LAGUNA MOON MELLOW FLAVOR  LIVE GUITAR  LINK LYRICS


 つつみしんやのひとりごと  2025年4月
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2025.4.3

モノクロ写真展
The Monochrome 2025


明日から3日間、横浜で開催される
「モノクローム写真展」に8枚の写真を出展している。
お金さえ払えば誰でも参加できる写真展だが、
こういうのに出展するのは、初めてのこと。

作品は、昨年の沖縄旅行で撮影したものから選んだ。
2022年に写真展を開いた時には、
来場者は友人知人ばかりだったけれど、
今回は全く知らない人達が観るわけだ。
キャプションには私のインスタが書かれていると
思うが、わざわざ感想などを送ってくれる人も
いないだろうと何も期待していない。
ただこれも「やったことのないことをやる」シリーズの
一つで、写真展に参加することで何か新しい発見や
インスピレーションがあれば幸いだと思っている。

主催者(日本文藝)からの案内では、
「全国各地から総勢130名230作品以上の
モノクロ写真を展示予定」とあった。
私のように8枚も出展している人は、
ほとんどいないだろう。
払えないほどの金額ではなったので、
マックスの8枚で申し込んだのだけど、
考えてみれば、これは音楽でデモテープを作って、
レコード会社などに送っていた頃と同じで、
一点で勝負できないことの表れだな。
デモテープなんて、1曲の数小節聴けば、
判断されてしまうのに1曲で自信がないから
「他にこんなんもあります」と何曲も入れることに
なってしまう。
変わってないよね。


---- The Monochrome 2025 ----

<会 期>
4月4日(金)12:00-18:00
4月5日(土)12:00-18:00
4月6日(日)12:00-16:00

<ギャラリー>
みなとみらいギャラリーABC全会場
横浜市西区みなとみらい2-3-5
クイーンズスクエア横浜クイーンモール2階

<アクセス>
みなとみらい線「みなとみらい駅」直結
JR線・市営地下鉄「桜木町駅」徒歩「動く歩道」利用で約8分

入場無料



私は会場にずっといるわけではありませんが、
よろしければお越しください。

開催概要のサイトがあっても良いと思うのだけど、
なぜか出展募集のサイトしかない。
案内用のハガキは、10枚ほど送ってきたけど。
主催者に次回からは、宣伝用のサイトが欲しいと
言わなきゃね。

出展募集のサイト → The Monochrome 2025





2025.4.4

モノクロ写真展に行って来た。
The Monochrome 2025




作品を出展しているモノクロ写真展に行って来た。
会場は、横浜のみなとみらいギャラリー。
16時過ぎに会場に着くと、今日は平日のせいか、
ほとんど人がいなかった。
作品は撮影者の名前の順に展示されているようだった。
たくさんの作品の中で、どんな風に自分の作品が
見えるのか興味津々だったが、悪くないと思った。



見落としているかも知れないけれど、
8枚出展している人は他にいなくて、
多くの人が1枚のみ。
4枚や6枚の人は数人いたと思う。



写真の横には、キャプションが貼ってあって、
作品名、撮影者、撮影者のインスタグラムの
QRコードが記載されている。



昼過ぎからポツポツと私のインスタのフォロワーが
増えて、今日1日で8人増えた。
もちろん知らない人たちだ。
なるほどこういう効果があるのか。
インスタをフォローするということは、
展示されていた私の作品を観て、
気に入ってくれたか興味を持ってくれたと
いうことだろう。
それは嬉しいな。
毎日 真面目に、インスタをアップしていて良かった。

今回の展示会への出展について、昨日、
「『やったことのないことをやる』シリーズの一つで、
写真展に参加することで何か新しい発見や
インスピレーションがあれば幸いだと思っている」
と書いた。
もちろん人に作品を観てもらえることは
嬉しいのは間違いないのだけど、そんなに
強くは欲していない自分がいる。
これはひとえに歳のせいではないかと思っていた。

が、こんな風にたった数名見知らぬ人が
自分のインスタのフォロワーになったというだけで
嬉しい自分がいることにもちょっと新鮮な驚きがある。

なるほど、音楽でもアートでも観客の存在は
作者や演者の大きなインスピレーションの
元になるだろう。
しかし、そう思うとヴィヴィアン・マイヤー
(1926-2009)のことを思わずにいられない。
ヴィヴィアン・マイヤーは米国の写真家。
10万枚以上の写真を撮影しておきながら、
一切、世に発表しなかった謎の人物。
彼女は、ただ「撮る」という行為だけで、
満足し完結していたということなのだろうか。
誰にも観られることも、評価されることもなく。

ヴィヴィアン・マイヤーのことは置いといて。
インスタの連続アップは今日で891日目だった。
もうすぐ1000日だ。
1000日でいったんやめるか、そのまま続けるかは
まだ決めていないけど、1000日で何かを
成し遂げたわけではないのは分かっている。
音楽や芸術、写真は終わりのない旅だからね。


作品の前でポーズをとる筆者

出展した8枚は、会期が終わったら
改めてここにも発表します。





2025.4.5

偉大なる なかさん

3月30日のことだ。
午前2時半頃、妻の話し声で目が覚めた。
誰かと電話で話しているが、妻の話す言葉から
一瞬で事態は飲み込めた。
通話の相手は、妻の姉だ。
山形の老人ホームにいる義母の危篤の知らせだった。

義母は、その日(29日)もいつものように夕食を
食べたらしく、特に変わったことはなかったようだ。
義母が入所しているのは、特別養護老人ホ―ム。
2時間おきに職員さんが見回りをしてくれているらしく、
深夜1時過ぎの巡回の時に義母の異常
(息が荒く、目を開けたまま様子がおかしかった)が
発見され、すぐに救急搬送されたのだった。

姉さんはスマホのビデオ電話で、義母の様子を見せてくれた。
義母は、酸素マスクを装着していた。
苦しそうには見えなかったけど、目を開けたままで、
全く瞬きをしなかった。
意識はないように見えるが、そういう状態でも
声は聞こえている、という話しは何度か読んだことがある。
妻の声が聞こえているのか、話していると
義母の目から涙が溢れそうになっているのが見えた。

ビデオ電話を切ってしばらくして、再び電話があった。
3時半頃、義母は息を引き取った。
90歳だった。
足が悪く歩けなくなってから何年も経っていたし、
私が面会に行っても、誰か分からなくなっていたし、
いつ何があってもおかしくない状況だった。

あっけないと言えばそれまでだけど、
(たぶん)苦しみもせず、入院もせず、
ある意味 子供孝行な最期だった。
死因は不整脈ということだから 心臓だが、
老衰と言って良いと思う。

妻は、その日どうしても外せない仕事があったので、
山形に行くのが夜になる。
私はひと足先に山形に行くことにした。
2時半に起きたまま寝なかったのだけど、
色々準備をしていると家を出るのが9時半を過ぎていた。

10時20分ごろ東京駅に着いたけれど、
11時まで山形新幹線がなかった。
東海道新幹線とは、本数が違う。
11時発のつばさに乗って、山形の実家のある町の
葬儀会場に着いたのは、14時頃だった。
私が到着した時、姉夫婦はちょうど葬儀屋との
打合せ中だった。

その日は、お通夜ではなく、布団の上に
寝かされた義母に何人かの人が手を合わせにやってきた。
亡くなったのが義父ではなく、義母であったことは
皆を驚かせたようだった。
というのも、義父は義母より年上で、93歳。
順番からいっても、皆が義父が先だろうと思っただろうし、
女性の方が長生きというのは、一般的な話だ。

夜、妻が到着した。
その会場は、ホテルのように宿泊の部屋も併設されて
いたので、私たち夫婦は、そこに泊めさせてもらうことにした。

冠婚葬祭の風習は、地域によって様々だ。
本木雅弘が主演した映画『おくりびと』は、
山形(庄内地方)が、舞台だったが、
葬儀屋さんとの打ち合わせのとき、
「おくりびとを依頼しますか?」という話があった。
今回は送り人をお願いしなかったので、
お通夜(3月31日)のとき、参列した
近しい者達で故人の旅支度を整えた。
身体、といっても足や手、首、顔など露出している部分を
ペーパータオルで優しく拭き、足袋、脚絆、手甲などを付け、
遺体を皆でお棺に収めた。
頭陀袋を胸の上に載せ、白装束を重ね、
編み笠、草鞋、杖を持たせた。

この作業のとき、旅支度を手伝う参列者は、
腰に縄を縦結びになるように巻く。
これは、故人に連れて行かれないようにとの
意味があるらしい。

4月1日。
4月だというのに寒い朝だった。

午前9時からお別れの儀。
故人の肌に触れられるのは最後。
義母の頬はぷるぷるしていて、そして、冷たかった。
釘打ちの儀(お棺のふたを釘打ちする真似だけ)の後、
マイクロバスで火葬場へ向かう。
遺体も一緒に乗れるバスは初めてだ。
4月だというのに山形は薄っすらと積もるほとの雪だ。
確か昨年の姉の火葬の日も涙雨だったが、
涙雪なんてものもあるのだな。
火葬が始まると雪が強くなってきたような気がする。



火葬中も線香の火を絶やさないように
10分ほどおきに線香をたきに祭壇に行った。

義母は、あっと言う間に灰になった。
歩けなくなって、何年も経っていたせいで、
骨も弱っていたんだろうか、膝から下の足の骨は
ほとんど見当たらなかった。

葬儀は、お寺の都合で火葬から4日後の4月5日。
私の知る限り、葬儀の後に火葬するのが一般的だと
思っていたけれど、妻の実家の地域では、
通常、お通夜のあと荼毘に付し、そのあとに
葬儀を執り行うらしい。
葬儀に参列した者で、火葬場へ向かう
霊柩車を見送るようなことはないわけだ。

義母は、いつもマイペースで、独特な人だった。
私の人生でも、特別に個性的な人だった。
私には、全く周りの人の目など気にしていないように見えた。
中々あんな人はいないと思う。

以前は思わなかったけれど、
妻は歳を取ってきたせいか、
この頃は義母に似ているなと思う瞬間が増えてきた。
それは見た目のことだけど、妻もかなりユニークな人間だ。

義母の名前は「なか」。
本人は「子」が付いていなかったのが不満だったらしい。
そういえば、親戚の中には「なか子ちゃん」と
呼ぶ人もいる。

私たちは「なかさん」と呼ぶ。
本人に向かっては呼ばなかったけど。
今回のタイトルの「偉大なるなかさん」。
私には、妻を産み、育ててくれただけで、
偉大な人に違いない。

