

シリアスに考えさせられる面もある。

宣伝コピーが、

「隣で寝ている人(妻・夫)の本心を知っていますか?」

というような文句だったが、

そう言われると、分かっていないような気がするな。

「結婚とか愛とかって、理屈では説明つかないもんだな」、

というのが観終わった時の感想。

映画の感想になってないけど。

主演は、クリス・クーパー、友人役に ピアース・ブロスナン、

妻役に パトリシア・クラークソン、愛人役に レイチェル・マクアダムス。





2009.1.17

ワールド・オブ・ライズ

中東を舞台に、アメリカ(CIA)とテロリストの闘いを描いた映画、

「ワ−ルド・オブ・ライズ」 を観てきた。

冒頭、「フィクションだけど本当にあってもおかしくない話」 というような

テロップが出る。

実際、テロリストは今も活動しているだろうし、戦争もなくならない。

これが、ただの娯楽作品なら、意見も変わるが、

娯楽作品のように見せつつも、重要なメッセージがあるような気がする。

受け取るメッセージは、観る人によって違うのだろうけど。


主演は、レオナルド・ディカプリオ。

「ブラッド・ダイヤモンド」 「ディパーテッド」 と

ハードな役が似合う男になったな。

ラッセル・クロウが、イヤな役で出ている。

太ったのも役のためとどこかで読んだが、本当か?

原題は、「BODY OF LIES 」。

なんで、「ワールド・オブ・ライズ」 にしたんやろ。

それにしても、

日本は平和だ。





2009.1.19

オペラ座の怪人

渋谷 Bunkamura で、「ミュージカル映画特集」 をやっている。

「シカゴ」 や 「ドリームガールズ」 など6本を、

日替わりで上映しているのだ。

その中の一本、「オペラ座の怪人」 を観てきた。

2004年というから、もう5年も前の作品になるのだが、

興味があったのに観そびれてしまった作品だ。

評価の高い作品だが、やはり私のような

ミュージカル好きではない人間には、ちょっと辛かった。

ミュージカルやオペラ好きには、たまらない作品のようだが。

私が、観て良かったと思えるミュージカル映画は、

「Ray」 や 「アクロス・ザ・ユニバース」 のように

セリフはセリフとしてちゃんとしゃべり、

音楽は音楽としてストーリーの中にうまく組み込まれている作品だ。

今作のように、セリフを歌にされると、

ストーリーが停滞してしまったように感じてしまうのだ。

今度は、ミュージカルでない 「オペラ座の怪人」 を観てみたい。

そんなのあるのかどうか知らんけど。





2009.1.24



もう、15年くらい前になるが、とある霊能者に見てもらったところ、

「前世、お坊さんでした」 と言われたことがある。

その後、別の人に

「前世、修行僧でした。修行を途中で投げ出しました」 とも

言われた。

この 「途中で修行を投げ出した」 という中途半端さが、

今回の人生でも、基本になっているような気もする。


さて、映画 「禅 ZEN」 を観てきた。

(「ZEN」 と英字表記がついているのは、外国人へのアピールか。)

観終わった後、心を洗われたようなすがすがしさと、

映画館を出た後、背筋を伸ばし、襟を正したくなる作品だった。

映画自体も良かったが、

特に道元を演じる中村勘太郎、

北条時頼を演じる藤原竜也 が 素晴らしかった。

歌舞伎役者の中村勘太郎は、ミリ単位で体を動かし演技できるらしい。

まだ、20代なのに年老いた道元まで見事に演じていた。

藤原竜也も、苦悩する権力者、北条時頼を迫力を持って演じていた。

キャストについて苦言を呈するなら、冒頭の道元の子供時代の

役者のセリフがあまりにもひどかったように感じる。

映画の始まり部分なので残念だ。

あと、(余計だな)と思うシーンが結構あったのも残念。


短い映画の中では、道元の人生を描ききることさえ、難しく、

とてもじゃないが、「禅」 のことを一般の人が理解できるレベルに

説明するのは、無理だろう。

短絡的に 「欲を無くすことが悟りだ」 みたいな解釈をしてしまうと、

この映画の良さも見落とすだろうし、

「禅」 のことも勘違いしてしまうことになる。

と言っても 私も 禅のことは知らないのだけど、

そんな簡単なことではないことは分かる。

私は、座禅はしたことがないが、ある瞑想法を学んだことがある。

その瞑想と 道元の座禅はかなり似ていると思った。

考えてみれば、どちらも元は釈迦の説いた

ひとつの悟りへの道であったのだから、当然のことかも知れない。

そのおかげで、道元が言わんとしていることも、

少しは理解できたと思うが、何も知らずに観たならば、

映画自体の評価も変わっていただろう。


只管打坐。

ただ、座る。

悟りのためにではなく、ただ、座る。

もっと、道元のことを知りたくなった。





2009.1.28

地球でいちばん幸せな場所

たぶん、初めてのベトナム映画。

両親を無くし、叔父の工場で強制労働させられる10歳の少女 トゥイ。

彼女は、一人で生きていこうと叔父のところを出て、

ホーチミンへ行く。

そこで薔薇の花売りをしながらの5日間を描いたハートフルな物語。

ストーリーは、ベタベタだが、泣ける。

そして、ベトナムの貧困、児童労働、ストリートチルドレンといった問題が

リアルに描かれている。

孤児たちを預かる施設に入れば、食事も寝床も確保できるのに

そこよりも、薔薇の花を売りながらのストリートの生活を選ぶ少女たち。

日本では考えられない重いテーマをさりげなく見せつつ、暗くならない。

主役の少女、ファム・ティ・ハンが良い。

2007年ロサンゼルス映画祭観客賞<最優秀作品賞>など、

数々の賞を受賞した作品だ。



 ↑
昨年の公開なので古いバナーですが・・・。






2009.1.29

白い馬 赤い風船

昨日の 「地球でいちばん幸せな場所」 は、

「白い馬」 「赤い風船」 との 3本立てだった。

といっても 「白い馬」 「赤い風船」 は2本あわせても

1時間15分ぐらいで、2本セットで上映されている。

「白い馬」 は、1953年のカンヌ国際映画祭でグランプリ、

「赤い風船」 は、1956年の年のカンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞。

「白い馬」 は白黒で、「赤い風船」 は、カラーだ。

2本とも監督は、アルベール・ラモリス。

確かに2本には共通点が多い。

まず、子供が主役、セリフはほとんどなく、映像でストーリーを見せていく。

子供と馬、または風船との心の交流みたいなものを描いていて、

ラストシーンも共通している。

そして、2本ともどうやって撮影したんだろうというシーンも多い。

「白い馬」 で主人公の弟役を演じているのが、3歳ぐらいの頃の

パスカル・ラモリス、監督の息子。

そして、3年後の作品、「赤い風船」 彼は主役を演じている。

観てて気がつかなかったけど。

2本とも子供が美しい、と思った。

あまり日本では観ることが出来ず、半ば伝説のような作品だったようで、

昨年、日仏交流150周年の記念上映として、

デジタルリマスター版の上映となったようだ。

私も今回、初めて知った作品だ。

赤い風船/白い馬 公式サイト





2009.2.2

誰も守ってくれない

予告編を観た時から、興味を持っていた作品 「誰も守ってくれない」。

昨日は、映画の日だったから、ちょっと混んでいた。

殺人事件の加害者の妹と、マスコミから彼女を守る刑事の物語。

先々週 (公開前日)、TV でスペシャルドラマを放送したのを観た。

スペシャルドラマは、映画の題材になった事件の4ヶ月前を舞台にしていて、

ラストシーンが、映画のオープニングにつながっている。

いきなり映画を観た方より、このドラマを観てから映画を

観た人の方が、より楽しめただろうし、理解できただろうと思う。

例えば、カウンセラー役の木村佳乃。

映画では彼女と勝浦刑事 (佐藤浩市)の関係が描かれていないので、

患者と先生の関係、と言われても良く分からない。

ドラマを観ていれば、その辺も疑問がない。

佐藤の右手が時々、震えるのだが、これもそのわけは

スペシャルドラマの中で描かれている。

また、勝浦刑事や三島刑事(松田龍平)セリフのいくつかは、

そのドラマを観た人だけが、背景を理解することができる。

だから、私はそのドラマを観ていて 良かったと思った。

でも、このスペシャルドラマ、最初から企画があったわけではなく、

映画を撮り始めてから、佐藤浩一と松田龍平のコンビが面白くて、

出てきたアイディアらしい。

でも、後から出てきたアイディアにしては、上手く出来すぎてるから、

最初から、考えていたのかも。

刑事のコンビものといえば、『相棒』 がヒットしたが、

私は、この佐藤、松田コンビのドラマや映画を もっと観てみたい。

佐藤浩一って、若いときそんなに良いと思わなかったけど、

去年の 「マジック アワー」 も良かったし、最近、とても良いと思う。

松田龍平も やる気はないけど 仕事はできる刑事 を見事に演じている。

是非、シリーズ化を望む。

というか、これきっとやるよ。

脚本と監督が、『踊る大捜査線』 シリーズの君塚良一だし、

映画には、シリーズ化出来そうなネタが、素人目にもいくつかあったし。


前置きが長くなった。

映画の感想を。

良い映画だと思う。

まず、役者陣が素晴らしい。

佐藤浩一はもちろん、加害者の妹役、志田未来、

係長の佐野史郎、別の事件の被害者遺族、柳葉敏郎と

石田ゆり子、新聞記者の佐々木蔵之介、カウンセラーの

木村佳乃、そして佐藤の相棒、松田龍平、とみんな良い。

なんか、ピンと来なかったのは、志田未来の彼氏役の

冨浦智嗣ぐらいかな。

この人のこと、知らなくて、最初、女の子だと思った。


今作は、難しいテーマを扱った作品で、

ハッピーエンドではないし、救いもない。

でも、絶望でもなく、私は希望を見た。

というか、希望を見せて映画は終わる。

でないと、やりきれないもんね。

映画では、犯人逮捕からの数日間を描いているので

加害者の家族は、これから後の方が大変だろうと思う。

ちょっと、過剰な演出かと思う場面もいくつかあったが、

実際に自分の知らない世界で何が起こっているのかは、

分からないので、そういうことも本当にあるのかも知れないし、

問題提起のためには、分かりやすくて良いのだろう。

それにしても、マスコミやネットへの一部の心無い人達の書き込みには、

映画だと分かっていても、気分が悪くなった。

加害者の家族を描いた作品は、『手紙』 があったが、

それとは 違う切り口で、考えさせられる良い作品だ。


私の前に座っていた二人連れが、映画の半分ぐらいで

席を立って出て行った。

面白くないのかな、と思ったが、

実際の被害者の家族が、見ていて不愉快で途中で席を立ったと

あるレビューに書かれていた。

昨日 席を立った人たちが、そうかどうか分からないが、

他人の行動の裏には 自分が思いもつかない動機がある可能性が

あることに、ハッとさせられた。




アフタースクール

大泉洋 主演。

佐々木蔵之介、堺雅人、常盤貴子と、実力派キャストが共演。

これは、予備知識なしで観た方が、絶対面白いと思うので

内容には触れないけど、エンディングがすごく好きだなあ。

それに、見終わってから、色々確認したくなって、

もう一度 観たくなる映画だ。

エンドロールの後にも付け足しでちょっとしたエピソードが

流れるので最後の最後まで観ること。

大石吾朗が、議員役で出てるんだけど、役柄のせいか

すごくふてぶてしいおっさんになっていて、びっくりした。

大石吾朗 といえば、私たちの世代では、

『コッキーポップ』 のさわやかな司会者だもんね。





2009.210.

睡 魔

1〜2年前まで、なかったことなのだが、

最近、時々、映画館で映画を鑑賞中、眠くなる。

それは、映画がつまらないから、というわけではない。

たぶん、睡眠が充分足りていないことが多いのだろうが、

それにしても以前には なかったような気がする。

私が覚えている限り、30代で途中で寝てしまった映画は1本だ。

でも、その時は、徹夜明けだったり、映画が面白くなかったり、と

自分で納得できる理由があったのだ。

最近は、ちょっと違う。

これは、年齢の問題なのだろうか。

40代半ばで、そんな老人みたいなこと、自分でも言いたくないのだが。


眠くなった時、がんばって乗り越えられる時もあるのだが、

もう、意識がもうろうとし出し、ほぼ気を失うかのように

(たぶん)数分間〜10分ぐらい、寝てしまう。

そうすると、後半は、しっかり観られるのだ。

そう、「後半」と書いたように、眠くなるのは決まって前半だ。

もう一つ、考えられる理由は、映画を観るのが 食後であることだ。

映画に限らず、LIVEを観にいっても お腹いっぱいで

おまけに酔っ払っていたりすると、演奏を聴きたいのに、

強烈な睡魔に襲われることがある。

充分に睡眠をとって、食べすぎ、飲みすぎに気をつけろってことだな。


昨日、『ジャージの二人』 という、鮎川誠 と 堺雅人 が出ている映画を

観に行ったのだが、始まってしばらくして、強烈な睡魔がやってきた。

しばらくは、指でまぶたを開けてがんばっていたが、

(そこまでせんでええやろ)

目が開いていても、頭がストップしているので、

降参して 少し、寝た。

寝たのは たぶん10分ぐらいだと思う。

後半は、すっきりして観終えたのだが、

(えっ?もう終わり?) というぐらい、短く感じた。

(もしかしたら、30分ぐらい寝てしもたんやろか) と思ったが、

映画自体が90分ほどの映画だったので、短く感じたんだと

自分に言い聞かせた。

なので、映画の感想は、あまり書けない。

でも、面白かった。

堺雅人って、なんとなく 太川陽介 に似てない?