ありがとう、なかさん。
おやすみ、なかさん。
さようなら、なかさん。

これから、葬儀のため山形へ向かいます。





2025.4.6

偉大なる なかさん(2)

妻の母、なかさんの葬儀が昨日、執り行われた。
妻の実家のある山形の町の古いお寺の本堂で。
そのお寺の墓地には妻の両親の先祖が
並んで眠っている。
母方のお墓は、別の墓地にあったのだが、
義父がそこに移したんだ。
おかげで私たちは、一度のお参りで
父方母方両方の先祖に手を合わせることができる。

歴史のあるお寺なのは一目で分かるが、
ググってみると「寺の創建は貞観元年」とある。
「貞観元年」っていつやねん。
今度は「貞観元年 西暦」とググってみる。
「貞観」は「じょうがん」と読む。
「貞観元年」は、なんと西暦859年だ。
平安時代にできたお寺なんだ。

義父は、大工の棟梁で、弟子に限らず、
おそらく色んな人の面倒を見たんだと思う。
義母は、おかみさんということなので、
同様に義父の仕事関係者とも関わりがあったんだろう。
それは、お通夜や葬儀に参列した方たちの
様子から伺い知れる。
特にKさんは、親戚ではないのだけど、
私が「誰よりも親戚」とあだ名を付けたほどで、
葬儀の間は、膝の上になかさんのひ孫を
乗せて、完全に親族のように溶け込んでいた。
Kさん(76歳)は、義父の兄弟子の
息子さんらしいが、とても気さくで冗談を飛ばしてくれる。
ただ、方言が結構強いので、
時々何言ってるか分からない。
Kさんは義母のことを「なかちゃん」と呼ぶ。
その様子から、きっと妻の両親に世話になったと
思っているんだろうなと推測する。
妻の話では、子供の頃は常に色んな人が
家に出入りしていたらしい。
田舎ということもあるかも知れないけど、
両親の人がらを考えても、かなりオープンな
家だったんだろうと思う。

葬儀の弔辞は、孫のYちゃんが読んだ。
Yちゃんの両親(姉夫婦)は共働きだが、
その会社が、実家の2階にあったこともあって、
Yちゃんは「ばあちゃんが育ててくれた」というほど。
その弔辞が本当に素晴らしく、終わった時に
私は拍手を我慢しなければならなかった。

なかさんは、4年ほど前に歩けなくなって
特別養護老人ホームに入った。
それをきっかけに、一人になった義父は
弱っていったように思う。
2年ほど前に、脳梗塞で救急搬送され、
その後、奇跡的に義母のいる特老に
入所することができた。
施設のスタッフさんの尽力だが、
夫婦での入所は前例のないことだという。

そういうわけで、なかさんはこの2年間、
夫婦で一緒に過ごすことができた。
隣同士の部屋で、食事の時は、
毎日向かい合って。
最後の2年間を夫婦で過ごせたことは、
なかさんにとって、幸せなことだっただろう。


合掌。





2025.4.7

モノクロ写真展 出展作品
The Monochrome 2025



4月4日から昨日まで3日間、横浜の
みなとみらいギャラリーで開催された
「モノクロ写真展 The Monochrome 2025」
が、終了した。
私は、8点の作品を出展していた。



最終日の昨日も会場に行ってみたが、
金曜日よりは人が多く、終了の16時前に
受付の人に何人ぐらい来たのか訪ねてみると
3日間合計で約800人位とのことだった。
2022年の私の個人的な写真展「僥倖」の来場者数が
2日間で 60人ほどだったことを考えると、
とても多くの人に観てもらえたことになる。
私のインスタグラムのフォロワーは、
この3日間で18人も増えた。
来場者が800人とすると2%以上の人が
私の写真を観て興味を持ってくれたことになる。
これは、まんざらでもないような気がする。

それから、8枚出展している人は、
私以外にももう一人いたよ。

出展者には、胸から吊るすように
「出展者」と書かれた紙の入った名札タグが
受付に 用意されていた。
それをぶら下げている人も数人いた。
そういう人は、誰かと話している人が多かった。
名札を付けている人同士が話しているのも見た。
私は知らない人と話すのが苦手だし、
「出展者」と名乗る必要も感じなかったので
「出展者」タグは 付けなかった。
でも、自分の写真の前で立ち止まって
何やら話している人たちの話は聞いてみたかったな。
意気地がないので声はかけなかったけど。




さて、作品の紹介。
今回出展したものは、昨年10月の
妻の還暦祝い&結婚25年旅行で訪れた
宮古島と石垣島で撮影したもの。

8枚選ぶのも難しかったけれど
タイトルを付けるのにも時間がかかった。
「宮古島の海」というような安易な説明を
タイトルにはしたくなかったので、
写真を1枚1枚観ながら、思い浮かぶ言葉を
タイトルにした。
すぐに思い浮かんだものは簡単に決められたけど、
全く思いつかず、ずい分言葉を探したものもあった。

キャプションの説明文には、宮古島か石垣島か、
撮影地だけを書き、何も説明を加えなかった。
説明文ではなく、写真から感じて欲しいから、
というのはカッコ良すぎる言い訳か。
でも、ここでは特別にどうしてそのタイトルに
したのかを書いておこう。

タイトルには、普段使わないような、
自分も知らなかったような言葉も選んだ。


― 刹那 ―


「刹那(せつな)」は、仏教用語では時間の最小単位。
このボートと木の存在も出会いも、悠久の時の中では
瞬間のことだと思った。


― 存在 ―


この石たちは、ずっとそこに存在している。
今までも、これからも。


― 無常 ―


波はまさに「無常」だ。
動き続けていて、同じ波は二度とない。


― 無始無終 ―


始まりもなく、終わりもない。
始まりがない、ということは、どういうことだ?


― 久遠 ―


「久遠(くおん)」は、今の状況から見て遠い過去や
遠い未来、または「永遠」を意味する。
長く久しい状態を表す仏教的な言葉。
私には「いつまでも続く、続いている」というイメージだ。


― 悠久 ―


これも「無始無終」や「久遠」に似ているイメージだが、
果てしなく、遥かに長い時を思った。


― 邂逅 ―


「邂逅(かいこう)」は思いがけなく会うこと。
この船は、外国からの観光船だろうか。
島に上陸した乗客にも「邂逅」があったかも知れない。
この船を見つけたのも、煙突からの煙も「邂逅」なんだ。


― 鎮魂 ―


サトウキビ畑の向こうに沈む夕陽。
この写真を観ると 私は畑の中に日本兵や米兵が
今も隠れているような錯覚を覚える。
Hey Soldiers,
The war is over.
Rest in peace.


「刹那」「無常」「存在」「無始無終」は、
宮古島で撮影。
「邂逅」「久遠」「悠久」「鎮魂」は、
石垣島で撮影。
撮影期間は、2024年10月9日から12日。





2025.4.7

RODRIGO Y GABRIELA
ロドリーゴ・イ・ガブリエーラ




激情ほとばしる魂の咆哮!
最強のギター・デュオ、9年ぶりの来日公演。
超絶テクニックに裏打ちされた強靭なライヴ・パフォーマンス!


これは、ウドー音楽事務所のロドリーゴ・イ・ガブリエーラの
来日公演情報ページのコピーだ。

ロドリーゴ・イ・ガブリエーラは、メキシコ出身の
男女アコースティック・ギターデュオ。
「イ」はスペイン語の「and」の意味なので
「ロドリーゴとガブリエーラ」という意味だ。

2006年にリリースされた、『激情ギターラ!』
(原題:Rodrigo y Gabriela)
というアルバムで世界的にも有名になった。
私もこのアルバムで知ったが、日本でのリリースは
2008年とあるから、2008年に知ったのかも知れない。
その時に買った CD がもう手元にはないので
国内版だったか輸入盤だったか今では分からないけど。

初めて聞いた時、結構衝撃だった覚えがあるが、
その後はほとんど聴かなくなっていた。
今回の来日を知って、これは一度はナマで
聴いておきたいと思ったのだが、
スタンディングのコンサートだったよ。

開場時間の18時に会場に到着。
スタンディングなので、整理番号順の入場。
私の整理番号は、136。
上手よりのステージから3列目の場所を確保したが、
開演まで約1時間、じっとしていなければ
ならないのはつらかった。
ひとりなので、トイレに行ったら
もうその場所はなくなってしまうだろう。
誰かと一緒にいればなんとかキープすることも
可能かも知れないけど。

10分ほどで隣りに立っていた2人組の女性の
ひとりが「足が痛い」と言い出した。
「おいおい、まだ開演まで50分ぐらいあるし、
始まったら(たぶん)2時間ぐらい立ちっぱなしだぜ。
大丈夫かい?」(と、心の中で呟いた。)
まあ、ライブが始まったら、足の痛みも忘れるだろうけど。
それにしてもこの動けずじっとしていなければならない
システムは、慣れないし、好きじゃない。

開演時刻を1分ほど過ぎて、オープニングらしき
音楽が鳴り出した。
それをBGMにふたりが登場するのかと思ったら、
1曲まるまる流したので4分ぐらいかかった。
じらしよるなぁ。

ようやくふたりの登場。
ふたりともヤマハのギターを使用していているのは
知っていたけど、特にガブリエーラの NCX が良い。
たぶん旧モデルだと思うけど、ロドリーゴの NTX
よりもナチュラルな音がしていた。
ちょっと前から急に NCX が気になり出していた
ところだったので、ますます欲しくなったよ。


(スマホの写真撮影はOK)

ロドリーゴが、メロディやソロを
ガブリエーラがバッキングを担当。
このデュオは、ガブリエーラの叩き出すリズムで
8割ぐらいカラーが決まっていると感じた。
文字通り、ギターを叩く叩く。
ガブリエーラのバッキングは、ひとりで
何役もこなしているように感じた。
私的にはソロを弾くロドリーゴよりも
完全にガブリエーラに心を奪われたね。



ガットギターでこんなに激しいデュオは
彼らのほかにはいなかったかも知れないな。

ロドリーゴは、数曲でエレキギター
(Fender JAGUAR)を使用。
エレキギターとガットギターでも
こんなに合うのかと思った。



よく聴いていると数曲で、効果音や
シンセのパッドのような音が聴こえていた。
ステージ上には、ギターアンプもモニタースピーカーも
なく、ふたりともイヤモニだったので、
クリックも鳴っていて、それらを流していたと思われる。
基本的にステージにいない楽器が鳴っているライブは
好きではないけど、今日はとても自然に聞こえて良かった。
本当にふたりだけの演奏でもガブリエーラの
伴奏はバンドのように聞こえたよ。



アンコールを入れて、1時時間45分ぐらい。
彼らも9年ぶりの来日をとても喜んでいるのが
伝わってきたし、観客も大盛り上がりだった。
ギター2本だけで、しかも歌なしであれだけ
盛り上げられるのは、凄いよ。
最後にはなんだか感動してしまった。
今回の来日公演は、東京と大阪、各1回のみ。
大阪公演(明日)は、会場がバナナホールらしい。
そのあと、彼らはオーストラリアを7公演 廻る。




[ MEMBERS ]
Rodrigo Sanchez / ロドリーゴ・サンチェス (gt)
Gabriela Quintero / ガブリエーラ・クインテーロ (gt)

@ 恵比寿ザ・ガーデンホール





2025.4.9

SILVIA PEREZ CRUZ
&
SALVADOR SOBRAL




昨年に続き来日したスペインの歌姫、
シルビア・ペレス・クルスを観てきた。
2018年の初来日以来4度目の来日だが、
昨年同様、今日も 1stショー、2ndショーを
続けて観たよ。
それほどまでにお気に入りのシンガーなのだ。

毎回違ったプロジェクトで来日しているが、
今回は「シルビア・ペレス・クルスと
サルヴァドール・ソブラル」という名義でのライヴ。
5月に発売予定の CD があるのだが、
この来日公演がワールド・プレミアなのだ。

今回の来日を知ったとき、この動画を観て
これまた心をつかまれたのだった。

Silvia Perez Cruz - Em moro - ft. Salvador Sobral

声だけでこんな豊かで、荘厳で、繊細で、
慈愛に満ちた 美しいハーモニーが存在するんだな。
歌い終わった後の、サルヴァドールの表情と涙が
この時が特別であったことを物語っている。
何か癒しの力のある特別な倍音が出ているんじゃないかとも思う。

ライヴはふたりきりではなく、ギターやチェロの
メンバーを含むクインテット。
チェロのマルタ・ローマは昨年の来日メンバーでもあった。

1st ショーはやや後ろの方の席で、2nd ショーは
中央の前から3列目で観たのだが、
こんなにも臨場感が違うものかと思うほど違う。
昨年も同じような体験をしているので、
知ってはいるけれど、伝わって来るバイブレーションが
全然違うのと、ステージに近ければ近いほど
音楽に浸れる感じがある。

1曲目のみ、シルビアとサルヴァドールとチェロの3人で
あとは、5人の演奏なのだけど、この人達の
演奏がほかの誰かのライヴとは何が違うのか
観ていて気付いた。
彼ら自身が自分たちの音楽を聴いているんだ。
それは他のミュージシャンでもそうなんだけど、
上手く言葉にできないが、ちょっと次元が違うというか。
例えば、チェロのマルタ・ローマは、演奏しながら、
シルビアやサルヴァドールをまるで観客のように
見つめ、どっぷりとその音楽に浸かり、いや、
音楽の中に溶け込み、そして演奏しているように見えた。
サルヴァドールも何度もシルビアの歌に歓喜している
ように見えたし、とにかく、全員からプレイすることの
歓びがにじみ出ているんだ。
互いを讃え合い、リスペクトしていることが
伝わってくるんだ。

これは、数多くライヴに行っている私でも稀な
ことなので、体験してみないと伝わらないと思う。
厳かで、歓びがあって、平和で、愛に満ちている。
そんなステージでした。

サルヴァドールは、ポルトガル人で、来日は初めて。
もの凄く色んな声を出していた。
ギター、マンドリン、バンジョーのセバスティア・グリスは、
なぜか日本語が少し話せる。
もう一人のギター、ダリオ・バロッソは、ギターは
フラメンコギターでとても繊細で美しいギターを弾く。
チェロのマルタは、ベースの役割をしたり、
アルペジオを弾いたり。
このクインテットでは、かなり重要。
そして、シルビアの重厚で情熱的な魂の歌声。
何度聴いても素晴らしい。

残念なのは、MC の英語がほとんど分からないこと。
その中でも聞き取れたのは、シルビアは
「誰かと一緒に唄うのはとても難しいのだけど、
サルヴァドールと一緒に唄うのは、とても簡単」
だと言っていた。
あれだけ、息が合って、共鳴し、ハーモニーが
溶け込むのだから、そうなんだろうな。
サルヴァドールは、「アルバムが5月に出るのだけど、
今日ここで予約できるよ」と言っていた。
私の聞き間違いでなければ。
その CD のワールドプレミア公演ということもあって、
彼らは本当に心から楽しんでいるようだった。

曲は、スペイン語はもちろん、英語の曲も。
フレンチソングと言って唄ったのは、
フランス語だったように聞こえた。
ブラジルの曲と言って演ったのは、
ポルトガル語だったのだろうか。
そして、アンコールは 1st ショーも 2nd ショーも
何と日本語で『上を向いて歩こう』。
これも美しいハーモニーで。

そういえば、スペインの曲と言って演った曲が
メキシコの曲だと言われても信じるだろうという曲調で
「メキシコみたい」と思いながら、聴いたのだけど、
考えてみれば、それは逆でメキシコの音楽が
スペインの影響を受けているんだよな、きっと。


[ MEMBERS ]
Silvia Perez Cruz (vo, key)
Salvador Sobral (vo, key)
Marta Roma (vc, voice)
Dario Barroso (g, voice)
Sebastia Gris (g, banjo, mandolin, voice)

@Blue Note Tokyo
1st show and 2nd show




これは今回の来日公演のフライヤーなどに使われている
写真だけど、なんかちょっとB級サスペンス映画の
ポスターみたい。
この写真の印象と音楽は全くかけ離れているんやけど
なぜ、この写真を……


[ 関連エントリー ]
2018.5.7 SILVIA PEREZ CRUZ
2018.5.12 SILVIA PEREZ CRUZ
2019.10.8 SILVIA PEREZ CRUZ & MARCO MEZQUIDA
2019.10.11 SILVIA PEREZ CRUZ & MARCO MEZQUIDA

2024.4.8 SILVIA PEREZ CRUZ presents "Toda la vida, un dia"





2025.4.10

カレーはスポーツだ! #86
ステーキ肉増し&煮込みカレー/ センタービーフ(五反田)
★★★★☆


西五反田にある「ステーキライスとカレーの店
センタービーフ」 。
初めて行ったのは、昨年7月。
その日はステーキライスを食べに行ったのだが、
メニューを見てカレーが食べたくなり、カレーを食した。
それから、2、3回はステーキライスを食べに行った。
ステーキライスも量的にも味的にも満足だった。
今日もステーキライスと思って行ったんだけど、
メニューを見たらカレーが食べたくなり変更。
前回と同じ「ステーキ肉増し&煮込みカレー」を。
(税込1,690円)



昨年のエントリーを読むと
「トロトロになるまで煮込まれたビーフが
たっぷり入ったカレーにステーキが」とあるのだが、
今日は煮込みビーフがあんまり入ってなかった。
たまたまだろうか、諸々の値上がりで
量が減ってしまったのだろうか。
料理の値段は変わっていないので、
その可能性だってないことはないな。
煮込みビーフは残念だったけど、
それでもあれで1,690円ならいいかな。





2025.4.10

上田正樹&内田勘太郎
with Yoshie.N

「Singing the Soul&Play the Slide




約半年ぶりのキー坊(上田正樹)。
今日は、ギタリスト内田勘太郎さんと。
ありそうでなかった組合せだな。
もっとも、初共演ではないだろうと思うけど、
Yosie.N と3人で演るのは、先日の
横浜でのライヴが初で今日が2回目だと言っていた。

ハコは、目黒のブルースアレイジャパン。
ここは、地下のライブハウスなのだが、観客席の
真ん中あたりに1メートル四方ほどある柱があって、
席によっては、その柱が邪魔でとても見にくい。
今回は予約したのが遅かったせいか
案内された席はその柱でステージの一部が見えない。
途端にテンションが下がる私。
これで、他の席と同じ料金というのは解せないが、
文句を言ったところで、満席のようだったので、
席を替えて貰える訳でもあるまい。
きっと今までにもその事でクレームを言った客はいただろう。
それでも建物の構造上仕方がないと言われれば
それまでだが、見にくい席は料金を下げるなどは
できると思うんだけどどうだろう。

テンションが下がったんだけど、
始まってみたら、3人とも ちゃんと見えたので、
そんなに言うほど悪くはなかった。
キー坊が、ピアノを弾くときだけちゃんと見えなかったけど。

キー坊のギタリストといえば、有山じゅんじ。
それから、死んでしもた石やん(石田長生)、
昨年も共演を観た山岸潤史などが思い浮かぶ。
全員、非常に個性的だが、本日の勘太郎さんも然り。
かなり自由です。
勘太郎さんのギターは、Kヤイリ。
キー坊は、ギター(セミアコ、たぶんシェクター)とエレピを演奏。

曲は(曲名が分かるものだけで)、
『Imagine』(ジョン・レノン)
『Geogi on My Mind』(レイ・チャールズ)
『Honky Tonk Women』(ローリング・ストーンズ)
『Help』(ビートルズ)
『Something You Got』(ウィルソン・ピケット)
『悲しい色やね(Osaka Bay Blues)』などの他に
『ベートーヴェンの第9』をブルース風に。
凄いわ、ベートーヴェンからストーンズまでやで。
Yosie.N をフューチャーしては、
『Oh Darlin'』(ビートルズ)
『People Get Ready』(カーティス・メイフィールド)
『Nobody Knows You When You're Down And Out』
(ベッシー・スミス)
勘太郎さんは、2部の始まりでソロ・ギターを2曲。
1曲は『Susie Q』かな。
アンコールは、『Midnight Hour』(ウィルソン・ピケット)
『Stand By Me』(ベン E. キング)。