先週観た 『アフタースクール』 では、思わなかったけど、

昨日は すごく思った。

ルイルイ。





2009.2.14

が〜まるちょば

楽しみにしていた約1年ぶりの 「がーまるちょば」 のLIVEに行って来た。

「がーまるちょば」 は、サイレントコメディを見せる日本人2人組み。

日本よりも海外での評価が高いらしい。

今回も期待を裏切ることなく、素晴らしいショーを見せてくれた。

なんだろう。

説明できないのだが、あまりの素晴らしさに感動する。

日本でも徐々に知名度が上がって来ているようだが、

周りの人に聞くと知らない方もまだ多い。

ホントに素晴らしいと思うので、是非ナマでご覧になってほしい。

たまにTVに出ているが、TVでは、彼らのスゴサは伝わらない。

2時間たっぷり、是非LIVEで体験して欲しい。

といっても、今回のツアーは、もう、チケットは、売り切れている。

今回は、初の日本縦断ツアーとのことだが、この後、5月に

彼らは、New York での公演が決定している。


知らない方は、YouTubeで 「が〜まるちょば」 と入れてみてね。





2009.2.19

アキレスと亀

北野武 監督作品。

面白かったけど、ちょっと難解で、メッセージを受け取り損ねた感じ。

才能のない画家 (北野武) と、彼を支える妻 (樋口可南子) の物語。

「アキレスと亀」 というのは、アキレスと亀が競争して、

足の速いアキレスが永遠に亀を追い越せない、というパラドクスの話。

映画の最後に、「アキレスが亀に追いついた」 とテロップが出るが、

イマイチ、よく分からないのだ。

ネットで、他人のレビューを読んで、理解の助けをもらっても、

ピンとは来ないほど、難解。

また、妻が最後に本当の幸せをつかんだ、と どこかで読んだのだが、

それも、イマイチ分からない。

樋口可南子は、『明日の記憶』 でも妻役が素晴らしかったので

期待したが、もうちょっと彼女の良さを観たかった感が残った。

ゾクッとしたのは、北野武 演じる 倉持真知寿 の子供時代を

映画の前半で、吉岡澪皇 という子役が演じているのだが、

後半、中年になった真知寿の表情に その子供時代の面影が

あることだ。

これは、すごい。

あと思ったのは、才能がないのに芸術を続けることは、

悲惨で、迷惑だ、ということだ。

でも、本人は幸せなのかもしれない。

というか、彼の場合、それ以外の生き方がないんだけど。





2009.2.20

圧 巻

本日、発表の日本アカデミー賞。

『おくりびと』 が、なんと10部門を制覇。

最優秀作品賞
最優秀監督賞(滝田 洋二郎)
最優秀脚本賞(小山 薫堂)
最優秀主演男優賞(本木 雅弘)
最優秀助演男優賞(山ア 努)
最優秀助演女優賞(余 貴美子)
最優秀撮影賞(浜田 毅)
最優秀照明賞(屋 齋)
最優秀録音賞(尾崎 聡・小野寺 修)
最優秀編集賞(川島 章正)

良い映画だったけど、ここまで獲るとはすごい。

昨年、私が3度も映画館へ足を運んだ 『西の魔女が死んだ』 は、

何にもノミネートもされていない。

だから、どうだってことはないけど。

『おくりびと』 以外の受賞作は、

最優秀主演女優賞  木村 多江 『ぐるりのこと。』

これは、納得。

最優秀アニメーション作品賞 『崖の上のポニョ』

最優秀音楽賞 久石 譲 『崖の上のポニョ』

最優秀美術賞 桑島 十和子 『パコと魔法の絵本』

最優秀外国作品賞 『ダークナイト』

話題賞 (作品部門) 『容疑者Xの献身』

話題賞 (俳優部門) 松山 ケンイチ
    <対象作品>『デトロイト・メタル・シティ』

昨年は、多くの日本映画を観たおかけで、

ノミネート作品のほとんどを観ていたので、

今回の受賞は興味深い。





2009.2.25

Corteo

昨年の 『ドラリオン』 に引き続き、今年も観てきたぞ。

“シルク・ドゥ・ソレイユ”。

今年の出し物は、『コルテオ』。

しかも、今回は友人がゲットした招待券で!

うたい文句に

「シルク・ドゥ・ソレイユ史上、もっとも詩的で贅沢な空間 『コルテオ』」

とあるように、確かに昨年の 『ドラリオン』 より、登場する人の数や、

舞台の仕掛けなどで、パワーアップしているような気がした。

芸はもちろん相変わらずスゴイ。

CG や VFX などで、刺激的な映像になれてしまっているが、

やはり、目の前で生身の人間が演じると迫力が違う。

いくつか、凄いのがあったが、

私が、一番素晴らしいと感じたのは、「デュオストラップ」 という演目。

男女の二人組みの演技で、天井からつるされたロープ2本に

どちらか一人がつかまって、もう一人がその身体にからまって、

地上5〜6メートルで、演技するというもの。(分かるかな?)

ロープは、手に固定されていない、巻きつけているだけだと思う。

手を放したら、落ちるのだ。(当たり前)

その状態で、すんごいことをやるのだ。

会場は、思わず 「おぅ!」 とか、「わぁ〜!」 とか 声が上がる。

私は、気がついたら、「こわ」 と、声を出していた。

それにしても、ひとつ間違うと、二度と舞台に立てないような

怪我をする危険のあるような、演技を毎日のように演じている彼ら。

ほんの少しの妥協や油断が命をも奪いかねない。

その緊張に満ちた、日々の鍛錬の上にあのパフォーマンスが

あるのだと思うと、自堕落な自分を戒めたくなった。


あと、やはり、音楽が生演奏というのがいい。

演技がうまくいかず、やり直したりすることもあるのだが、

そういう時も、生演奏なのでどんどん合わせていけるわけだからね。





2009.2.26

ボーダータウン

『ボーダータウン 報道されない殺人者』。

主演、ジェニファー・ロペス、共演、アントニオ・バンデラス。

実際の未解決の事件を基に作られた映画。

メキシコのフアレスという街で、この15年ほどの間に

500人もの女性がレイプされ、殺されたという。

しかし、それは、確認されている数字で、行方不明などを

いれると5000件とも推測されている。

アメリカの企業 (もしかしたら日本も?) が、工場を作り、

低賃金でメキシコ人女性を24時間体制で働かせ、

その結果、女性の深夜帰宅など、危険な状況が多くの被害者を

生み出している。

政府や警察は、半ば見て見ぬふり。

金と欲が全ての悲劇を生んでいる。

そして、事件が世界に報道されることもない。

この映画は、ある国では圧力がかかり、上映ができないという。

確かに、作品を観ると、

(えっ?メキシコ政府ってそんなにひどいの?

警察までそんなにひどいの?) と思ってしまう。

もし、作り話なら、名誉毀損で訴えられてもいいぐらいに描かれている。

しかし、映画製作自体に圧力がかかったりしたようなので、

ほとんど、事実なんだろう。


「世の中の80%の富を20%の人間が握り、

残りの20%のお金を80%の人間で分け合ってる」 というような

話を時々聞く。

そのたびに、自分は、20%のお金を分け合っている80%に属すると思う。

それは、日本だけを見ればそうかもしれないが、

世界を見れば、日本に生まれてこうして暮らせていること自体、

明らかに (世界中の) 20%に属している。

こんなに安全で、蛇口をひねれば飲める水が出てきて、

電気やガスや医療や交通が整備されている国は、世界にそう多くはない。

『ブラッド・ダイヤモンド』 もそうだったが、こういう社会派映画を観ると

ホントに日本は平和で安全で幸せな国だと思う。

だが、何かと比較して自分の幸せを確かめるのは、

何か違うような気がする。

今作の様な映画を観ても、果たして自分に何が出来るのかと、

問いかけても答えがない。

痛い、辛い映画だが、こういう作品を通して、

多くの人が事実を知ることが、

世界を変える第一歩なんだと思う。


ボーダータウン オフィシャルサイト





2009.3.5

ベンジャミン・バトン 数奇な人生

テレビCM もやっていたので、

ブラピの演じる ベンジャミン が80歳で生まれて

年とともに若返っていくストーリー、という程度の

予備知識で観た。

167分を少しも長いと感じることなく、集中して観れた。

彼の人生に起こってくることが数奇なのではなく、

そういう歳の取り方をする身体に生まれたということ自体が、

数奇なわけで、したがって、彼の人生は全てが数奇であらざるを

得ない、と思った。

どちらかというと、ドラマチックなストーリーやラブロマンスという

わけではなく、ただ、淡々と彼の人生が語られてゆく。

淡々としているのに、退屈ではないのは、ベンジャミンの人生が

普通じゃないからだろう。

映画の素晴らしさは、特殊メイクとCGにかなりある。

一昔前のような、わざとらしいメイクではない。

若返ったところは、もう、ホントに20代のブラピだ。

いや、最後に彼が登場するシーンは、ティーンエイジャーの

設定じゃないかな。

身体も華奢な10代に見えた。

コンピューターでしわを消したりしているらしいが、

テクノロジーの進歩に驚かされる。

私には、感動的な作品ではなかったが、良い映画だと思う。


さて、映画とは直接関係ないが、

「数奇」 というのは、「まれ」 という意味だと思っていたが、

調べてみると、

(1)〔「数」は運命、「奇」は食い違うの意〕ふしあわせ。不運。
また、そのさま。さっき。「―な運命をたどる」
(2)運命がさまざまに変化すること。また波乱に満ちているさま。
「―な生涯」

とあった。

そうだったのか、知らんかった。





2009.3.19

YOUNG AT HEART

気がつくと、40代も半ばを越え、20代や30代の時とは、

変わってきている自分の身体を 折に触れ感じるようになった。

そして、自分と同年代の知人の病死と突然死が増えてきたこの数年、

「死」 が 自分に関係のないものではなくなってきた。

もちろん、20代の時だって無関係ではなかったのだが、

今ほど身近に感じることができなかった。

 「歳を取ると、物事に対して、あきらめるようになる。

 だから、生きていくことも あきらめることができて、

 死ぬことも怖くなくなる。」

若い頃、そんな話をどこかで聞いたことがある。

その話を私は、「歳を取ると人生何もかもに対して、無気力になり、

前向きでなくなることだ」 と、解釈していた。

「まだまだ生きたい」 という 「生」 への執着があっては、

心静かに死ぬことなど出来ない、と思っていたのだ。

若くして死ぬならまだしも、

年老いて逝く時は、穏やかに静かに逝きたい。

そのためには、生きることをあきらめることだと・・・。


しかし、そうではない、ということを 今日観た映画は、教えてくれた。

その作品は、『ヤング@ハート』。

「平均年齢80歳のコーラス・グループの映画」 とだけの予備知識で

観に行ったら、なんとアメリカ、マサチューセッツ州に実在する

グループの6週間を追ったドキュメンタリーだった。

コーラスといっても、クラシックではなく、彼らのレパートリーは、

ジミ・ヘンドリックス、ボブ・ディラン、ジェームス・ブラウン、

クラッシュ、トーキング・ヘッズ、ポリス、コールド・プレイなど、

ロック中心。

年一回のコンサートのリハーサル、6週間の間に、

メンバーが亡くなっていく。

亡くなったメンバーは、決して生きることをあきらめた人達ではない。

そのコンサートの舞台に立つつもりで、直前まで練習していた人達だ。

歌うことが楽しくて、そのコーラス・グループが好きで、

生きがいにしているような人達だ。

残されたメンバーもいつ倒れてもおかしくないような人達だ。

だからといって、死へ抵抗しているわけではなく、全てを受け入れていて、

残りの人生を歌うことで 全うしようとしている。

メンバーが亡くなった直後にコンサートを開くことについて、

どう思うか と聞かれた92歳のしわくちゃの老婆が、こういう。

「歌うことが彼 (亡くなったメンバー) の望みだから、歌うことはやめない。

もし、私がステージで倒れたら、舞台袖に運んで、

そのまま、歌い続けてね、っていつもメンバーに言ってるの。」

死ぬことは、生きることの一部なのだ。

何かへの情熱を失うことなしに生きることの素晴らしさと、

音楽・歌の持つ パワーと癒しを、この作品は教えてくれる。

そして、彼らの歌が、素晴らしいのだ!