『悲しい色やね』と
『Nobody Knows You When You're Down And Out』
では、ゲストでピアノの堺敦生を迎えて。
これは、もともと予定されていたものなのか、
ライヴを観に来た堺さんをステージに上げたのか
分からん感じやった。
2曲目『Nobody Knows You When You're Down
And Out』は、ぶっつけみたいだった。

その堺さんの伴奏で Yosie.N がニューアルバム
(カヴァー・アルバム)を出すらしく、先行で
販売していたので買ってきた。
Yosie.N を初めて観たのは、もう10年以上前だけど
もの凄く良くなったと思う。
彼女のライヴを観に行きたいと思うようになったもん。
キー坊が「次世代の日本を代表するソウル・シンガー」
といつも紹介するのだけど、本当にそんな感じがしてきた。
上田正樹が師匠だからね。

ドラムやベースがいなくても、腰が動く。
変な言い方やけど、R&B が基本やなぁと
再確認したようなライヴでした。
キー坊は、今年76歳になる。
声は全く衰えていない。
まだまだ元気でソウルを聴かせて欲しい。

そうそう、アメリカ南部では、Vネックの
アンダーシャツが売っていないらしく、
胸の開いたシャツとスーツを着るときに困るそうな。
それで、キー坊がベン E. キングに日本製の
Vネックのアンダーシャツをプレゼントしたら、
もの凄く喜んで「Best of My Life」とまで
言ったという話は面白かった。


[ MEMBERS ]
上田正樹 (Vo/G)
内田勘太郎 (G/Vo)
Yoshie.N (Vo)
guest:堺敦生 (P)

@ BLUES ALLEY JAPAN





2025.4.14

ERIC CLAPTON
エリック・クラプトン 第一夜




つい先日、80歳の誕生日を迎えた
エリック・クラプトンの来日公演がスタートした。
一昨年(2023年)の来日時、
これが最後だろうと思った私は、
6回の武道館公演を全て観た。
しかし、彼は再びやって来たのだ。
今年は2回の追加公演を含めて8回公演。
前回同様、東京 武道館のみの公演。

当初、来日公演が発表された時は、
6回だったので、これはケチったらあかんと
思い、全公演のチケットを取った。
そのあとで、追加の2公演が発表された。
もしかして、来日最後のライヴを見逃すなど
あってはならぬと思った私は、
その追加公演もチケットを取った。
まあ、ロンドンまで観いくことを思えば
安いもんだと自分に言いきかせ。

今日は、その来日公演第一夜。
一昨年も6回観て、日によって
様々な思いを抱いたことを覚えている。
80歳のじいさんに多くを望んではいけないと
はやる気持ちを抑えて会場に足を運んだ。



1曲目『White Room』のイントロで
泣きそうになるが、ギターソロでは
「エリックさん、どないしはったん?」と
言いたくなるようなミス。
その後も数曲で、激しいミストーンや
『Winderful Tonight』では、イントロ終わりで
マイクと離れすぎていて唄い初めに
慌てて動き、笑いを誘うシーンもあった。

が、『Badge』のソロは、エリックもドイルも
ティム・カーモン (key) のソロも良かったな。
あと『Old Love』のソロも良かった。
声は、全く衰えを感じなかった。


開演前

今回のステージは、ステージの上に6つの
モニターがあってとても観やすい。
6つのモニターには、同じ映像だったり、
違うメンバーが映ったりする。
ただ、ドラムのソニー・エモリーのアップの
映像だけが、明らかにレイテンシーがあり
観ていて気持ち悪かった。
正面から撮っているカメラでエリックの
後ろに映っているときは遅れていないので、
あのソニー・エモリー専用のカメラの信号だけが
遅れているように感じた。

モニターの画面は明るいのだけど、
ステージ上にはスポットライトは当たっておらず
やや暗いのが気になった。
もしかしたら、照明を当てられない事情でもあるのだろうか。

エリックは、黒い(もしかしたら濃い紺かも)の
ストラトキャスター。
アコースティック・セットでは、マーティンのOOOタイプ
数本と12弦ギターを使用。
12弦ギターは、『LOCKDOWN SESSIONS』の
時のもの(ギターテックのダン製作)だろうか。
ネイザン・イーストは、ヤマハのベース。
アコースティック・セットでは、コントラバスを演奏。

ニューアルバム『Meanwhile』からは
アコースティック・セットで『The Call』を演奏。
今日は全17曲中9曲がブルースやったわ。

MCでちょっと喋ったんだけどほとんど聞き取れず。
「Mr. Udo」「opportunity」という言葉が
聞き取れたので、たぶんだけど ウドーさんの
おかげでまた来日できた、という話だったのかな。

一昨年にも感じだことだけど、高齢になったエリックは、
もう立ってロックをやるのはしんどいんとちゃうかな。
座ってアコギで唄う方が、今のエリックには
合っているような気がした。

今日の席は、アリーナのかなり後ろの方。
でもモニターのおかげであまり不満はない。

今日は、80歳になっても来日してくれたことだけで
感謝だ。
あと7回も観られることにも感謝。


[ MEMBERS ]
Eric Clapton (g,vo)
Nathan East (b, vo)
Sonny Emory (dr)
Doyle Bramhall II (g,vo)
Chris Stainton (key)
Tim Carmon (key)
Katie Kissoon (vo)
Sharon White (vo)

@ 武道館

[ SETLIST ]
( Electric set )
01. White Room
02. Key to the Highway
03. I'm Your Hoochie Coochie Man
04. Sunshine of Your Love
( Acoustic set )
05. Kind Hearted Woman Blues
06. The Call
07. Motherless Child
08. Nobody Knows You When You’re Down and Out
09. Golden Ring
10. Tears in Heaven
( Electric set )
11. Badge
12. Old Love
13 Wonderful Tonight
14. Cross Road Blues
15. Little Queen of Spades
16. Cocaine
( Encore )
17. Before You Accuse Me





2025.4.15

そろそろ 練習 再開

昨年11月にフルマラソンを走ってからも
週一ぐらいでジョギングを続けていたのだが、
冬場は、寒くてやめてしまっていた。
ジョギングの最後は12月11日。
その日のメモには
「気温は10℃を切っていたようだ。
風も強くて寒くて、走っていると鼻水も出るし、
1周でやめた」とある。
「1周でやめた」というのは、練習用のコースを
決めていて、2周走るつもりでいたのに
寒くて断念したということなんだ。
そのコースは1周が4,360メートル。

それからも、例えば青山や品川あたりから
4~5キロぐらい歩いて帰ることは、
月に数回あったけど、しっかり「歩く」「走る」という
意識で練習としてはやっていなかった。

ようやく再開する気になったので、
先日からボチボチと始めた。
11月のマラソン全体でみると、1キロあたり
9分35秒で走ったことになるのだが、
12月の練習では、4,360メートルの1周目なら
8分30秒台で走れるようになっていた。
もちろん、距離が延びればそこからどんどん
ペースは落ちるのだけど、昨年の夏、
ジョギングを始めた時のことを思うと
これは自分的には凄いことなんだ。
めちゃくちゃ遅いけど。

今日は、そのコースを1周走ったが、
いきなり張り切ったら、故障の元なので
かなりゆっくり目にジョギングしたら、
1キロ10分を超えるスローペースだった。
(歩いているのと変わりません)
これから徐々に戻していきたいと思う。

昨日は、クラプトンのコンサートの後、
武道館から歩いて帰った。
距離にして約10キロ。
5キロぐらいなら全く疲れないのだけど、
昨日は驚くほど疲れた。
100キロウォークの練習をしていた時には、
10キロなんて全く疲れなかったのに、
やはり続けていないと体力は見事に落ちるんだな。
知ってはいるけど、改めて痛感。

ジョギングでもウォーキングでも
どちらでもいいから、その日の気分で
練習と意識してやろうと思う。





2025.4.16

ERIC CLAPTON
エリック・クラプトン 第二夜




80歳のエリック・クラプトン来日公演の第二夜。
武道館公演は、今日が104回目だという。
これは、単独公演では 157回の矢沢永吉、
129回の松田聖子に次いで第3位になるそうな。
ちなみに第4位は103回の THE ALFEE。

エリックは、今回の来日全公演が終わると
日本では通算230公演となるらしい。
そのうち武道館が、110回となる。
私は、大阪在住時代に、厚生年金会館大ホール、
フェスティバルホール、大阪城ホールの
コンサートも体験している。
武道館以外で観られたというのも
今では大切な想い出となった。

さて、今日は、スタンド席1階。
南西の6列目。
一昨日のアリーナ席より数メートル、ステージが
遠くなったのだが、上からなので観やすい。
ステージの上の6つのモニターがとても良い。
一昨日にも書いたけど、ステージ上が薄暗く
見えるので、このモニターばかり見てしまいがち。


開演前

セットリストは、一昨日とほぼ同じだが、
アコースティック・セットに変化があった。
『Nobody Knows You When You're Down and Out』
と『Golden Ring』の2曲演奏されず、替わりに
ネイザン・イーストがヴォーカルを取って
『Can't Find My Way Home』。
(この曲は、ブラインドフェイスでは、スティーヴ・
ウィンウッドが唄っていた。)

なので1曲減ったのだけど、終わってみれば
時間は一昨日と同じ、1時間45分のショーだった。

演奏は、一昨日より今日の方がかなり良かった。
リラックスしていたのだろうか、
エリックの笑顔も多かったように感じたし、
ズッコケそうなソロのミスもなかった。
以前、ツアー1日目のエリックは、あまり良くないと
読んだことがあるような気がするが、こういうことなのかもな。
特に『Old Love』のソロはかなり良かった。

今日は、なんだか『Tears in Heaven』が染みたな。
この曲は、1991年に当時4歳半で亡くなった
エリックの息子コナーに捧げた曲だ。
(コナーは、アパートの窓から転落するという
事故で亡くなった。)
1986年発売のエリックのアルバムは
『August』だった。
その年の8月にコナーが生まれたので、
アルバム・タイトルを『August』にしたんだ。
そのコナーが生きていたら、今年で39歳だ。

『Tears in Heaven』を聴きながら、
こうして、エリックはステージでこの曲を唄うたびに
コナーのことを想い、偲んで来たんだなと思った。
この曲のイントロが始めるとひと際大きな拍手が
起きるが、たった4歳半で旅立ったコナーの
存在の大きさを思わずにはいられない。

エリックのギターは、一昨日と同じと思われる
ブラックのストラトキャスター。
ソロの時は、ミッドブーストを上げているのがよく分かる。
アコースティック・セットでは、一昨日は
「マーティンのOOOタイプ数本」と書いたのだけど、
今日はOOOタイプは1本ではなかったか。
それが、ヘッドにはマーティンのロゴがなく、
12弦と同じような丸いロゴマークが入っていた。
あんなに会場内にも外にもマーティン(というか
黒澤楽器か)のブースが出ているのに
本人がマーティンを弾いていないなんてことが
あるのだろうか。
12弦もやはりマーティンではないだろう。
(2025.4.24 追記)
OOOタイプは、マーティンの「OOO-42K Goro's」で
あることを確認しました。


ドイルのギターは、チェリーとナチュラルの ES-335が2本。
アコースティック・セットでは、おそらくマーティン。
そして、数曲で塗装の剥げたストラトキャスターを使用。
これは、一昨日は登場しなかったんじゃないかな。
このストラトでソロを弾いたのだが、個人的には
エリックのストラトより好きなトーンだった。
相変わらず、弾いている姿は独特。
(彼は左利きだけど右利きのギターの
チューニングのまま弾いている。)

さて、あと6公演。
あっという間に終わるんだろうな。
次回は、明後日18日。
いまだ演らない『Layla』は聴けるんだろうか。




[ MEMBERS ]
Eric Clapton (g,vo)
Nathan East (b, vo)
Sonny Emory (dr)
Doyle Bramhall II (g,vo)
Chris Stainton (key)
Tim Carmon (key)
Katie Kissoon (vo)
Sharon White (vo)

@ 武道館

[ SETLIST ]
( Electric set )
01. White Room
02. Key to the Highway
03. I'm Your Hoochie Coochie Man
04. Sunshine of Your Love
( Acoustic set )
05. Kind Hearted Woman Blues
06. The Call
07. Motherless Child
08. Can't Find My Way Home
09. Tears in Heaven
( Electric set )
10. Badge
11. Old Love
12. Wonderful Tonight
13. Cross Road Blues
14. Little Queen of Spades
15. Cocaine
( Encore )
16. Before You Accuse Me





2025.4.17

歩く マジで人生が変わる習慣
池田光史 著




大変興味深い内容だった。
前半は「歩く」とは人類にとってどういうことなのか。
なぜ「歩く」ことが良いのか。
中盤は、靴の話。
最近のハイテクな靴(厚底やクッション)の
デメリットや歩く事から観た本来の靴のあり方など。
ちょっとアルトラの宣伝っぽくもあるが、
実際にアルトラの靴を履いてみたくなる。
後半は、筆者の体験談からの幸福論。

ただ「歩く」というキーワードから、生き方や
幸福論まで拡がるという意味で、
私には壮大とも言える読み物だった。
何よりもっと「歩こう」と思える。

一昨年の100キロウォーク練習時から
歩く距離は大幅に増えた。
昨年のフルマラソン参加で「走る」(といっても
スロージョグだけど)ことも加わった。
その運動の後の爽快感も何度も味わった。
それでも「寒い」という理由で、この数か月間
歩いたり走ったりすることをサボってきた。
しかし、寒くなる前に読んでいたら、
サボらなかっただろうとまで思った。

歩くことが脳に良いことは多くの実験や論文が
証明している。
多くの偉人たちが歩くことを重要視してきた
歴史もある。

何より60歳を過ぎた私に切実なのは、
自分より高齢者を観たときに思う自分の
10年後20年後だ。
「人間はおしめに始まり、おしめに終わる」と
言ったのは、綾小路きみまろだったか。
出来ることなら、おしめでは終わりたくない。

本書にも島田雅彦著『散歩哲学』の中からの
こんな引用がある。
「幼児が歩行訓練に費やす約二年間は、
言語を獲得する時期と重なるので、
二つの能力は相乗効果で発達する。
歩行能力の獲得によって、好奇心が
一層刺激され、満たされる。(中略)
逆に歩くのを止めた瞬間から退化が
始まってしまう。」

「おしめに始まり、おしめに終わる」は
「歩けないに始まり、歩けなくなって終わる」
ということでもある。
よく、高齢者のことを「赤ちゃんに戻っていく」
などと例えるが、まさにそうなのだ。

人間は、自分の足で歩けなくなると、
急激に衰える。
歩かないと脳への刺激もなくなり、
脳も退化する。

もともと狩猟採集時代には
歩くことは生きることだった。
それが農業革命だ産業革命だで、
どんどん歩かなくなっていった。
それは人類の目指す幸福の一つでも
あったんだけど。

「文明やテクノロジーの進化は、
人間を幸福にしたのか?」という問いは
あちらこちらで聞かれるようになった。

幸福じゃないからだ。

最近、東京の山手線「高輪ゲートウェイ駅」に
高輪ゲートウェイシティの一部がオープンした。
そのニュースをテレビで観た。
そこでは、一人乗りの「自動走行モビリティ」と
いうものに乗り、館内を移動できるようなのだ。
時速5キロらしい。

歩けよ。
と思った。

もちろん、足の不自由な人にとっては
ありがたいツールだろう。
しかし、こうやって歩ける、健康な人まで
どんどん歩かなくて良いようにテクノロジーは進んできた。
その結果は、もう出ている。

先月会った今年85歳になる叔父は、
毎日家の中で、トレーニングを欠かさず、
2日に一度は8キロほどウォーキングする。
今まで会った85歳の中ではダントツに
姿勢が良く、年寄りっぽくない。
もちろんボケていもいない。
彼は、何年も前に心臓を患った。
医者は、おとなしく過ごせと言ったらしいが、
少しずつトレーニングを始めたところ、
どんどん体調が良くなっていったそうだ。


★★★★▲





2025.4.18

ERIC CLAPTON
エリック・クラプトン 第三夜




80歳のエリック・クラプトン来日公演の第三夜。
武道館は105回目の公演で外国人アーティストの
最多記録を更新中だ。

アリーナ席、1階席と観てきたが、
今日の席は、スタンド 2階 東。
B列だったので前から2列目かと思ったら
1列目でこの3回ではステージが一番近かった。
舞台袖も見えたので今まで分からなかった
ことも見えてきたよ。
前の2回が西南側だったけど、今日は
ステージを上手側から観る形になり
これもまた違う感じだった。

前2回は6つのモニターが良く見えたので
楽しめたけど、今日は6つのうち 4つしか見えず、
そのうち2つは角度が付きすぎていて
見ていられないし、一つはもろにスピーカーが
重なっていて見えない。


開演前

まともに鑑賞できるモニターはひとつだけという状況。
これは残念だったが、その代わり、ステージが近いので
直接ステージを観る時間は今日が一番長かった。


開演前

演奏は、一昨日と同じような印象で、軽微なミスは
あるものの初日のようなズッコケ感はなく、特に
『Old Love』、『Little Queen of Spades』あたりの
ソロは良かったと思う。

セットリストは、ほぼ同じだったが、
アコースティック・セットで
『Can't Find My Way Home』のあとに
『Nobody Knows You When You’re Down and Out』
を演った。
前回の16曲から1曲増えたのか、と思いきや
なんと『Wonderful Tonight』を演らなかった。
アンコールは、『Before You Accuse Me』で3日間同じ。
今日も『Layla』は演らず。

不満げに書いているようだが、不思議と全く
不満はなく、なんだか満たされている自分がいる。
一昨年の来日が最後だと腹をくくっていたところに
今年の来日は、もうご褒美のようなもの。
おまけにそのご褒美8公演を全て堪能できる
贅沢な歓び。
もう来日してくれたことへの感謝しかないのだな。

これもエリックが親日家であることに加えて、
ウドー音楽事務所との長い人間関係の賜物でしょう。

今日は、ステージ上手のステージ袖まで
しっかり見えたので、分かったことがある。
あくまでも今日に限ったことだけど、
エリックのギターはストラトキャスターが3本。
アコギは、OOOタイプと12弦のそれぞれ1本が
用意されていた。


開演前

4月14日のエントリーには、「マーティンの
OOOタイプ数本」と書いたけれど、
少なくとも今日は、OOOタイプは1本で、
しかもマーティンではなく、ヘッドのロゴマークは、
『LOCKDOWN SESSIONS』の時の
ギターテックのダン製作の12弦と同じように見えた。
ということは、6弦も12弦もダン・ディーンリーの
ギターを使っていて、マーティンは弾いていないということだ。
いいんでしょうか、黒澤楽器さん。
私はいいんですけど。

(2025.4.24 追記・訂正)
OOOタイプは、マーティンの「OOO-42K Goro's」で
あることを確認しました。
ロゴマークはダンのギターとは違う「goro’s」のマークです。


そして、一昨日はアコースティック・セットで
間違いなくドイルは(何曲か分からないけど)
アコギを弾いていたのだけど、今日はアコギを弾かず。
同じセットリストでも、ギターを変えたりしてるんだな。
今日は、チェリーの ES-335 中心で、
『Motherless Child』では、Novo Guitar と
思われる P-90 タイプの PU の付いた
ジャズマスターっぽいラインの黒いボディのギターを使用。
あと塗装の激しく剥げたサンバーストのストラトも
数曲で使用。
ドイルは、右利き用に張った弦を左利きで
弾いているためか、アップピッキングが激しい。
それで、ボディの上側(つまりピックガードが
ない部分)の塗装が剥げているのだと思う。
今日のドイルは、ハットをかぶって、胸に富士山(?)の
絵のあるシースルーのジャンバーを着てた。
そういえば、一昨日は羽織(旅館で浴衣の上に
羽織るようなの)を着てたわ。

最後の『Before You Accuse Me』が
終わった後の、エリックの晴れ晴れした笑顔と、
メンバー間の和やかな雰囲気がとても印象に残った。
あの一瞬を見ることが出来ただけでも満足。

あと5公演。
明日は早くも4公演目。
今日明日と連日なので、疲れていなければ良いが。


[ MEMBERS ]
Eric Clapton (g,vo)
Nathan East (b, vo)
Sonny Emory (dr)
Doyle Bramhall II (g,vo)
Chris Stainton (key)
Tim Carmon (key)
Katie Kissoon (vo)
Sharon White (vo)