ぜひ、聴いて欲しい。

お勧め。


ヤング@ハート 公式サイト ← 予告編も観られます。


東京は、目黒シネマで 3月27日(金)まで。





2009.3.20

チェンジリング

アンジェリーナ・ジョリー 主演、クリント・イーストウッド 監督の

『チェンジリング』。

今日は、ちょっとネタバレなので、これから映画を観ようと思う方は、要注意。

「CHANGELING」 とは、「取り替えられた子供」 という意味らしい。

息子が行方不明になり、5ヵ月後に戻ってきたら、

息子とは違う別の子供だったという 1928年にロスアンジェルスで

実際にあった事件をベースにしている。

予告編を観た時は、別の子供を 「あなたの子供です」 と

警察に押し付けられるなんて、警察 (あるいは政府) の

どんな陰謀なのだろうと思ったが、実は、陰謀などなかった。

ただの警察のミスだったのだ。

当時のロス市警は不正と汚職で腐りきっており、

市民の信頼もなかった。

「行方不明の息子さんを見つけましたよ」 というのは、

市警にとって、数少ないプラスの要素だった。

それなので、「子供を間違えました」 と、

簡単にミスを認めるわけにはいかない。

そこで、「この子は、私の息子ではない」 と訴えるアンジェリーナ・

ジョリー演じる クリスティン が、おかしいのだと、

彼女を精神病院へ送り込む。

また、この病院がめちゃくちゃ。

警察に都合の悪い女性はみんな、そこへ送り込まれていたのだ。

そんな状況でも、彼女は、「息子に会いたい」 その一心で、

勇気と正義を失わない。

母親って、凄い、強い。

こんなひどい事が、実際にあったのかと思って観ると背筋が寒くなる話だ。

142分だが、長く感じることもなく、サスペンスでもあり、

人間ドラマでもあり、最後の最後まで、クリスティンの息子への

思いが貫かれていて、切なくも 見ごたえのある重厚な作品だった。


10年ほど前、『17歳のカルテ』 で初めてアンジーを知った。

主演の女優 (ウィノナ・ライダー) より、アンジーの方が印象的だった。

その作品で、アカデミー助演女優賞受賞。

今作は、オスカーは逃したものの、主演でノミネート。

前作 「ウォンテッド」 との役柄のギャップが凄いのだが、今作では、

美しい、賢い、芯のある強い母親を見事に演じていて、素晴らしい。

彼女は、私生活でも 6人の子供の母親だ。


映画の中で ちょっとショックだったこと。

1928年といえば、昭和3年。

その頃すでに、アメリカのおうちには冷蔵庫があったのだ・・・。




TOKYO 麒麟 ショー

今日は、妻とデートの約束だったので、映画 『チェンジリング』 を観、

そのあと、お笑いライヴを観に行った。

昨日になって、まだプランが決まっていなかったので、

(そうだ、演劇でも観に行こう) と思い立ち、調べてみたところ、

青山の草月ホールでの 麒麟 のライブ 「TOKYO 麒麟ショー」 を発見。

小学生の時に大阪で花月へ行ったことはあったが、

お笑いライブって 体験していないので

特に彼らのファンというわけもないのだが、行ってみることに。

驚いたことに、前日なのにチケットが売れ残っていたのだ。

あんな風にTVに出ている人達だから、

チケットも売り切れているのだろうと思ったが、

そうでもないようだ。

まあ、9割ぐらいは入ってたけどね。

プログラムは、麒麟のトークに始まり、

ゲストの東京ダイナマイト、POISON GIRL BAND、そして、

麒麟の漫才、その後、ゲストを含んだ6人でのゲーム。

トータル約2時間半近くあった。

全体的にはそれなりに面白かったのだが、

ファミコンやドラゴンボールなど

彼らの世代なら当たり前のことを私は知らないので

時々、分からないことがあった。

また、ライブならではの、TVでは観ることができない過激な笑いを

期待したのだが、それほどでもなかった。

始めの麒麟のトークが、そんなに面白くなかったのだが、

前の席の若い女の子には、すごく受けていた。

何がおもろいの?って聞きたいくらい。

漫才は、POISON GIRL BAND が一番面白かった。





2009.4.5

闇の子供たち

江口洋介、宮崎あおい、妻夫木聡、佐藤浩市らの出演する、

タイを舞台に 幼児売春、人身売買、臓器売買をテーマにした

社会派映画 『闇の子供たち』。

重いテーマを扱った作品で、この映画を作った意義を評価される一方で、

どうも、実際に横行しているらしい幼児売春と、

フィクション部分の臓器売買が境界線なく描かれ、

そのことが、批判の対象にもなっているようだ。

この映画に出てくる、心臓移植は実際には闇の手術では不可能だとか、

タイの医者はエリートだから、そんなリスクを負わない、とか

フィクションを事実のように描くな、と批判している側の人は言う。

今作も、その部分はフィクションだと謳っているようだが、

私は本当のことは分からない、と思う。

そんなこと、あって欲しくない。

臓器移植のために生きた子供が殺され、臓器が売買されるなどと

いうことが、あってよい筈がない。

しかし、某国では、物乞いのためには身体が不自由な方が、

お金をもらえるからと、わが子の手足を切断する、

という話を聞いたことがある。

平和に暮らしている私たちからは想像を絶することが世界のどこかで

行われている。

作品のストーリーがフィクションか ノンフィクションかより、

自分たちの心の闇を見つめることがテーマのように思う。


知らない社会問題をこういう作品を通して知らされることは、

良いことだと思う。

が、残念ながら、今作は何かが中途半端な印象をぬぐい切れない。

最後の桑田佳祐の歌も、要らんと思う。

阪本順治監督作品は、過去に2本 (『顔』 『亡国のイージス』) 観ているが、

私はあまり相性がよくないようだ。





2009.4.13

クライマーズ・ハイ

1985年8月12日の日航ジャンボ旅客機墜落事故を取材する

地元新聞社 (架空) のデスクの物語。

感想は、ひと言で言うと、

「私には、新聞記者はできない」。

ま、当たり前だけど。

あんな風に毎日、命を削って働くなんて、とても無理。

スクープ記事を書くことが、どうしてそんなに重要なのか、

私のような スロウな人間には 分からない。


ところで、あの事故のことは、よく覚えている。

当時23歳、プラスチック工場で夜勤のアルバイトをしていた。

朝8時すぎ、毎日夜勤明けの車の中で、浜村淳のラジオを

聞いていた。

事故からしばらくは、毎日その話題が続いた。

忘れられないのは、事故から数日後、ヴォイス・レコーダーが

発見され、パイロットの墜落 (衝突) 直前と思われる叫び声が、

録音されていたという話。

その話を聞きながら、強烈に胸を締めつけられ、涙がこぼれたことが

忘れられない。

(後日、それは、衝突直前の悲鳴ではなかった、と訂正されたが。)

今作は、事故を描いた映画ではないが、

やはり、事故のすさまじさが表現されている。

原作者、横山秀夫は、当時、現地群馬県の地方新聞社の記者として、

御巣鷹山に登ったらしい。

映画の新聞社は架空だが、言ってみればあそこにいた人なのだ。

原作は読んでいないが、きっとリアルなんだろうな。


映画としては、聞き取りにくいセリフが多かったのが、

残念だが、2時間25分を長く感じないほどの緊張感。

ちょっとテーマが、ぼやけた感がしないでもないが、

地方新聞社の中央への嫉妬、コンプレックス、スター記者へなること、

スクープを抜くことへの執念みたいなものは、痛いほど伝わってくる。

1985年、まだ携帯もパソコンもなく、足で、原稿を運んだ時代だ。





2009.4.19

ラースと、その彼女

アカデミー賞脚本賞に ノミネートされた作品。

原題 : LARS AND THE REAL GIRL 。

心に深い傷を負っていて、人付き合いができないラース。

ある日、兄夫婦の家に、彼女が出来たと連れてくる。

なんとそれは、等身大のセクシャルな目的の人形。

兄夫婦は、始め戸惑うが、医者の言うとおり、

その人形、ビアンカを人として扱うことにする。

やがて、町の人々も ビアンカを 人として扱いだす。

そんな中、ラースは少しずつ、癒され 立ち直っていく。

良い映画だ。

悲しいわけではないのに、説明のつかない涙がこぼれる。

人間の素晴らしさに触れるからだろうか。

現実だとしたら、そこまで周囲の人の協力はないだろう、と

思う場面もあるが、これはファンタジーなので、そこは良い。

説明くさくないところも良い。

(このシーンは、こういう意味だろう) と、観ている者の

想像力をかきたてる。

役者陣も音楽も GOOD。




画家と庭師とカンパーニュ

原題:DIALOGUE AVEC MON JARDINIER/
CONVERSATIONS WITH MY GARDENER

フランス映画。

パンに 「カンパーニュ」 という名前のものがある。

予告編を観て、画家と庭師の話だとは知っていたが、

邦題に 「カンパーニュ」 と付いているので、パンが重要な役割かと

思って観たら、「カンパーニュ」 とは、フランス語で田舎や田園という

意味だったようで、パンは関係ない。

田舎風のパンのことは 、正確には、「パン・ド・カンパーニュ」 と言うようだ。

勉強不足。


映画は、数十年ぶりに会った男二人、画家と庭師の友情物語。

劇的なストーリーというわけではないが、

観終えて、すがすがしく心洗われる作品。

こんな友人を一生に何人持てるのだろうか。

パリ郊外と思われる、田舎の風景も良い。


ちなみに これがパンの カンパーニュ(写真提供 Panetteria ARIETTA )