@ 武道館

[ SETLIST ]
( Electric set )
01. White Room
02. Key to the Highway
03. I'm Your Hoochie Coochie Man
04. Sunshine of Your Love
( Acoustic set )
05. Kind Hearted Woman Blues
06. The Call
07. Motherless Child
08. Can't Find My Way Home
09. Nobody Knows You When You’re Down and Out
10. Tears in Heaven
( Electric set )
11. Badge
12. Old Love
13. Cross Road Blues
14. Little Queen of Spades
15. Cocaine
( Encore )
16. Before You Accuse Me





2025.4.19

ERIC CLAPTON
エリック・クラプトン 第四夜



数週間前、JR目黒駅に貼られていた広告


80歳のエリック・クラプトン来日公演の第四夜。
今回の来日公演で、昨日今日と追加公演の
26日27日だけが、2日連続のスケジュールに
なっており、80歳のエリックにどの程度の負担なのか、
想像もつかないが、昨日の疲れが残っていなければ
よいなと思い会場へ足を運んだ。
今日は、土曜日なのでいつもより早く、
16時開場の17時開演。
(平日は、18時開場 19時開演)

今日の席は、2階 南西K列。
今日は、モニターも まあまあ ええ感じで観られた。


開演前



比べるのは難しいけど、今までの4公演の中では、
今日がベストかもと思えるライヴだった。
昨日の疲れなど全く感じることなく、
エリックの声は力強く、ギターソロも全編通して良かった。
ギターソロでは、いつものエリック節に加えて、
普段聴かないような音使いも数曲で聴かれた。
特に『Sunshine of Your Love』、『Old Love』が良かった。
『Old Love』は、毎回良い。

アコースティック・セットでのギターは、
今日もマーティンはなし。
今回のツアーは、
「黒澤楽器店 MARTIN GUITAR Presents」
なのだけどね。
(2025.4.24 追記・訂正)
エリックの使用したOOOタイプは、マーティンの
「OOO-42K Goro's」であることを確認しました。


今日は、昨日までの3公演で毎回演っていた
『Motherless Child』を演らずに、
初日に演った『Gold Ring』が復活。
全部で16曲は変わらず。

今日までの4公演、同じセットリストではないのだけど
ほとんど一緒なので、そろそろ曲順も覚えてきたよ。
アンコールも、同じ『Before You Accuse Me』で、
本日も『Layla』は聴けず。
『Wonderful Tonight』も演らず。
ブルース中心のセットリストだから、
エリックはやっぱりブルースを演りたいんだよな。

一昨年もツアーの途中で 17曲から16曲に
減ったことを思うと、残りの4回で曲が
増えることは期待できそうにないな。

公演初日の前々日、ネイザン・イーストが
インスタに桜の写真と鰻を食べている写真を
アップし、こう書いていた。

So great to be back in Japan (for my 85th trip!)
just in time for “Sakura” Cherry Blossom season!
Eric Clapton concerts start next week at Tokyo Budokan
Hope to see you!

なんと来日が85回目!
もちろん、エリックのツアーだけではなく、
彼は、様々なプロジェクトで来日している。
ネイザンは、なんというか、品が良い。
信仰心も厚い印象を受けるし、
きっと人格的にも素晴らしい人だと思わされるね。
彼は終演後、毎回ステージに最後まで残り、
観客をスマホで撮影しているよ。

8回も観られると思っていたけど、
あっという間に4回が終わってしまった。
今日も終わった時のエリックの晴れやかな表情が良かった。
大変満足です。

次は、明後日21日。


[ MEMBERS ]
Eric Clapton (g,vo)
Nathan East (b, vo)
Sonny Emory (dr)
Doyle Bramhall II (g,vo)
Chris Stainton (key)
Tim Carmon (key)
Katie Kissoon (vo)
Sharon White (vo)

@ 武道館

[ SETLIST ]
( Electric set )
01. White Room
02. Key to the Highway
03. I'm Your Hoochie Coochie Man
04. Sunshine of Your Love
( Acoustic set )
05. Kind Hearted Woman Blues
06. The Call
07. Golden Ring
08. Can't Find My Way Home
09. Nobody Knows You When You’re Down and Out
10. Tears in Heaven
( Electric set )
11. Badge
12. Old Love
13. Cross Road Blues
14. Little Queen of Spades
15. Cocaine
( Encore )
16. Before You Accuse Me





2025.4.20

どちらの方向に行かれますか?

私は、今まで一度も職務質問なるものを
受けたことがない。
警察官に声をかけられるのは、せいぜい
自動車運転中の検問ぐらいだ。

永田町あたりは、国会議事堂や政府関係の
建物が多く、いつも警備の警察官が多い。
先日、武道館から歩いて帰ろうと永田町を
歩いていたところ、警備に当たっている
若い警察官が、会釈をするので私も返すと
「どちらの方向に行かれますか?」と聞いてきた。
私は、質問の内容が可笑しかったので
笑いながら、歩いている方向を指差し「こっち」と答えた。
警察官は「まっすぐ行かれますか」と答えた。
私は「はい」と答え、立ち止まることもなく歩き続けた。

毎日毎晩、国を守って頂きありがたいことである。
私がなぜ可笑しかったかというと、歩いている人に向かって
「どちらの方向」もないだろうと思ったからだが、
思うに勿論、警察官の質問の意図はその内容ではないだろう。
私の挙動から不審者かどうかを見抜く為だろうと思う。
相手はプロだ。
その僅かなやり取りから、私に不審な点があれば
もっと突っ込んで話しかけてくるのかも知れない。
警察官が、パトカーの中から目をそらしただけの
動作で犯罪者を見抜き、逮捕に繋がったという
ドキュメンタリーをテレビで観たことがある。

私が、一度も職質を受けたことがないのは、
清廉潔白に見えるからだと思うがどうだろう。
清廉潔白。
改めて意味を調べてみると
「心や態度が美しく清くりっぱで、
私利私欲がなくよこしまな気持ちを
一切もたないこと」だそうだ。

うーむ、そんな人がいるのか。
私は清廉潔白ではないわ。
たぶん「怪しくない」という程度です。

若い頃は、怪しい人に見られたい時期もあった。
怪しいというか、個性的というか。
今から考えるとちょっと恥ずかしい。

ところで、このところエリック・クラプトンの
コンサートで、武道館を何度も訪れているが、
入場する際にもぎりの人が必ず
「危険物はお持ちじゃありませんか?」
と訊いてくる。
私は「はい」とだけ応えるが、
なんとナンセンスなマニュアルだろうと思う。
もし、人を傷つける目的で危険物を
持っていたら「持っています」というわけがない。
これは、先ほどの警察官とは訳が違う。
そのもぎりの人は犯罪の専門家でも何でもない。
もしかしたら、アルバイトかも知れない。
本気で不審者を見つけるための質問を
しているとは到底思えないのだけど、
私の考えは間違っているだろうか。

おまけに入場時に非常に形式だけの
荷物検査がある。
鞄を開けて中を係員に見せるのだが、
上から覗くだけでほとんど意味がない。
危険物は簡単に隠せるだろう。
危険物だけではなく、カメラや録音機なども
チェックの対象だろうが、今ではそれらも
小型化され簡単に持ち込めるだろう。

今回のクラプトンのコンサートでは、
第一夜、二夜は、その形式的なチェックを
していたけれど、なぜか昨日一昨日は
そのチェックがなくなっていた。
無駄だと気付いたのかしら。

今のような小型のデジタルの録音機がなかった
80年代は、録音できるカセットテープの
ウォークマンを辞書のカバーに潜ませて
コンサート会場に持ち込むのが、
隠し録りする人の手口だった。
若いから学生のふりをすれば
辞書を持っているのも不自然じゃないんだ。

そういえば先日、大阪の万博会場で
手荷物検査の時、「リュックの中は爆弾だ」と
言ったじいさんが逮捕されたというニュースを観た。
80歳のじいさん、楽しみにしていた万博で
テンションが上がってしまったんやて。
絶対ふざけてはいけない場面やのにな。

永田町の警察官の話に戻ろう。
あんな風に一晩中(?)警備のために
立っているのは、しんどい仕事だろう。
事件が起こらない限りは、
ほとんど立って見張っているだけの仕事だ。
時には、怪しくなくても歩行者に
話しかけたくなるのかも知れない。

いや、待てよ。
もしかしたら、怪しかったのか?





2025.4.20

ソエジマトシキ

ソエジマトシキ(副島俊樹)というギタリストがいる。
数年前から YouTube で見かけるようになった。
所謂「ネオ・ソウル」というジャンルに分類されて
いるようだが、スムース・ジャズ的な、聴いていて
心地良いギターインストで、おいしいギターを弾く。
YouTube では、機材のレビューやギターの奏法の
レクチャー、ライヴの映像などを公開していて、
教則本も出している人。33歳。

私も時々彼の動画は観ていて、
影響を受けて機材を買ったこともある。
以前、彼の持っているギター(Bruno Guitars)が
欲しくて調べてみたが、数年の予約待ちで
諦めたこともあった。
動画からは、温厚な人柄が伝わってくる。
今年は、コットンクラブのライヴを
(観に行ってないけど)成功させた。
また動画に登場する、トランペットの女性は奥方で、
夫婦でええ感じで音楽を演っていることが伝わってくる。

その世界では、それなりに知られてはいるが、
まだまだ一般の人には知られていないだろう。
そのソエジマさんのインスタグラムを読んで驚いた。

テレビの取材を受けたらしいが、その中で
ある外国人アーティストが、今注目している
日本人ギタリストとして、ソエジマさんの
名前を挙げたことを知らされる。
その外国人アーティストが、
なんと エリック・クラプトン。

そのことを報告するソエジマさんの YouTube も
観たが、感極まって涙するソエジマさんに、
私ももらい泣きしてしまった。

エリックは、世界中のギタリストを SNS で
チェックしているらしい。
来日中なので「日本人で注目している
ギタリストはいますか?」と訊かれ、
ソエジマ氏の名前を挙げたのだという。

ソエジマさんのテレビの取材の様子は、
すでに放映されたようで、私は観ていないのだが、
クラプトンが、名前を挙げただけで、
その前後で世界が大きく変わってしまうのが想像できる。
とたんに知名度が上がっただろうし、
これからもっと注目されることだろう。
仕事も増えるかも知れない。
いや、そんなことは重要ではない。
一番は、彼自身にとって、音楽を続けてきた意義、
そして大げさではなく、彼の人生が一瞬にして
トランスフォームしたことだろう。
その前後で何も変わっていないのに大きく違う。
クラプトンのひと言が彼の人生を
どれだけ力づけるか計り知れない。
このことが、日本のアマチュア・ギタリストを
どれほど励ますか計り知れない。