2009.4.28

グラン・トリノ

クリント・イーストウッド 主演 兼 監督作品 『グラン・トリノ』。

クリント・イーストウッドは、来月で79歳だ。

この作品で俳優業は引退し、今後は監督業をメインに

活動するらしい。

さて、『グラン・トリノ』。

良い映画だったのだが・・・

1時間20分あたりで、便意がピークに達し、

やむなくトイレへ。 トホホ・・・

(なんで、こんな時に〜) と思いつつ、座席へ戻ると、

ストーリーが展開した後。

どうも、起承転結の 「転」 あたりで、席をはずしてしまったようだ。

最悪。

それでも、ラストはグッときた。

もう1回 ちゃんと観たい。

音楽 (息子のカイル・イーストウッド) も良かった。





2009.4.29

バーン・アフター・リーディング

前作 『ノーカントリー』 が少々難解だった、コーエン兄弟の作品。

ジョージ・クルーニー、ブラッド・ピット、ジョン・マルコビッチ、

フランシス・マクドーマンド、ティルダ・スウィントン、と超豪華キャスト。

で、おバカなストーリー。

コメディなのだろうが、日本人にはあんまり笑えない感じ。

所々、面白かったけど。

印象に残ったのは、ブラピの使い方が贅沢やなぁ、ということと、

彼の演じるおバカキャラぶり、と彼の見た目の若さ。

20代に見えたけど、45歳だからね。

メイクだろうけど。

全体的にあんまり緊張感のない映画だった。

同じストーリーで、もっと面白くできただろうけど、

これがコーエン兄弟の 「味」 なんだろう。





2009.5.4

スラムドッグ$ミリオネア

先日、観に行ったら、満席で入れなかった。

本年度アカデミー賞8部門受賞ということもあり、期待は高まる。

で、今日、観てきたのだが、

良い映画だったけど、それほどでもなかった。

ちょっと期待しすぎたな。

期待せずに観たら絶賛してるかもしれない。

スピード感、エネルギー、生命力にあふれ、

意図的なのか、音声も雑音が耳が痛いような臨場感のある作り。

録音賞も取っているのは、そのあたりかも知れない。

インドという国がかかえる貧困や、貧困から来る様々な問題も

描きつつ、ハラハラ、ドキドキさせるエンタテイメント作品だ。

何より、子役が素晴らしい。





2009.5.5

脱走山脈

先日、子供の頃にテレビで観た映画 『脱走山脈』 のことを書いた。

30年以上前に観たのになぜか忘れられず、心に残っていると。

で、この機会に、借りて観てみた。

第二次大戦中、ドイツ軍の捕虜になったイギリス兵ブルックスが

ミュンヘン(?)の動物園で働くことになり、象のルーシーの飼育係になる。

やがて、ルーシーを疎開させることになり、旅を始めるが、

途中で監視のドイツ兵を殺してしまう。

ブルックスは、ルーシーを連れてアルプスの山を越え、

中立国であるスイスを目指す、というストーリー。

途中、何度も戦闘シーンもあるにもかかわらず、

戦争映画というより、ブルックスとルーシーの物語のようで、

どことなく、のんびりというか牧歌的な作品だ。

良い映画だとは思うが、途中で結末も予想がつくし、

凄くドラマチックなわけでも、感動的なわけでもない。

戦争映画という緊張感もあんまりない。

ラストで、「めでたしめでたし」って感じの映画だ。

実際、最後にそういう字幕が出る。

なぜ、この映画がそんなに心に残ったのか。

もう、大人になってしまった自分には分からないが、

子供心には、ルーシーが無事スイスまでたどり着いたことが

うれしかったんじゃないだろうか。

今なら、結末も予想がつくと書いたが、小学生だった私には、

きっとハラハラする物語だったに違いない。

ああ、そう考えると大人になるって、寂しいな・・・。





2009.5.5

グラン・トリノ

先週、観に行ったけど、途中、諸事情により10数分見損ねた

『グラン・トリノ』。

やはり、もう一度通して観たいので、観てきた。

2回目だったけど、今日の方が良かった。

やはり、前回見損ねた10数分は貴重なシーンだったのだ。

改めて、素晴らしい映画だと思った。

1回目は、「何で?」 って思った部分も、今日はよく分かった。

2回目だった分、細かい部分への理解も深まり、

より感動したのだと思う。

やはり、一度では理解しきれないものがあるんだな。

特に外国映画は。

クリント・イーストウッドの人間愛というか、希望というか、

祈りというか、そんな色々が、ジンジン沁みてくる作品だ。

私の今年のベスト5入りは確実。

まだまだ元気で良い作品を作り続けて欲しい。





2009.5.21

60歳のラブレター

先週公開された、中村雅俊、原田美枝子、井上順、

戸田恵子、イッセー尾形、綾戸智恵 ら豪華キャストの出演する

「60歳のラブレター」 を観てきた。

中村雅俊と原田美枝子、イッセー尾形と綾戸智恵 が、

それぞれ夫婦で、井上順と戸田恵子は、恋人 (?) の役で

熟年の夫婦愛と恋を描いた作品だ。

なんでも、長年連れ添った夫婦が、口に出しては言えない感謝の

言葉をはがきに綴る 「60歳のラブレター」 というものがあるそうで、

2000年から8万通以上の応募があったそうな。

その人気企画に着想を得て作られた作品のようで、

一部では、そのはがきの中から選ばれた3つのエピソード、

とも言われているが、本当かどうか分からない。

主演は、中村雅俊と原田美枝子で、二人とも良い味を出していた。

そして、イッセー尾形と綾戸智恵 も良かった。

特にイッセー尾形。

私は、彼が好きで、以前は彼の一人芝居のビデオを何本も

レンタルして観たものだ。

一度、ナマの舞台をと思っているが、まだ観れていない。

映画の方は、簡単にいうと、ベタなストーリーなのだが、

あっさり、(何度も) 泣いてしまった。

こんなんで、こんなに泣くのは、私が年を取ったからなのか、

単純だからか、作品が素晴らしいからか。

うむ、作品は素晴らしい。

「そんなにうまくいかないよ」 とか 「そんなに甘くないよ」 という

声もあるようだが、素直に、私は良いと思う。

そんなに期待なく観たのが良かったのかも知れないので

これから観る方は、期待せずに観てほしい。

(ここまで書いてそれは難しいか。)

熟年の愛と恋の作品、監督と脚本家も、30代と聞いて ビックリだ。





2009.5.23

おっぱいバレー

「このタイトルでまさかの涙」 という宣伝文句だったので

ちょっと興味持って観に行ったら、タイトルのイメージ通りの内容で、

全く涙は流せなかった。

みごとにCM にのせられた感じ。

中学の男子バレー部が、試合に勝ったら顧問の女性教師の

おっぱいを見せてもらうという約束を取り付け、

勝利に向けて奮闘するというストーリー。

実話を基にした映画らしいが、

タイトルからすると、コメディっぽい印象を受ける。

笑えるシーンもあるにはあるが、コメディと言うには中途半端。


時代設定は、1979 (昭和54) 年で、当時、私は高校2年生。

登場する中学3年生と2歳しか変わらないので、

生徒が アディダスのスポーツバッグを持っているあたりや、

出てくる車なんかも当時のもので、懐かしさを覚えた。

特に使われている音楽が、ピンクレディ、浜田省吾、ツイスト、

甲斐バンド、チューリップ、荒井由実 等、まさにあの時代のもので

(音楽では) おそらく40歳以上の人は楽しめるだろう。

が、この作品に低い評価をしているほとんどの人が、

そうであるように、主役の 綾瀬はるか が、私にもイマイチだったので

作品としての評価は低い。

主役がこの演技なのに、作品に高評価を与えるのは難しいと思うのだが、

総合評価 (Yahoo) が意外と高いのは、実は、関係者が投稿している

疑いがあるようだ。

なるほど、いまだにTV CM が流れているのは、

TV 局がらみの作品だと思えばうなずける。

もし、もっと上手い女優さんだったら、違った映画になったかも、

と思うが、監督はきっと良い作品を撮りたかったわけでは、

ないのだろうな。


ラストに流れる (フィンガー5の) 「個人授業」 は、

Caocao というユニットが歌っていて、カッコいいな、と思ったら、

正体は、田島貴男 (オリジナルラブ) と、持田香織 (ELT) の二人だった。





2009.5.25

天使と悪魔

トム・ハンクス主演の 「ダ・ヴィンチ・コード」 シリーズの第2弾。

前作は、確か、映画を観た後で原作を読んで、

原作の方が良かった覚えがある。

原作のボリュームがたっぷりの作品は、

映画では、色んな背景やエピソードを描ききれないので、

どうしても説明不足になってしまう。

そんな前作からの流れだったので、今作はさほど期待せずに観た。

やはり、前作同様、キリスト教やその歴史に関する知識がないと、

十分な理解は出来ないように思う。

私など、どうも、6〜7割の理解のまま、ストーリーが展開して

いってしまった感がぬぐえない。

それでも、大体のことが分かれば、ドキドキハラハラしながら、

楽しめる作品だ。

背景が分かっていれば、きっと、もっと面白いのだろうな。

怪しい奴が多くて、誰が黒幕か、私には最後まで分からなかったが、

レビューを読んでると、「予告編で犯人わかっちゃいました」 って

いう人が、結構いるようだ。

へぇ〜。





2009.6.3

接 吻

昨年公開された 小池栄子、豊川悦司、仲村トオル の

出演する映画 『接吻』。

気になっていたのに 映画館で観そびれてしまったので

DVD を借りて観た。

小池栄子と豊川悦司は、素晴らしい。

特に小池が、こんな良い女優だとは知らなかった。

TV のバラエティより、本格派女優の線で行ってほしいくらい。

豊悦も、セリフの少ない難しい役を素晴らしく演じていた。

仲村トオルについて、私は数作品、映画や TV で彼を観ているが、

どれもイマイチ良いと思えなかった。

今作も、どうも、映画の中で 「芝居」 をしているように、見えてしょうがない。

好き嫌いの問題かも知れないが、彼ではなくもっと良い役者だったら

良かったのに、と思ってしまった。

ストーリーは、

無差別殺人犯、坂口 (豊川悦司) と、彼をTV のニュースで観、

心惹かれていくOL、京子 (小池栄子) と、

坂口の国選弁護士、長谷川 (仲村トオル) の物語。

先が読めないのと 小池と豊悦のすごさで、映画に引き込まれてしまう。

そして、ラスト。

かなり、難しい。

理解できない。

脚本家 (万田珠実) による そのラストの説明が、公式サイト

PRODUCTION NOTE にあるのだが、

その説明を読んでも理解できない。

でも、理解できなくて良い作品なんだと思う。

実際、数年前、死刑囚と獄中結婚した女性がいた。

その無差別殺人犯のことも、結婚した女性のことも

やっぱり、理解できないし、理解しようとも、したいとも思わない。

だから、今作は理解できなくていいんだ。

ただ、映画なので理解できないと、自分の中で

落としどころがなく、困ってしまうのだ。


あと 「怖かった」 という感想も多いようだが、

確かに映画館で観たら、もっと怖かっただろうと思う。





2009.6.6

ブロークン・イングリッシュ

昨年公開された 『ブロークンイングリッシュ』。

予告編を見た時か、どこかでポスターを見た時か、

覚えてないのだが、とにかく、どこかの時点で、

男優が 『LOST』 の ジャック役 の マシュー・フォックス だと

思い込んでしまっていた。

実際は、メルヴィル・プポー というフラン人で、全くの別人だった。

似てると言えなくもないが、まあ似てないだろう。

映画の内容云々よりも 自分の思い違いと その思い込みに

ビックリしてしまった。

観る前は、(あの人、『LOST』 の ジャック役 のイメージが

強いから・・・)と 心配していたが、その心配は無用だった。

さて、作品は、中々恋人が出来ず結婚も出来ない、30代独身女性ノラを

描いたラブストーリー。

で、その メルヴィル・プポー という役者が、フランス人 ジュリアンの役で、

ニューヨークに来たときに、ノラと出会い恋に落ちるが、

フランスに帰ってしまい、離れ離れになり・・・というストーリー。

退屈は、しなかったが、特別面白いわけでもなかった。

主役の恋物語より、主役とその親友との友情の方が、私には魅力的だった。


★★★☆☆





2009.6.19

マルタのやさしい刺繍

昨年の 『僕のピアノコンチェルト』 以来の スイス映画。

2006年、スイスで動員 No.1 だった作品らしい。

日本では、昨年10月に公開され、観た人には高評価を得ているものの

宣伝費が少ないためか、上映館が少ないためか、

知名度は低いようだ。

夫に先立たれ、生きがいをなくしていた80歳の老婆が、

若い頃の 「ランジェリーブティックをやりたい」 という夢を思い出し、

友人たちとともに ショップ オープンのため奮闘する、という物語。

田舎の保守的な村なので、「下着なんていやらしい」 と

周囲の反対や中傷に合うが、おばあちゃんはあきらめない。

今年観た 『YOUNG AT HEART』 もそうだったが、

歳を取ることは、人生をあきらめることではない、と改めて思う。

何かを始めようとすると、必ず応援してくれる人と、

足を引っ張る人がいるものだ。

いつも、前者でいたいものだ。

スイスの田舎の風景も美しい。

一度、ああいう所へ行ってみたい。

良い映画でした。


★★★★☆


マルタのやさしい刺繍 オフィシャルサイト





2009.6.24

月のひつじ

大人になってから、数百本の映画を観ただろうが、何年経っても

心に残っている映画は、そう多くない。

2002年夏公開の オーストラリアの映画 『月のひつじ』。

当時、この映画のことは何も知らずに、たまたま観た。

先日、何の拍子か、ふと、この映画のことを思い出した。

もう一度観たくなって、DVDを借りて観た。

凄く良かった。

覚えてないけど、7年前もきっと感動したんだろう。

だから、この作品のこと、記憶に残っていたんだと思う。

これは、1969年のアポロ計画にまつわる事実をベースにした作品。

原題の 『The Dish』 とは、オーストラリアの田舎町パークスにある

巨大アンテナのことだ。

その田舎町の巨大アンテナ基地が、月面歩行の映像を世界に

生中継する大役を受けた。

そして、大きなプロジェクトには付き物の、問題が起こる。

パークスのアンテナ基地所員3名と NASA から出張しきた

アメリカ人1人の合わせて4人が、力を合わせてその問題を乗り越え、

月面歩行の瞬間を全世界に生放送する。

映画を観ていると、本当にその瞬間に立ち会っているかのように

感動的だ。

テレビで、スペースシャトルのニュースを見るより感動的だ。

映画の方が、本物のニュース映像より感動的というのは、面白い。

ニュースは、その映像が始まるまでの自分と その映像の世界が、

あまりにも関係なさ過ぎということもあるし、

たぶん映画は前後のストーリーもあって感動するのだろうな。

映画の方が、リアル ということか。


1969年といえば、私は小学1年生で、

その瞬間をテレビで観たのかどうかさえ、覚えがない。

でも、翌1970年の大阪万国博覧会のアメリカ館で、そのアポロ11号が

持ち帰った月の石が展示されていて大人気だったことは、

はっきり覚えている。


話は、全然変わるが、この映画が作られたのは、2000年で、

2001年の 9-11 テロの起こる前だ。

映画の中で、NASA の職員が言う 「“11”は幸運の数字だよ」 と

いう言葉にドキッとした。

というのも、あのテロの後、「11」 という数字について

こんな話を聞いたからだ。

 9月11日(9+1+1=11)。
 9/11は、その年の254日目(2+5+4=11)で、残りは111日。
 犠牲になった飛行機のうち2機は、92人(9+2=11)乗っていた11便と、
 65人(6+5=11)乗っていた77便。
 ツインタワーは見るからに「11」で110階建て。
 NY州は、アメリカで11番目の州。
 イラン、イラクの電話の国番号は119。
 「NEW YORK CITY」は、11文字。
 「THE PENTAGON」は、11文字。
 「AFGHANISTAN」は、11文字。





2009.8.1

イルマーレ

すごい感動があるわけでもないのに、

何故か印象に残っていて、忘れられず、

何年か経つと また観たくなる映画がある。

私にとってのそれは、(今、思いつくのは)