人生ってこういう期待を遥かに上回ることが
起きるんやな。
それも、狙ってできることじゃないこと。
それは、コツコツと地道に積み重ねてきたからこそ。

なんかええ話や。
私には全く関係ないのに、嬉しい。
ソエジマさん、おめでとう。


[ 参考動画 ]
信じられないような出来事が起きました

Toshiki Soejima : "Tokyo" Chill Session at COTTON CLUB





2025.4.21

ERIC CLAPTON
エリック・クラプトン 第五夜




80歳のエリック・クラプトン来日公演の第五夜。
8回のうち5回が終わってしまった。

今日の席は「アリーナ B-5 81番」。
今までの中では、一番ステージまで近い。
アリーナ席は、前後に3ブロック、
左右に11ブロックに分かれている。



図の通り、A-6、B-6、C-6が真ん中なのだが、
今日の私の席は、B-5ブロックの最後列の左端。
中央よりのブロックで、まあまあ良い席だった。
今日の見え方は、こんな感じ。


開演前



さて、今日はセットリストにまたまた変更があった。
アコースティック・セットで今まで4公演で
演奏されなかった『Driftin' Blues』が加わった。
そして、毎回演奏されていた『The Call』がなくなった。
『The Call』、『Motherless Child』も演奏されずで
1曲減り、合計15曲になった。
4月14日の第一夜が 17曲演奏されたことを
思うと2曲減ったことになる。

考えてみれば、途中アコースティック・セットで
座るとはいえ、それ以外は1時間以上立ったまま、
しかも4キロほどあるギターを抱え、
声を張り上げて唄うのだから、いくら元気でも
80歳にはそれなりに負担だろうと思う。
唄っている時は、そうでもないけど誰かがソロを
演奏中のエリックの表情は、つらそうにも見える。
残りの3公演を無事に乗り切って欲しい。

『The Call』は好きな曲なので聴けなかったのは残念。
この曲は、エリックの曲だとばかり思っていたら、
(エリックが作者だと書いているサイトもある)
ボブ・ニューワースという人の 1999年の曲だった。
歌詞は確かに同じだけど、私には
全く違う曲のように聞こえるんやけど。

Bob Neuwirth - The Call

Eric Clapton - The Call

観客の年齢層が高くなってきているのか、
『Cocaine』まで立つ観客は、ほとんど見当たらない。
初日は『Cocaine』が始まると、アリーナは
総立ちだったように見えたけど、2日目以降は、
『Cocaine』が始まっても立つ人はちらほら。
歓声はあるので、盛り上がっていないわけではない。
『Cocaine』が終わると、スタンディングオベーションに
なるしね。
ただ、以前はもっと早くに立ち上がって
いたような気がするねんけど どうだろう。

今日は、ギターについて注意深く観たので書いておこう。
エリックは、全ての曲で基本的にセンター PU で
弾いており、私が気付いた限りでだが、
『Hoochie Coochie Man』のソロで リア PU を
『Old Love』のソロでは、フロントからセンター、
そして リア と PU を変えていった。
『Little Queen of Spades』と『Cocaine』でも
ソロ中に リア PUを使用。
ミドブーストは、ソロの時にのみ上げているように見えた。

今日のドイルは、ほとんどの曲でチェリーの ES-335。
『Hoochie Coochie Man』でナチュラルの ES-335。
剥げ剥げのストラトキャスターは、
『Cross Road』と『Cocaine』で使用。
しかし、今日気付いたことがある。
それは、チェリーの ES-335 が2本存在していること。
チェリーからチェリーに持ち替えた時があって、
その時に発見したのだが、ピックガードが、
下に付いているのと、上に付いているのがあるんだ。
今日多くを弾いたのは、ピックガードが下に
付いているタイプ。

それから、前回、前々回にエリックの
OOO(トリプルO)が、マーティンではないと
書いたのだけど、ここへきて、あれはマーティンの
「OOO-42K Goro's」だという情報を得た!
YouTube で楽器屋さんが話していたんだ。
このモデルは39本の限定品であったらしい。
「Goro」とは、レザークラフト「goro’s」の高橋吾郎氏。
エリックと交流があった人のようで、
藤原ヒロシ氏の監修のもと、マーティンで
作られたモデルということまで分かった。
ギターのボディ内部には、エリックとゴロー氏の写真、
そして、エリックと藤原ヒロシ氏のサインがある。

OOO-42K Goro's



ネットで拾ってきた画像

このインレイは、「goro’s」のマーク。
エリックが今回使っているのは、どうもヘッドの
インレイがこれではないような気がする。
次回もっと注意して見てみようと思う。

(2025.4.24 追記・訂正)
エリックの使用したOOOタイプは、マーティンの
「OOO-42K Goro's」であることを確認しました。
ヘッドのインレイは、「goro's」のマークでした。



さて、エリックは、この来日公演が終わると、
5月の後半からイギリス4公演(うち3公演は
Royal Albert Hall)、イタリア2公演、
フランス2公演の欧州ツアーだ。
そして、9月にはアメリカを数か所周る予定になっている。
まだまだ元気に続けて欲しい。


[ MEMBERS ]
Eric Clapton (g,vo)
Nathan East (b, vo)
Sonny Emory (dr)
Doyle Bramhall II (g,vo)
Chris Stainton (key)
Tim Carmon (key)
Katie Kissoon (vo)
Sharon White (vo)

@ 武道館

[ SETLIST ]
( Electric set )
01. White Room
02. Key to the Highway
03. I'm Your Hoochie Coochie Man
04. Sunshine of Your Love
( Acoustic set )
05. Driftin' Blues
06. Kind Hearted Woman Blues
07. Nobody Knows You When You’re Down and Out
08. Can't Find My Way Home
09. Tears in Heaven
( Electric set )
10. Badge
11. Old Love
12. Cross Road Blues
13. Little Queen of Spades
14. Cocaine
( Encore )
15.Before You Accuse Me





2025.4.22

ベアフットシューズ

先日読み終えた書籍『歩く マジで人生が変わる習慣』
(池田光史 著)の影響で、ベアフットシューズや
ミニマリストシューズと呼ばれる靴に興味を持った

ベアフットシューズも値段が様々あるが、
ネットで試着なしに高価なものを買うのは
考慮があるので、試しに Amazon で
HOBIBEAR というブランドの安いものを買ってみた。
(3,192円税込)



ベアフット(barefoot)とは「裸足」の意味で、
ミニマリストとは、余計なものを削ぎ落としたという意味。
つまり、両方とも意味するところは、
現代の靴に付加された余計な要素を取り除き、
裸足で歩いているかのような靴ということだ。

具体的にほ、かかとが高くないこと
(かかととつま先の高低差がないものを
「ゼロドロップ」という)や
クッション性が抑えられていること、
靴底が柔らかく自由に変形すること、
そして靴の形が足の形をしている点だ。


靴底が柔らかい

現代の、特にファッション性を追い求めた靴は、
先が尖っていて足の形をしていない。
「現代の纏足(てんそく)」とまでいう人もおり、
履き続けると外反母趾になることもあるようだ。

またクッションやかかとが少し高いことは、
歩いたり走ったりするのに楽なのだがその分、
足の筋肉を使わないというデメリットがある。
特にかかとから着地してしまう靴は要注意だと、
件の本には書いてあった。

これら靴の進歩は、本来の人間の足の
ポテンシャルを充分に引き出さないことが分かってきたのだ。
といって、現代的な靴に慣れた人が
いきなりベアフットシューズで長距離を歩くと、
これはこれで足を痛める原因になりかねないらしい。
クッションのないことに徐々に
身体を慣らす必要があるということだ。

そういうわけで、履きなれていないのに
ベアフットシューズでいきなりの長距離ウォークや
ジョギングは危険なので、慣れるまでは、
様子を見ることにして、少し歩いてみた。

最初の印象は、小中学校の上履きを思い出した。
そういえば、上履きはゼロドロップだっただろう。
履き心地は、足の指が自由で楽だ。
しかし、足の裏に着地した時の衝撃がダイレクトに伝わる。
確かにこれでいきなり走ったりしたら、
故障の原因になりそうだ。
それだけの衝撃を靴のクッションがやわらげてくれて
いるということだが、それは人間の持つ本来の
力を発揮させていないことでもあるんだな。

産業革命以前の人間は、
一日に3時間も座っていなかったらしい。
狩猟採集民だった頃は、一日に15キロは
歩いていたらしい。
それが今や睡眠時間よりも長い時間、
座っている人もいる。
身体はそういう風に作られていなかったのに。

私もデスクワークが多かったし、今も
PC の前に座っている時間がそれなりに長い。
歩かねば。





2025.4.23

とんき

2014年に痛風を発症して以来、とんかつは
ほとんど食べなくなったが、たまに食べたくなる。
特にとんかつを食べると尿酸値が上がるわけでは
ないのだけど、食生活を見直して、
なるべく食べないようにしていたんだ。
ビールもその一つ。

目黒にあるとんかつの「とんき」。
以前にも利用したことがあるが、
もう10年以上前だと思う。
その「とんき」に久しぶりに行ってみた。

前に行った時は、ロースかつ定食、
ヒレかつ定食が 1,800円だった覚えがある。
1,800円でもお安くはなかったが、
それが今や2,500円になっていた。
まぁ何もかもが値上がりしているので仕方がない。
それでも、満席で並ばなければならなかったよ。
その日は土曜日の19時半ということも
あったかも知れないけど、数ヶ月前に
前を通った時は外まで並んでいたから大繁盛店だ。
今日は外に並ぶほどではなく、店内で座って並んだけど。
外国人のお客さんも多い。

ヒレかつ定食(2,500円税込)


今度は、ロースを食べよう。

店内で座って待っている時、隣にいた若い男性の
二人組の片方が、とんきは初めてらしき友人に
色々説明していた。
「(この店は)タマゴを割るまでに3年、
とんかつを揚げるようになるまでに10年かかる」とね。
ホンマかどうか知らんけど。