『ベティ・ブルー (BETTY BLUE)』

『ピアノ・レッスン (THE PIANO)』

『ラヴソング (甜蜜蜜/COMRADES, ALMOST A LOVE STORY)』

などがそうだ。

こうして並べてみると、フランス映画、オーストラリア映画、

香港映画、というのも面白い。

そこに あらたに1本加わった。

今度は韓国映画、2001年の 『イルマーレ』 だ。

以前友人がくれた観ていなかった DVD を 昨夜やっと観たのだが

これが、良かった。

きれいな映像で、音楽も良いし、主演の男女も良い。

出来れば、映画館で観たかった。

大人のラヴ・ファンタジー とでもいうのかな。

時空を越えて恋に落ちちゃったため、

相手に会いたくても会えない、切ない恋愛映画だ。

その時間の差が2年なので、2年待てば会える筈なのだけれど・・・。

また、いつか観たいと思う佳作だ。


この作品は、その後 2006年、キアヌ・リーブス と

サンドラ・ブロック で リメイクされた。

ちょっとラストが違うらしい。

そっちも観てみよ。


それにしても、何年かに一度、観たくなる映画が

恋愛映画ばかりというのも、47歳のおっさんとしては微妙だな。

『パピヨン』、『フォレストガンプ』、『ショーシャンクの空に』 なんかも

何年かに一度観てるんだけど、

これらは、強烈にインパクトがあった作品なので、

その恋愛映画群とは、ちょっと何かが違うのだ。





2009.8.12

フィッシュストーリー

約2ヶ月ぶり、久しぶりの映画。

昨年観た 『アヒルと鴨のコインロッカー』 が良かったが、

同じ伊坂幸太郎原作、中村義洋監督の作品。

どちらかというと、『アヒルと〜』 の方が、良かったが、今作も悪くはない。

好き嫌いは分かれるだろうけど、なんだか散漫なのにまとまっている、

中途半端かというとそうでもない、ナンセンスなのに真剣、という感じ。

感動的ではないし、大笑いもないが、独特な世界で、

観終わって人に説明するのが難しいストーリー。

途中、「ベストキッド」 のパロディ(?) もあり、知ってる人だけ

ニヤッとさせられるシーンも。

もしかしたら、私の知らない色んな映画のパロディやパクリが

散りばめられていたのかも。

伊藤淳史がロックバンドのベース奏者なのだが、

これが結構サマになってたし、ヴォーカル役の高良健吾は、

本当にどこかのバンドのヴォーカルかと思うほどだったし、

やっぱり、役者ってすごいな。

森山未來、濱田岳も良い。

その他、多部未華子、大森南朋、石丸謙二郎 など出演。


★★★☆☆





2009.8.14

レイチェルの結婚

家族の崩壊と再生を描いた作品は多いが、

これは再生の映画ではない。

一部に、「家族の再生」 と書かれているが

どこが再生したのか私には分からない。

集まると、もめごとが露出し、結局、みんなバラバラに

なっていくしかない、そんな家族の難しさを描いた作品のように

感じた。

もちろん、崩壊には悲劇的な原因があった。

その悲劇を誰もが乗り越えられずにいるところが、

つらく悲しいところだ。

主演のアン・ハサウェイが 痛々しく美しい。


★★★☆☆





2009.8.16

アマルフィ 女神の報酬

織田裕二が、イタリアを舞台に外交官を演じるサスペンス映画。

評価は、賛否に別れ、思ったほど高くないのだが、

私は、面白かった。

まず、織田裕二が、カッコよい。

ええ男になったなぁ、という感じだ。

そして、イタリアの風景が素晴らしい。

特にタイトルにもなっている アマルフィ は、ユネスコの世界遺産にも

登録されているような美しい街、海岸で、この映画を観て、

訪れる人の数も増えるんじゃないだろうか。

アマルフィの街を空から撮影しているシーンがあるが、

これは、映画館の大画面で観たい。


キャストも豪華。

ちょっと豪華すぎて、もったいないというか、余計に感じるほど。

福山雅治とか、要らないんじゃないのって思ってしまった。

まあ、テレビ局の50周年記念なので、豪華にしなければ

ならない事情もあるのでしょう。

ストーリーは、適度にドキドキで、犯人が分かってからも、

動機が分からず、その辺の解き方は上手いと思った。

ただその誘拐の動機が、よく考えると、どうなんだろう?と

思えることなど細かいことを言えば、不満は多少あるのだが、

全体としては、面白いと思う。

ぜひ、第2弾も観てみたい。


★★★★☆





2009.8.25

フロスト×ニクソン

ちょっと面白そうだな、と思っていた映画 『フロスト×ニクソン』 を

観てきた。

今作は、本年度アカデミー賞に5部門ノミネートされた。

主演男優賞に ニクソン役のフランク・ランジェラ。

まあ、ふてぶてしくて、でも大統領にまでなった人だから、

魅力もあって、口が達者で、哀愁も貫禄もある役を見事に演じていた。

監督賞に ロン・ハワード。

今年の 『天使と悪魔』 も彼の作品だし、

ドキュメンタリー・タッチの映画としては、『アポロ13』 も彼の作品。

今作も、実際にあった話をベースにしている。

ウォーターゲート事件で、大統領を辞任したニクソンを

トークショーの司会者デビッド・フロストが単独インタビューする。

ニクソンは、政界復帰への足掛かりにする目的で、

その番組出演依頼を高額なギャラで受ける。

フロストは、このインタビューの成功で全米進出をもくろむ。

しかし、そのためにはニクソンに勝たなければならない。

ニクソンに勝つというのは、彼にウォーターゲート事件の

罪を認めさせることであり、国民への謝罪を引き出すことだ。

作品中も何度かふたりのインタビューをボクシングの試合に

たとえているが、まさに真剣勝負なのだ。

(1977年に米国で放送されたこの番組は、4,500万人の米国民を

くぎ付けにし、アメリカで史上最高の視聴率をはじき出し、

その記録は、今も破られていないらしい。)

手に汗にぎる、というとちょっと大げさだが、

インタビューの後半は、ドキドキさせられた。

お互いの心理かけひきも見所。

自国の汚点をこのようなエンターテイメントに出来るアメリカは好きだな。


★★★★☆





2009.8.26

意志の勝利

1934年に製作されたナチ党の全国党大会記録映画、

『意志の勝利』 を観て来た。

白黒モノラルの記録映画で、ナチ党のプロバガンダに使われ、

ドイツでは、いまだに一般上映は禁止されているという問題作だ。

渋谷にある座席数100席ほどの小さな映画館 (シアターN) で、

マニアックに上映されている。

週末に観て来た人に、「混んでるよ」 と聞いていたが、

今日の21:10からの回は、満席で立ち見も売り切れで、

入れずに断られている人が、結構いたようだ。

私は、以前この映画館で、満席で入れなかった覚えがあるので

今日は、早めに行って整理券を入手した。

19時前に行ったら、すでに整理番号が、40番だった。

しかし、残念ながら、今日は 「睡魔」 の日で、ほとんど、

意識が朦朧としていて、映画の感想は、書けない。

起きて観ようと必死になって、がんばるのだが、座席にいては、

身体を大きく動かすことも出来ず、眠気を取る術がない。

タイトルとは、裏腹に 「意志の敗北」 に終わったのだった。

そんなしゃれはさておき、私が驚いたのは この映画の人気だ。

週末に観て来た人に 「面白かったよ」 と、聞かされるまで、

この作品のことを知らなかったのだが、小さなシアターとはいえ、

満席立ち見である。

今日は水曜日で1000円の日だったから、特別混んでいたということも

あるかも知れないけど、あの調子じゃ、結構毎日混んでそうだ。

一体、どんな人が観に来るのだろうと思うが、いたって普通の人々に見えた。

マニアの間では、その映像美や編集に映画としての人気があり、

なんでも、コッポラ監督は本作に感銘を受け、わざわざ監督の

リーフェンシュタールのもとを訪れて、「編集」について教授を請うたという。

それぐらい、映画としては、完成されているらしい。(よく分からんけど)

それが、ナチ党のプロパガンダだということが、悲劇だが。





2009.9.1

縞模様のパジャマの少年

評判が良さそうなので、軽い気持ちで観に行った映画、

『縞模様のパジャマの少年』。

原題は、 「THE BOY IN THE STRIPED PYJAMAS」。

第二次世界大戦中、ユダヤ人収容所のフェンス越しに

ドイツ人とユダヤ人の少年の間に生まれた友情の物語、

その程度の知識だけで、観に行った。

収容所がらみということでシビアな設定とは、知りつつも、

少年の友情物語ということで、無意識にハッピーエンドを

期待していたのだろうか、

軽い気持ちで観た自分を戒めなければならないほどの

衝撃的な結末だった。

考えてみれば、現実の戦争やホロコーストには容赦などなく、

ただただ、残酷で酷いものであっただろう。

それらをテーマにしたものに、映画だからと娯楽性を求めるのは、

本来、無理があるのかもしれない。

人間の愚かさ、戦争、ホロコーストの無意味さ、残酷さを

圧倒的に思い知らされ、多くの人に観てもらいたいと思いつつも、

軽い気持ちでは勧められない重さを感じる作品だった。

子役2人は、オーディションで選ばれたとのことだが、

2人とも本当に素晴らしい。

登場人物がドイツ人なのに英語で話すことに、抵抗があり、

イギリス製作だからか、と思って観ていたが、

監督が大勢の人に観てもらうために英語にしたとの記述を読み、

そうだったのか、と納得。

強烈です。


縞模様のパジャマの少年 オフィシャルサイト


★★★★★





2009.9.15

キャデラック・レコード

アメリカ、シカゴにあったチェス・レコードの物語。

チェスといえば、ブルースのレーベルで、

マディ・ウォーターズが、一番に浮かぶ。

本作でも、マディのほか、ハウリン・ウルフ、チャック・ベリー、

リトル・ウォルター、エタ・ジェイムズら、実在の人物が登場する。

アメリカン・ミュージックの歴史の勉強にはなったが、

映画としては、イマイチ期待はずれ。

レイ・チャールズの映画 『Ray』 のような作品を期待したが、

チェスの全体を描こうとしたため、散漫になった印象。

描いた範囲が広く、細かい背景などが不足してる感がある。

マディ・ウォーターズでも、エタ・ジェイムズでも、

レナード・チェス一人に絞っても 映画が作れただろうから、

もったいないな、と思った。

「Based On A True Story」 ということで、アメリカン・ミュージック好きには

楽しめると思うが、「マディ・ウォーターズって誰?」 っていう人が

観たら、面白くないかも。

でも、チャック・ベリー役はどことなく本人に似ていたり、

ローリングストーンズが、チェスレコードを訪れるシーンがあるのだが、

ミック・ジャガーだと分かる役者が、演じていたりと面白かった。

ちなみに ローリング・ストーンズ というバンド名は、マディの曲、

"Rollin' Stone" から来ている。

また、日本では、「音楽でアメリカを変えた人々の物語」 という

サブタイトルがついているが、そこのところも、ダイジェストのように

流れてしまう印象だったのが残念。

「アメリカをどんな風に変えたの?」 って興味のある人は、

観てちょうだい。


★★★☆☆





2009.9.24

MILK

といっても牛乳のことではない。

今年、アカデミー賞に8部門ノミネートされ、

主演男優賞、脚本賞を受賞した ショーン・ペン主演の

映画のタイトルだ。

「ミルク」 とは、その作品の主人公、ハーヴィー・ミルクのこと。

実在の人物で、1970年代にサンフランシスコで

ゲイであることを公表して初めて政治家になった人だ。

映画を観るまで、アメリカでの70年代の同性愛者の扱われ方なんて

知る機会もなかったが、同性愛者と分かれば仕事を解雇されたり、

逮捕されたり、暴行されたり、時には殺されたりと

かなりひどかったようだ。

作品中、「同性愛者を認めると、泥棒や売春婦も認めなければならない」

という当時の政治家のセリフがあるほどだ。

(以下 ネタバレ注意)

ミルクは、ゲイの解放のために立候補するが、3度落選する。

77年、4度目の立候補で市政執行委員に当選する。

映画は、彼が、ニューヨークからサンフランシスコに移る前の

70年から、77年に公職に就き、翌78年、同じ市政執行委員に

撃たれて死ぬまでの8年間を描いている。

政治の部分だけではなく、彼のボーイフレンドとの関係も

描かれている。

ミルクを演じる ショーン・ペン は、主演男優賞も もっともだと

思える演技で、最後にちょっとミルク本人の映像が出るのだが、

まるで、ショーンペンに乗り移っていたかのようだ。

そして、ゲイにしか見えない。

ミルクとしては、当選から1年後の死で、志半ばだっただろうが、

彼の功績は、「タイム誌が選ぶ20世紀の100人の英雄」 に

選ばれたことからも、いかに大きかったかが分かる。

射殺される (しかも政治的にではなく、妬みのようだ) という

悲劇で政治生命を絶たれるのだが、作品はその後の

市長 (市長もミルクと同時に殺された) とミルクの死を悼んだ

3万人以上の市民の行進で幕を閉じる。

悲劇の結末なのに、最後に少し平和な気持ちになり、

勇気と愛と希望をもらえる作品だ。

予告編を観た限りでは、まさか泣いてしまう映画だとは

思わなかったが、社会派&ヒューマンドラマ好きには勧めだ。

ゲイのラヴシーンは、『ブロークバック・マウンテン』 よりはソフトだと思う。


★★★★★





2009.9.30

重力ピエロ

予告編を観て気になっていた作品。

伊坂幸太郎 原作といえば、『アヒルと鴨のコインロッカー』、

『フィッシュストーリー』 を観たが、それらは、監督が中村義洋、

本作は、森淳一で、森監督の映画は初。

原作は、読んでいないので、『重力ピエロ』 というタイトルと、

予告編から、軽いサスペンスタッチの軽快な物語を想像していた。

ところが、そこそこにヘビーなテーマを持った作品だった。

サスペンスな部分は、割と先を読めてしまい、前半で

(たぶんこの人が犯人だろう) とか (こういうことだろう) と

推測したことは、ほぼ当たってしまうので、ミステリーとしては、

そんなに面白いとは思えない (もちろん、先の読めない部分もあるが)。

だが、この映画のテーマは、家族の絆みたいなもので、

その部分で、泣かされてしまった。

父親役の小日向文世がとても良い。

ひょうひょうとしているのに、息子たちのことを一番知っていて、

そして、けして強そうじゃないのに、ホントはすごく強い父親で、

彼のセリフに泣かされる。

主役の加瀬亮、弟役の岡田将生も良い。

嫌な役で登場する渡部篤郎も、ホントに憎たらしくて良い。

星4.5というところ。


★★★★▲





2009.10.2

サマーウォーズ

かなりの高評価を得ている映画 『サマーウォーズ』。

絶賛している人が多いので、観てみることに。

良い作品でしたが、私としては、絶賛するほどではなかった。

期待しずぎたのかも。

始まって、10分ぐらいは、(この映画ホントに面白いの?) って

思ってしまったし、手に汗にぎるようなシーンでも、

あんまりドキドキハラハラがなかったのが残念。

良かったのは、日本の夏、田舎に親戚、大家族が集まるあの感じが、

上手く表現されていたこと。

何をテーマと見るかは、人によっていくつかの見方ができそうな

作品だけど、やっぱり、最後は 「人」 でしょ、ってことと、

「あきらめないうちは、まだ負けていない」 ってことと、

「あなたは、できる」 ってことが心に残った。

あと、おばあちゃんの声を 富司純子さんがやっているが、

大変良いです。

そういえば、本作は、予告編を観た覚えがない。

予告編を観てたら、興味を持ったかな。

8月1日公開なので、3ヶ月目に突入。

すでに100万人動員を突破している。


★★★▲☆





2009.10.12

おとなり

岡田准一、麻生久美子主演の映画。

『おとなり』 というタイトルは、「お隣」 と 「音鳴り」 のふたつの

意味があるらしい。

一度も顔を合わせたことない、隣同士の男女。

壁越しの、お互いの生活音が安らぎになっていく・・・。

そんな、雑音 (?) に心が安らぐなんて、ちょっと私には無理だ。

もう、この次点で、メルヘンだ。

あんまり面白くないんだろうな、と期待度ゼロで観たのだが、

これが意外と良かった。

最後の方では、2人がうまく出会えるかどうか、一喜一憂。

観ながら、心の中で うまくいくよう祈ってしまった。

麻生久美子は、いくつかの映画で見ているが、本作が一番良かった。

岡田准一も、良い。

他のジャニーズの人気グループの人たちより、演技も良い。

彼の作品なら、また観てみたい。


★★★★☆




重力ピエロ

『おとなり』 と2本立てだったので、2回目の鑑賞。

もう一度、観たかったわけではないが、観てみると、

2回目のほうが、良かった。

すでに人間関係や背景が、分かっている分、細かい演出に

気が付くし、一回目見落としていたことにも気付く。

一回目には、感じなかったことを感じる。

やっぱり、映画って一回では、分からないことが結構あるんだな。

そんなわけで、一回目では、泣かなかったシーンでも泣いてしまった。

そして、二回目の方が、ヘビーだった。

良い映画だと思う。

★5つに昇格。


★★★★★





2009.10.16

さまよう刃

『手紙』、『容疑者Xの献身』 と同じく、

東野圭吾原作ということで、ちょっと期待して観てしまった 『さまよう刃』。

犯人が未成年であることから、極刑にはならないことを不満に

娘を殺された父親が、犯人に復習するという物語。

その父親役に寺尾聰、刑事役に竹野内豊、伊東四朗。

比べるべきではないが、『手紙』 や 『容疑者Xの献身』 が

素晴らしかった分、本作は 何か物足りない感じ。

いや、テーマは重く、充分に考えさせられるべきことなのだが、

何かが足りない。

たぶん、親子の人間関係や犯人像が、実感できないせいかな。

原作の評判が良いだけにちょっと残念。

良い映画を作るのって難しいねんな。


★★★☆☆





2009.10.21

ホノカアボーイ

そんなに興味があった映画ではないのだけど、

何度も予告編を観るので、やっぱり観ておこう、と鑑賞。

主役の岡田将生、先日観た 『重力ピエロ』 とは、同じ人とは

思えない。

名前をチェックしなかったら、観終わっても同一人物だとは、

気付かなかったんじゃないか、と思うほど。

『重力〜』 では、ちょっとコワイ役だったけど、本作では、

ゆる〜い役のせいか。

作品自体も、かなりゆるい作品。

おとなのメルヘンという印象。

特に劇的なストーリーではないが、退屈せずに観れた。

好き嫌いは、分かれるだろうが、私は嫌いではない。

舞台になった、ハワイ島のホノカアという街には、いつか行ってみたい。

何も考えず、しばらくのんびり過ごすのにはきっと良いところだろうな。

倍賞千恵子、松坂慶子が良い。

喜味こいし が特に良い。

チョイ役に 蒼井優、深津絵里 と贅沢。


★★★☆☆





2009.10.26

週末の報告

2日更新をサボっただけで、いっぱい書くことが

溜まってしまった。

今夜は、山ちゃんと Mellow Flavor の練習で帰りが遅くなり、

書きたいのに、書くことがあるのに、眠たい。

あ、そうそう、今週の土曜日、久々の 渋谷ONYXでのライヴを

予定していたが、今日の雨で、お店の方にちょっとアクシデントが

あったようで、延期になった。

楽しみにしていた方 (いるのか?) ごめんなさい。

土曜日は、たぶんどこかの路上でやります。

ONYX は、来月やります。


さて、週末のこと簡単に書いておこう。

土曜日は、昼から友人宅でワインを飲みながら、音楽 ライヴDVD

(TOTO、Love Notes、C.LAUPER) を鑑賞。

シンディ・ローパーって歌、うまいんやな。

CDより、ライヴの方が、よく分かる。

夜は、映画2本立て。

ジェイミー・フォックス、ロバート・ダウニーJr. 共演の

「路上のソリスト」 と ミッキー・ローク主演の 「レスラー」。

「路上のソリスト」 は、実話を基にした話で、

救いのあるような、ないような、う〜んやっぱりあるのかな、

って感じの話。

ジェイミー・フォックスは、やっぱりいいな。

★★★★☆


「レスラー」 は、ミッキー・ロークがアカデミー主演男優賞、

マリサ・トメイが助演女優賞にノミネートされた作品。

ミッキー・ロークといえば、「ナインハーフ」 が強烈な印象だが、

あの頃とは、別人。

本作では、落ち目になったプロレスラーを演じているが、

試合シーンは、ホンマに痛い。

ストーリーもイタイ。

結末をどういう風に観るかは、観客にゆだねられているが、

私はあんまりハッピーにはなれなかった。

助演のマリサ・トメイが良い。

★★★☆☆


昨日は、bar dAZEへ 清水早苗 (vo) & 馬場孝喜 (gt) の

ライヴへ。

残念ながら都合で、2部からしか観られなかったが、

やっぱり、馬場さんサイコー。

ヴォーカルとのデュオということで、ギターひとりでどんな伴奏、

ソロを弾くのかと期待したが、とても良かった。

ホンマに上手いし、巧い。

清水さんの歌もパワフルで、中々、相性が良いコンビに感じた。

ライヴ後、馬場さんと話していて、酔っ払った勢いで、

「何かやりません?」 と、2曲もセッションしてしもらいました。

あー幸せ。

でも、技術&センスに差、ありすぎ!





2009.11.1

1日は、映画の日。

観たいと思っていた 『沈まぬ太陽』 を観に映画館へ。

話題の作品だし、映画の日だから、満席かも、と

上映時間の1時間以上前に、品川プリンスシネマに着いたのが、

15:50からの回は、すでに満席で売り切れ。

その次は、19:50から。

この映画、200分以上もあるので、1日に3回しか上映しないのだ。

ちなみに 『マイケル・ジャクソン This Is It』 も毎回、満席のようだった。

仕方がないので急遽、予定を変更し、2本立ての飯田橋ギンレイシネマへ。

ちょうど2本とも観たかった作品をやっていた。



愛を読むひと

原題 : THE READER

原作は、ドイツ人のベルンハルト・シュリンクという人の

全世界500万人が涙したといわれるベストセラー小説。

2000年に日本語版が出版されたが、当時、私は、

偶然書店でこの本を手に取り、読んだのだった。

邦題は、『朗読者』。

外国文学は、今まで数えるほどしか読んでないし、

どちらかと言えば苦手な意識がある私が、

帯に書かれた宣伝文句に惹かれ、購入したのだった。

そこには、

 相当な傑作。いや、舌を巻くほどの傑作。 〔週間文春〕池澤夏樹
 だれかがこうした作品を書かなければならなかった。
 私は強くそう思う。 〔読売新聞〕養老孟司
 近年、これほど心動かされた海外文学はない。
 読み終わってからしばらく涙がとまらなくなる。 〔毎日新聞〕川本三郎
 こんなに読み耽ったのはひさしぶりだ。 〔波〕池内紀

など、絶賛の文句が並んでいた。

もちろん、広告なので、絶賛してあるのは当然だろうが、

その時は、なぜかこの本に惹かれたのだった。

そして、確かに、途中で読むのをとめられないほど

物語に引き込まれた覚えがある。

その後、2度の引越しでほとんどの本は処分したのだが、

この本は、もう一度 読もうと捨てずに持っている。

前書きが長くなったが、それほど面白かったその 『朗読者』 が

映画化されたのだ。

そして、ケイト・ウィンスレットは本作で、

アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞した。

本作は、主演女優賞以外にも監督賞、作品賞など

4部門でノミネートされた。

さて、もう、原作のことは、おおまかにしか覚えていないのだが、

映画の方は、(また、いつか観たい) とは、思わなかったので、

私にとっては、原作の方がインパクトがあったということだろう。

テーマは、ただのラヴストーリーではなく、重いテーマを持ち、

社会ドラマ、人間ドラマでもある。

観終えた後、いくつかの疑問点が残ったので、

やはり、近々原作を再読しようと思う。

原作にはそのヒントがあるように思うので。

それにしても、なぜドイツの物語なのに、英語なのだろうか。

監督は、イギリス人のようだが、ドイツの物語だから、

ドイツ語でやって欲しかったな。

やはり、マーケットを意識して英語で作るのだろうか。


★★★★☆




扉をたたく人

原題 : THE VISITOR

2008年、アメリカで、封切当初の上映館は、わずか4館だったが、

クチコミで最終的には、270館に拡大し、トップ10にランクイン。

6ヶ月間上映されたという作品。

主演のリチャード・ジェンキンスは、見たことはあるが、

何の映画に出ていたか思い出せない、そんな いわゆるバイプレイヤー。

彼は本作で、初主演で アカデミー賞主演男優賞にノミネート。

妻に先立たれ、心を閉ざして、忙しいフリをしながら、生きていた

大学教授が、シリア出身の青年と知り合いになる。

その青年は、不法滞在で逮捕されてしまう。

9・11以降、外国人の出入国に関し、異常に敏感になってしまった

アメリカが抱えるダークサイド。

いや、アメリカだけではなく日本でも時々、不法滞在はニュースになる。

不法滞在は、犯罪か?悪いことか?

確かに法 (ルール) には反している。

だが・・・。

考えさせられる作品だ。

劇中、逮捕されたその青年タレクの

「自由に生きて、音楽を演奏することが、悪いことなのか?」

というセリフが、痛い。

タレクの母親役の ヒアム・アッバス がとても良い。


★★★★☆





2009.11.9

THIS IS IT

私は、マイケル・ジャクソンのレコードやCDを1枚も買ったことがない。

もちろん、「Off The Wall」 や 「Thriller」 は、聴いた。

友達に借りてね。

そんな、特別マイケルのファンではない私だが、

今、公開中の 「THIS IS IT」 を観てきた。

なんとなく、観ておこうと思って。

これが、凄かったわ。

ファンでない私が観ても、始まりから、一瞬も気を抜くことなく、

画面に釘付けになった。

どうも、マイケルというと、性的虐待疑惑などのゴシップが多かったし、

顔がどんどん変わっていったりと、音楽とは関係のないところで、

あまり良い印象を持っていなかった。

が、この映画を観れば誰もが彼を天才だと認めるんじゃないだろうか。

私は、途中でマイケルとイチローがダブってしまった。

イチローが、野球と自分のことを知り尽くし、バットの先まで

感じられるように、マイケルは、音楽とダンスとエンタテイメントの

ことを知り尽くし、歌い、踊っているようだった。

本作は、リハーサルを編集した、という点で、

途中、マイケルが、構成を変えていったり、イヤーモニターに不慣れで

うまく歌えなかったり、また、ダンサーのオーディションや、

映像の撮影シーンなど、どのようにして、マイケルがコンサートを

作りあげようとしていたかが分かる貴重な作品だ。

おそらく、彼が生きていたら (一部はDVDの特典映像になったかも

知れないが)、こんな風には公開されていなかっただろうから。


ステージは、数日間のリハーサルを合成してあるので、

1曲の中でも衣装が変わったりするが、それらも違和感なく

うまくまとめられている。

むしろ、楽しめる。

私は、彼がサングラスをかけずに歌ったり踊ったりしている時の

姿が好きだ。

あのサングラスは、カッコ良いと思わないし、何かを隠しているようで

あまり好きではない。

それから、やっぱり彼のダンスがスゴイ。

バック・ダンサーたちもスゴイ。

世界中から、オーディションを受けに来た人達の中から、

選ばれた人達だ。

いわば、あれが世界の頂点だろう。

冒頭、そのダンサーたちのコメントから始まるのだが、

それだけで、ウルウルしてしまった。

ミュージシャンも、素晴らしい。

特に紅一点のギターのオネエチャンが、カッコ良かった。

「Beat It」 のエディ・ヴァン・ヘイレンのギターソロ、

ちゃんとコピーしてたよ。

彼がいなくなったこと、コンサートが中止になったことで、

あのコンサートに携わったミュージシャン、ダンサー、スタッフの

喪失感は、想像を絶する。

マイケルって物凄く繊細な人だって、分かる。

そして、最高を目指して、妥協のない人だということも。

彼の音楽は、聴くだけじゃなく、「観る音楽」 だ。

最後の方で、コンサートスタッフ、メンバー全員にマイケルが言う。

「観客を未知の体験へ連れて行こう」 と。

未知の体験でした。

おそらく、彼が生きていて、ジャパン・ツアーに来ても、

観に行くことはなかったでしょうから・・・。

そう考えると、複雑だな・・・。


たったひとつ苦言を呈するなら、終わり方がくどい。

「まだあんのかい!」 って、ツッコンだわ。

でも、マイケルを好きでなくても、音楽を愛する人なら、

きっと楽しめるよ。

「THIS IS IT」 は、

「これで最後だ」 ってな意味だそうで、そうすると意味深。

改めて、マイケルのご冥福を祈る。


★★★★★


蛇足。

10月28日に、全国324館、2週間限定で封切られたけど、

最初の4日間で、50万人以上観たらしい。

で、検討の結果、もう2週間 上映延長になったそうだ。

公式サイトには、

「米国本社と交渉した結果、2週間の上映延長が許可され、・・・」

とある。

(やっぱりな) と思ったのは、私だけではないだろう。

ショービズ界って、したたかやなぁ。





2009.11.13

風が強く吹いている

スポーツといえば、子供の頃、子供会のソフトボールをしたぐらいで、

あまり縁がなく、私はスポーツ観戦もほとんどしない。

オリンピックや大きな大会のときに、時間が合えば TV で

見る程度だ。

そういうわけで私は観ないのだが、妻は、マラソンや駅伝が好きで、

わざわざ録画をしてまで、観ている。

特にお正月、箱根駅伝は欠かさず観ている。

駅伝なんて、ずっと走っているだけなので、

観ていて何が面白いのかと思っていた。

どこが勝ったか、記録がどうだったか、結果だけ見れば良いだろう、と。

が、そう思うのは、きっと、その魅力が分かっていない証拠だろうな。


さて、その箱根駅伝を題材にした映画 『風が強く吹いている』 を

観てきた。

それほど興味はなかったが、評判も良いし、

先に観てきた妻 (←観ないわけがない) の勧めもあり、

観ることにしたのだ。

評判どおり、良い作品だった。

駅伝に興味のない私でも、充分楽しめた。

感想はね。

「若いっていいな、仲間っていいな、皆で一つのことを目指すって

素晴らしいな、くさいけど、素晴らしいよ!駅伝サイコー!」

って感じ。(単純)

映画は、寛政大学の弱小陸上部が10人目の部員に天才ランナーを

得て、わずか、9ヶ月で箱根駅伝出場を目指す、というストーリー。

それだけ聞けば、大体のことは予想がつくようなベタな話だが、

部員10人のキャラクターが面白く、適度の笑いと涙があり、

上映時間133分を長く感じさせない。

まず、主役の2人が良い。

小出恵介演じるハイジ は、3年間かけて、箱根駅伝に出るべく部員を

10人集め、4年生でついに出場するという、達成への執念の持ち主。

だが、それが、執念とは映らずに純粋な動機として描かれている。

彼は、本作が映画初主演とのことだが、部員全員を引っ張っていく、

天性のリーダー役を見事に演じている。

今後期待できる、良い役者だと思った。

もう一人、天才ランナー、カケル役の 林遣都 のことは、知らなかったが、

走る姿を観て、(この人、他の人と違う〜) と、素人でも

分かるほど美しい走り姿だった。

なんでも、映画の長距離走指導のコーチが、

本当にランナーにしたいと思ったらしい。

現実的には、9ヶ月で箱根駅伝に出場するチームを作ることは、

難しいだろうが、妻の話によると、実際にそれまで無名だった上武大学が、

箱根駅伝に出場したことがあるらしい。

調べてみると、上武大学の駅伝部は、2004年に13人で創部され、

2009年に箱根駅伝に初出場している。

本作の寛政大学のユニフォームは、上武大学のユニフォームを

参考に作られたらしい(ほとんど同じようなデザイン)。

原作は、2006年の発表なので上武大学駅伝部を基に

書かれたわけではないだろうが、9ヶ月は無理でも、

5年あれば、実際に箱根に出場するチームを作れるわけだ。


そういえば、思い出したことがある。

駅伝やマラソンを観ていて、何が面白いのかと書いたが、

数年前、四谷にある会社に勤めていたとき、

たまたま東京国際女子マラソンのある日曜日に出勤していた。

オフィスが新宿通り沿いにあったもので、何かの用で、

外に出たとき、ちょうどランナーが目の前を走り去るのを見た。

その時に、何だか分からないが言葉で説明できない何かを

感じ、感動して、思わず、泣きそうになった覚えがある。

それは、TVを通して観るランナーの姿は、比べ物にならない。

力強くて、生々しく、迫力があって、生命に溢れていて。

もちろん、その走り去った選手の名前も知らないのに。

マラソン・ランナーを生で見ただけで、感動するなんて、

思いも寄らぬ 自分の反応に戸惑ってしまったのでよく覚えている。

だから、駅伝やマラソンの時、数秒で自分の前を通り過ぎるのに

選手の応援に 沿道に 大勢の人が並ぶのだな。

それだけ、ランナーを観ることには魅力があるということだ。

なんだか、書いていて自己完結してしまった。

(でもやっぱり、TV で録画してまで観ようとは思わないのだけど。)


実は、2,3年前、あるサイトで この原作(三浦しをん著)の

レビューを読んだことがあり、良さそうだったので、

Amazon のカートに入れたまま、ずっと保存したまままだった。

(そういう本が何冊もある。)

やっぱり、原作も読んでみようかな。


★★★★☆





2009.11.15

沈まぬ太陽

山崎豊子の作品は、読んだことがないのだが、

「白い巨塔」 や 「華麗なる一族」 など、映画化、ドラマ化されている

作品が多く、本作もきっと面白いのだろう、と思って観た。

実際、原作が素晴らしくなければ、映画化されないだろうから。

作品は、役者陣が豪華で、海外のシーンも結構あり、

(お金かかってるな〜) という印象。

映画としての評価も高いようだが、私にはちょっと期待はずれ。

私のようにゆるい生き方をしている者には、

渡辺謙演じる 恩地元の家族を犠牲にしてまで、曲げない信念や、

三浦友和演じる 行天四郎の汚いことをしてでも 出世しようという根性は、

理解できず、感情移入もできなかった。

たぶん、全5巻の長編小説を、3時間ぐらいにまとめるのは、

やはり難しいのだろうな。

何度か出てくる、飛行機の離陸シーンのCGが、

ちゃちだったのが、残念。


★★★☆☆





2009.11.17

ゼロの焦点

感想は、う〜ん・・・イマイチ、って感じ。

ちょっと期待はずれ。

良かったのは、中谷美紀と、木村多江と、昭和30年代の風景。

原作は、読んでないけど、ちょっと変えてあるとか。

作品紹介には、「夫が失踪した謎を追う女性が、ある衝撃の

真実を知るサスペンス」 とあるのだけど、どうも、

サスペンスらしく、謎を解いていくというより、

広末涼子演じる鵜原禎子が、途中から答えを語りだすように

感じてしまった。

しかも、語りだした時点では、推測にすぎないような感じもするし。


途中、プラターズの 「Only You」 が、ラジオから流れるシーンがある。

終わり近くにその 「Only You」 が、BGM として、流れるシーンが

あるのだが、ズッコケて椅子から落ちそうになった。

(ここで、その曲、使うかぁ?) って、ちょっとセンスを疑った。

また、エンディングに流れる、中島みゆきの歌も、私には辛かった。

まあ、それは、好き嫌いの問題かも知れんけど。


それにしても、中谷美紀、木村多江、この2人は素晴らしい。

中谷美紀は、もう怪物やね。コワイもん。

木村多江は、こういう役させたら、今、日本一やね。

さすがは、2人ともアカデミー賞最優秀主演女優賞受賞者。

広末涼子も悪くないのかも知れないが、この2人と並ぶと、

ちょっと印象が薄い。

役のせいもあるかもしれないけど、やっぱり、差あるよ。

あと、昭和30年代の風景には、苦労したらしく、その一部を

韓国で撮影したらしいが、どこが韓国のシーンかは、

観てても分からなかった。

そういう点は、評価できるだろうけど、映画としてはね・・・。


松本清張生誕100周年ということもあり、映画化されたようだが、

「ゼロの焦点」 は、1961年に映画化され、本作は、

そのリメイクだった。

その1961年版も観てみたい。


★★★☆☆





2009.11.22

笑う警官

いやぁ、久しぶりにやっちまった。

一応、映画は選んで観ているつもりなのだが、今回は失敗。

上映終了後、思わず妻と顔を見合わせてしまった。

予告編を観て、もっと緊張感のあるサスペンスかと

期待したのだが・・・残念。

もう、何がなんだか分からなくなるし、余計なシーンは多いし、役者の

使い方もどうかと思うし、楽器演奏シーンは、曲と動きがあってないし・・・。

監督、角川春樹 と聞いて1990年の 「天と地と」 を思い出した。

あれも、私にはキツイ作品だった。

エンドロールが、英語表記だったが、まさか外国での公開を

考えてのことではないことを祈る。


ちなみに、映画鑑賞は安いほうが良いし、時にはつまらない作品にも

当たることもあるので、ロードショー作品でも1800円出しては、

観ないことにしている。

本作もレイトショーで1200円で鑑賞。

それでもどうかなって感じ。


★★☆☆☆





2009.11.26

ディア・ドクター

主演 笑福亭鶴瓶 、監督 西川美和、『ディア・ドクター』。

長く無医村だった山あいの村に、数年前、赴任し、

村人の絶対的な信頼を得ていた唯一の医師が失踪するという物語。

その失踪の影に何があったのかが、解き明かされていく。

西川監督といえば、前作 『ゆれる』 がとても印象に残っているので

本作も彼女の作品と聞いて、興味はあったものの、

笑福亭鶴瓶 主演ということに やや抵抗があった。

映画の中でも、鶴瓶が鶴瓶に見えたらイヤだな、と思ったからだ。

が、それは杞憂に終わった。

瑛太、余貴美子、八千草薫、香川照之、笹野高史らで脇を

しっかり固めていたことも、本作の魅力のひとつだが、

鶴瓶も彼ら本職の役者に負けないイイ味を出していた。

考えてみれば、咄家は、演じることが芸 (仕事) だもんな。

そして ほんの少し登場する中村勘三郎の存在感は、素晴らしい。

香川照之については、西川監督の前作 『ゆれる』 を観て、

(この人凄い) と思ったのだが、『沈まぬ太陽』 も良かったが、本作も良い。

彼は、他にも今年公開の作品だけで、『20世紀少年 』、『劒岳 点の記』、

『カイジ 人生逆転ゲーム』、『スノープリンス 禁じられた恋のメロディ』 など、

最近、ちょっと出すぎ感もある。

それだけ、評価されている証拠だろうけど。


「シリアスなテーマだけど、重たい映画にはしたくなかった」 という

監督のインタビューをどこかで読んだが、彼女の意図は、

前半のコミカルなシーンのおかげで、達成されていると思う。

途中、八千草薫が登場するあたりから、だんだんシリアスになっていき、

本作も 『ゆれる』 同様、すっきりはしないが、観終えて、

色々考えさせられる作品だ。

鶴瓶演じる医師・伊野の人物描写が足りないとの意見も

あるようだが、私は、彼がどういう人物かよく分からないことで、

より想像力をかきたてられた。

それが、監督の狙いだと思うのだが。


★★★★☆





2009.11.28

が〜まるちょば & アンビリカル・ラザーズ

昨夜は、新国立劇場で 「が〜まるちょば」 を観てきた。

2年ほど前に初めて彼らのライヴを観て以来、3回目。

前回も前々回も良席だったが、今回も6列目のど真ん中。

今回は、彼らの10周年記念ライヴということで、

オーストラリアから 「アンビリカル・ラザーズ」 が、

ゲストで出演。

「が〜まるちょば」 が、サイレント・コメディであるのに対し、

「アンビリカル・ラザーズ」 は、音と動き (パントマイム) で

笑わせる。

私は、今回初めて彼らのことを知ったが、その動きと擬音は、

驚愕と感嘆に値する。

ちょっと、これをご覧ください。

そして、「が〜まるちょば」 の新作は、マイケルジャクソンの

「Beat It」 に合わせてのマイケルとブルース・リーの対決が、傑作。

4人一緒にスーパーマンのコントや、「が〜まるちょば」 70周年と題して

よぼよぼの2人のパフォーマンスなど、盛りだくさんな内容で

これだけ笑わせてくれたら、お客さんは、皆 満足だったことだろう。

テレビでは、彼らの魅力は伝わらない。

ぜひ一度、ライヴを。


1月からジャパン・ツアーあり

「が〜まるちょば」 をご存知でない方は、こちらを。





2009.12.1

千年の祈り

映画の日、ちょっと良さそうだなと思っていた映画、

『千年の祈り』 を鑑賞。

アメリカに住む娘 (中国人) に会いに北京から、父親がやってくる。

12年ぶりの再会。

アメリカで離婚した娘のことが心配でたまらない父親。

一方、自分の人生を歩んでいる娘は、父親の干渉が

ちょっと うっとうしい。

そんなどこにでもいそうな普通の親子の物語。

原題が、「A THOUSAND YEARS OF GOOD PRAYERS 」

なので、邦題の 「千年の祈り」 そのままなのだが、

意味が分からなかった。

劇中、中国の古いことわざの話が出てくるのだが、

そこには、300年の祈りと3000年の祈りが出てくる。

1000年の祈りは、何のことだろう。

私が見落としたのかな。

解説には、「わだかまりを抱えて離れ離れになった父娘が、

本当の親子のきずなを築くようになるまでを描く」 とあるのだが、

あまりに淡々としていて、「本当の親子のきずな」 を

築いたのかどうか私には分からなかった。(鈍感?)

中国人ってもっと感情表現が激しい国民だと思っていたけど、

そうでない人達もいるのか、それとも、わだかまりを抱えた親子の

コミュニケーションは、やはりどこの国でも難しいのか。

いずれにしろ、大変、抑えられたシナリオに感じた。

それでも、主演の二人の演技は素晴らしく、心中を色々想像できる。

私には、ちょっと物足りない感が残ったが、静かな、大人の映画です。


★★★▲☆





2009.12.3

坂の上の雲

ちょっと前に数ヶ月かけて読んだ 司馬遼太郎の 『坂の上の雲』 。

NHKのスペシャルドラマとして、いよいよ こないだの日曜日から、

放映が始まった。

司馬遼太郎は、この作品の映像化だけは許さなかったらしい。

作る側も覚悟がいる作品だ。

NHKの番組サイトを見るとメイキングのページがあり、

VFXの使い方など、興味深い。

出演は、本木雅弘、阿部寛、香川照之、菅野美穂、松たか子、

原田美枝子、西田敏行、竹下景子、伊東四朗・・・と超豪華。

録画しておいた第1回を、今日観たのだが、明治の雰囲気と

当時の人々の素朴さ、力強さが現れていて、良い感じ。

続きが楽しみだ。

先日、ちょっと最近 (映画に) 出すぎじゃないか、と書いた

香川照之が、正岡子規役で本作にも出演している。

仕事しすぎちゃう?





2009.12.6

十二人の怒れる男

一昨日、渋谷 Bunkamura シアタ−コクーンにて、

『十二人の怒れる男』 (舞台) を観てきた。

Bunkamura 20周年記念企画 ということで、

蜷川 (にながわ) 幸雄 演出、中井貴一 主演、その他の

出演者も半分以上テレビで観たことのある役者さんたち、

西岡徳馬、 斎藤洋介、石井愃一、品川 徹、田中要次、等で

大変豪華だった。

本作は、1957年にヘンリー・フォンダ主演で映画化され、

その後も、ジャック・レモン主演でテレビ映画化されたり (1997年)、

ロシアで映画化されたり (2007年) している。

オリジナルは、1954年にアメリカで放映されたテレビドラマで、

その時は、録画技術がまだ充分ではなく、生放送だったようだ。

それだけ、何度も映画化されたり、舞台化されたりするのは、

原作の持つパワーだろう。

ヘンリー・フォンダ版は、妻が、影響を受けた作品として、

一番に挙げる作品で、今回も彼女がチケットを取ってきた。


物語は、一人の少年の判決をめぐる、陪審員12人の話。

当初、12人のうち、一人だけが無罪を主張し、11人は、

有罪を唱えるのだが、話し合いを通じて、その11人の考えが

変わっていく。

映画では、その初めから無罪を主張する陪審員8号を

ヘンリー・フォンダが演じていて、その勇気と冷静さに感動するのだが、

今回の舞台では、中井貴一演じるその8号より、

西岡徳馬演じる3号の方が、見せ場が多く、難しい役に感じた。

作品としては、素晴らしくて、ストーリーや結末を知っているにも関わらず、

感動したのだが、残念だったのは、12人中一人だけ、舞台の質を

下げてしまっているように感じた役者さんがいて、またその方の役が、

結構、セリフが多く、重要な役柄だっただけに、ますます残念だった。

なんで、あの人にしたんだろう。

それはさておき、ご存知のない方は、一度、レンタルしてご覧ください。
  ↓
十二人の怒れる男 (ヘンリー・フォンダ版)


ずいぶん前に、妻に勧められ、ヘンリー・フォンダ版と、ジャック・レモン版を

続けて観たのだが、微妙に時代背景が変わっていて、

興味深かった覚えがある。

例えば、白黒がカラーになっているのはもちろん、

1957年版では、陪審員が全員白人だったのが、

1997年版では、黒人も混ざっていたり、

扇風機が、エアコンに変わっていたり、と,

見比べると40年の時代の流れを感じます。





2009.12.13

人生に乾杯!

何回か予告編を観、面白そうだなと思っていた上に

ネット上での評価も高かった映画 『人生に乾杯!』 を観た。

たぶん、初めてじゃないかなと思う、ハンガリー映画。

年金生活の老夫婦が、お金に困り、強盗をして

警察に追われるというストーリーなのだが、

現実にはあんなに簡単に強盗は成功しないだろうし、

あんな風じゃ、簡単に捕まってしまうだろう。

そういう意味では、大人のファンタジーという感じ。

年金が少なくて生活できないという、社会的なメッセージも

含まれているようだ。

良い作品名だと思うが、ちょっと惜しい。

最後に悲劇的な結末を迎えたと思ったら、実は・・・と

どんでん返しがある。

そのどんでん返しが、タネ明しの前に分かってしまう。

それまでのストーリーと、『人生に乾杯!』 というタイトルからは

その結末はないだろう、と容易に想像がついてしまう。

なので、バレバレのどんでん返しも監督の計算の上か。

もし、あの悲劇的な結末がホントだと思っていた上に

その後、どんでん返し (タネ明し) が来たら、

もっと痛快な作品だったのに、と思う。

惜しいな。


★★★★☆





2009.12.23

アバター

ジェームズ・キャメロン監督の 『タイタニック』 以来12年ぶりの作品

『アバター』 を観てきた。

今日が初日だったせいか、休日だったせいか、20:40からのレイトショーを

観たのだが、やや混んでいた。

感想は、素晴らしい!&悲しい。

「素晴らしい」 のは、その映像美。

前半は、その映像の素晴らしさと、この作品を生み出した想像力と

それを映像化した技術に ただただ感嘆で、

たぶんスゴイ顔で観ていただろうと思う。

今作は 3D 作品として話題を呼んでいるようだが、

私は 2D で観たのだが、それでも充分楽しめた。

そして、ぜひもう一度 3D でも観てみたい。

2D であれだから、3D なら、めちゃくちゃスゴイ世界だろうな。

ストーリーは、いたってシンプルで、予想のつく展開なのだが、

今まで観たことのない映画だ。


そして、「悲しい」 のは、ストーリー。

ひとことで言うと、人間が他の星をその資源欲しさに侵略するんだけど、

その武力による侵略を見ていて、

(アメリカ大陸はこんな風に、ヨーロッパ人に侵略されたんだろう。

いや、アメリカだけじゃない、こんな侵略は、地球上で幾度も

くり返されてきた愚行だ。) と思い、殺し合いを見ていて、

悲しくなったのだ。


でも、映画は、素晴らしい。

162分は、長く感じない。

間違いなく大ヒットするね、これは。

構想14年、製作4年、ジェームズ・キャメロン 万歳。


★★★★★





2009.12.27

HACHI 約束の犬

忠犬ハチ公物語アメリカ版、『HACHI 約束の犬』。

観たかったわけではないのだが、観たかった 『南極料理人』 と

2本立てだったので、(ついでに) 観てきた。

忠犬ハチ公の話も詳しく知らないし、なんとなく、

(なんで、アメリカ版作るの?) という軽い抵抗もあり、

全く、期待もなく、油断して観たら、充分泣いてしまった。

映画は、意外や日本の田舎のお寺のシーンから始まる。

ハチは、日本からアメリカに送られた秋田犬という設定で、

迷子になったところをリチャード・ギア演じる大学教授が

拾って育てることになるのだけれど、ハチが本当に 教授にだけ、

なついていて、彼の帰りを駅前で待つ姿がいじらしく、

胸が締めつけらる。

最後には、本当のハチ公の話も字幕で紹介されます。

犬の演技が素晴らしい。


★★★▲☆




南極料理人

『アフタースクール』 や 『クライマーズハイ』 を観て、

好きになった 堺雅人が主演なので観たかった、『南極料理人』。

堺は南極基地の料理人役だ。

どちらかというと、スローなテイストのコメディタッチの作品なのだが、

どうも、見事にツボに入ったらしく、3回も泣いてしまった。

(ああ、ホントに年とると、涙腺ゆるくなるねんな。

「3回もどこで、泣くの?」 って言われそう。)

堺 演じる料理人 西村の作る料理が 全部めちゃくちゃおいしそう。

お刺身、天ぷら、焼き魚、おにぎり、エビフライ、中華料理、ローストビーフ、

ラーメン、フレンチ、と、映画を観終えて何を食べようか、鑑賞中に

迷ってしまった。

誰かが、「男版かもめ食堂」 ってレビューに書いてたけど、

なるほど、そんな感じもする。

今作では、劇中、誰も 「おいしい」 って、言わないのだけどね。

エンディングのユニコーンも GOOD。

感動作ではないけれど、笑えて、ほのぼのと幸せになれる作品。


★★★★▲





2009.12.30

牛の鈴音

韓国で大ヒットした映画 『牛の鈴音』 を観てきた。

田舎の老夫婦が牛を面倒見ている、ただそれだけの

ドキュメンタリーなのだが、韓国では300万人の動員を記録した。

作品がつまらなかったわけではないのだが、

久々に睡魔に襲われ、残念ながら、私は何が良かったのか

分からず終わってしまった。

なので、評価不能。





2009.12.30

今年のベスト5 映画編

『牛の鈴音』 は、今年、60本目の劇場鑑賞映画だった。

年間50本を目標にしていて、昨年は、48本だったのだが、

今年は、引っ越しした7月の前後2ヶ月間、映画館に行かなかったにも

関わらず、記録を達成した。

だから、どうした、ということはないのだが。

で、今年の私のベスト5である。

順位はつけにくいので、特に良かった5本を選ぶと、

『グラントリノ』 『重力ピエロ』 『アバター』 『縞模様のパジャマの少年』

『60歳のラヴレター』。

次点で、『南極料理人』 『ミルク』 『誰も守ってくれない』。

番外で、『禅 ZEN』 『ラースとその彼女』 が印象に残っている。

ドキュメンタリー部門では、

『ヤング@ハート』 『THIS IS IT』 (ドキュメンタリーというのかどうか

微妙だけど)。

来年もたくさん良い映画が観れますように。


ひとりごと  ひとりごと