店内のオペレーションを観ていると
無駄がない、というか素晴らしい。
長椅子に座って待つ店は、来店の順に並んで
座っていて、お客さんが席に着くと 待っている人は
移動していくパターンが多いが、この店は移動しない。
入店すると先にオーダーを済ませるのだが、
空いている席に座るので、座って待っている人は、
来店の順番通りではないのだ。
でも、マネージャーらしき人が、順番を覚えているようで、
ちゃんと順番通りに座らせていく。
これは中々でけへんで。





2025.4.24

彼女は頭が悪いから
姫野カオルコ 著




久しぶりに小説を読んだ。
2019年に柴田錬三郎賞を受賞した、
『彼女は頭が悪いから』。
著者は、姫野カオルコ。

2016年に起きた東大生5人による他大学の
女子学生への性暴力事件がモデルになっている。
その性暴力のシーンは、
嫌悪感で読み続けることがイヤになる。
5人は東大生であるがゆえに屈折し、
人の気持ちが分からず、女性をモノのように
扱う様子が描かれている。
非常に東大(生)のイメージが悪い。
しかし、この小説は東大ではない、
架空の大学では、成り立たない。
それだけ日本では「東大」が特別な
ブランドであるということだろう。

読み進める中で感じたのは、
東大生をこんな風に書いたら、
いくらフィクションだとはいえ、
東大から、あるいは東大生から
クレームが付くんじゃないかということだった。
読後、調べてみると、
佐藤知一さんという方が書いた書評に、
本書刊行の数ヶ月後に開催された
東大駒場キャンパスでのブックトークの
シンポジウムで、登壇した東大の教官数名が、
本作にはリアリティがないと、些末な事実誤認を
批判したことが書かれていた。

佐藤さんは、
「姫野さんはシンポの冒頭で、『この小説は
フィクションであり、東大を紹介するために
書いたものではない』と、わざわざ説明している。
だが、なぜ東大の人たちは、教員も学生も
口をそろえて、あんなに怒っていたのか」
と書いている。

あゝやっぱり、東大側は気に入らなかったんだな、と思った。
それはある意味で正常な反応だろう。
東大生男子全員か、この小説の5人のような訳はない。
もっと人間的で、まとも人格の人もいるだろう。
一方で、こんな事件を犯すヤツらは、
東大にも東大でなくてもいるだろうと思う。
が、この小説は東大である必要がある。

しかし、その書評を読み進めると、
ことはそんなに浅くないことに気付いた。
その書評を読んで欲しい。

わたし達は皆、頭が悪いから

私は、大学に行っていない。
最終学歴は専門学校なので「短大卒」扱いらしい。
若い頃は(今もだろうけど)男子が行く短大なんて
なかったので、この「短大卒」という響きが、
何となくカッコ悪いと思っていた。
無理して大卒に近づけようと言ってるみたいに思えて、
高卒といった方が潔いと思っていた。
元々学歴に興味がなく、お勉強もキライで、
良い会社に就職したいなどと思ったこともないので、
たまに目にする真面目な
「学歴で、結婚相手を選びますか?」
というような問いに対し、真意を測りかねていた。
そういう人は、私を結婚相手に選ばないから、
関係ないねんけど、誤解を恐れず書くなら、
アホちゃうかと思う。
向こうは向こうで私のことを「アホちゃうか」と
思っているのかも知れない。

しかし、学歴は私の知らないところで
かなりのパワーを持っているらしい。
例えば会社内で、自分と同じ大学を
出ている後輩を引っ張るとか、あるらしい。

以前、知り合いだった、東大に行きたくて
行けなかったK大学卒の会社の社長さんは、
当時すでに60歳ぐらいだったけど
何十年も東大に行けなかったことを
コンプレックスに思っているようだった。
あんなに社会的に立派に成功しているのに。
つまりその裏側は、東大生はそれだけ優越感を
持っているということでもあるのだろう。

また、別の知り合いは、お父さんが東大卒だった。
お父さんは「東大以外は大学ではない」と
言うような人だったらしい。
その人は、父親に(東大に?)コンプレックスを
抱き続け、父親が年老いて扶養家族になった時に
父親に「勝った」と思ったそうだ。

私は、「学歴に興味がない」と書いた。
そのくせ「短大卒」という響きが、
何となくカッコ悪いと思っていた。
興味がないのなら、どうでも良いはずである。

「学歴」は、学歴に関係なく生きてきた私にさえ
何らかの影響力を持っていたようだ。

そして、この小説は「学歴」というより、
もっともっと根深いことについてである。

姫野カオルコさんの小説は、初めて読んだが、
人間の心理や無意識のえぐり方が上手いと思った。
他の小説も読んでみたい。

一点、本作の中で 2014年に関して
「ジェフ・ベックは東京ドームの公演で
何万人もの観客をスタンディングさせていた」
という文がある。
そのコンサート会場は東京ドームではなく
「東京ドームシティホール」なんだな。
私は、そのコンサートを観ているので間違いない。
「東京ドームシティホール」のキャパは
3千人程度で、ジェフのコンサートは3日間
行われたけど、合計しても1万人に足りず、
「何万人もの観客をスタンディングさせていた」
というのは、事実誤認と言わざるを得ない。
まあ「フィクションですから」と言われれば、
それまでだけど。
ええ、私も些末な事実誤認を
見逃せない質(たち)です。


★★★★☆




ERIC CLAPTON
エリック・クラプトン 第六夜




エリック・クラプトン来日公演の第六夜。
あっという間に6回目が終わってしまった。。
追加公演が決まらなければ、
今日が最終公演だったところだ。
一昨年は、6公演だったしね。
この追加公演というのは、どのあたりで
決定するんだろうか。
もともと予定されていたのだけど、いきなり
8公演売り出すとチケットの売れ行きが
鈍るのであと出しにしているのか、それとも
本当にチケットの売れ行きを見てから
決定しているのか、どうなんだろうな。

そんなことはさておき、本日のエリック。
とても良かった。
今日までの6公演の中では一番良かった。
最後の曲が終わった時の感動は、
今までの5回にはなかったものだった。

席は、アリーナ B-11ブロックの3列目の右端。
ちょっと角度はあるけれど、そんなに見にくくない。


開演前

エリックは、ほとんどMCをしないし、
「アリガトウ」や「Thank you」もあまり言わない。
以前はもっと言っていたような気がするんだけど。
無言で始めることも多いのだが、今日はステージに
登場した際、「コンバンハ!」と元気に挨拶した。

1曲目『White Room』が始まると、
(今日はいいぞ)という予感が走った。
実際、『White Room』のギターソロは、
今日が一番冴えていたと思う。
『Key to the Highway』
『I'm Your Hoochie Coochie Man』
『Sunshine of Your Love』
と続くがやはり今日は冴えている。

アコースティック・セットでは、毎回少しずつ
セットリストが違っていたけど、今日も。
『Tears in Heaven』では今日が初めて、
客席にスマホライトが揺れた。
いつもは『Winderful Tonight』で
そうなるんだけど、この3公演
『Winderful Tonight』を演らなかったので、
誰かが『Tears in Heaven』で仕掛けたのかな。

そして、エレクトリック・セットに戻ってからも
調子が良い。
なんと、初日と2日目には演奏されたが、
そのあと3回は演らなかった
『Winderful Tonight』が復活。
エンディングのソロでは、ドイルとユニゾンし、
最後のフレーズをハモるというアレンジで来たヨ。

そのあとはいつも通りで、前回の15曲から
16曲に増えた。
減ることはあっても増えることはないだろうと
思っていたので、これは嬉しい誤算。

本編最後の『Cocaine』は、今日はアリーナ総立ち。
でも、始まったらばぁっと立つんじゃなくて、
パラパラ、バラバラという感じやけど。
演奏後のエリックの表情が良い。
なんというか、とても若々しい。
その姿になぜかウルウル。
そして、エリックはネイイザンとハグ。
アンコールは、やはり『Before You Accuse Me』。
いやあ、良かったよ。
本日も大満足。

そうそう、キーボードのティム・カーモンは素晴らしいよ。
数曲で長尺のソロがあるけど、今までハズレのソロがない。
たぶん、クリス・ステイントンよりもドイル・ブラムホールII
よりもソロが長い。
エリックがティムを買っている証拠だとも思う。

ギターの話。
エリックのストラトは 一見ブラックだが、
モニター上では 光のあたり方によっては、
初日に書いた通り濃い紺色に見えることもあった。
私はもしかしたら、エリックが以前にも
使ったことのあるメルセデス・ブルーかも
知れないとも思っていたんだ。
しかし、今回のストラトについて触れている
YOUNG GUITAR の記事を発見。
そこには、こう書かれている。

手にしたフェンダー・カスタム・ショップ製の
シグネチュア・ストラトキャスターは一瞬
ブラック・フィニッシュ(ブラッキー)にも見えたが、
エリック所有のフェラーリと同じ ブルー・スコッツィア
というカラーで、2023年の “Crossroads Guitar
Festival” の時にマスター・ビルダーの
トッド・クラウスが製作したものと思われる。


まあ普通の人が見たら、「黒」やけどな。

前回に書いた「アコギはマーティンか?」問題。
ヘッドのインレイが手がかりだと分かったので、確認したよ。
確認の結果。
はい。マーティンでした。
間違いなく「goro’s」のマークでした。
なので、あのギターは OOO-42K Goro's です。
今まで「マーティンではない」などとええ加減な
ことを書いて申し訳ない。
お詫びして訂正します。
でも、スッキリして良かった。
良く考えたら「黒澤楽器店 MARTIN GUITAR Presents」
のコンサートでマーティンを使えへんなんてあり得へんわな。

それから、何度かドイルの剥げ剥げの
ストラトキャスターについても触れてきたが、
ネットで拾ってきた画像ではこんな感じ。





このようにボディの上部の塗装が剥がれて
しまうのは、ドイルのアップピッキングが
激しいからだろうと思う。
同じ個体かどうか分からないのだけど、
こんな写真も見つけた。



ドイルが若いので、何年も前と思われる。
ストラトの塗装はまだ現在ほど
剥がされていないのが分かる。

今日もドイルのメインギターは、
チェリーレッドのギブソンの ES-335。
(ピックガードが下にあるタイプ)
『Hoochie Coochie Man』の時、
ナチュラルの ES-335 でスライドのソロをしたので、
もしかしたらだけど、オープン・チューニングなのかも知れない。
『Can't Find My Way Home』では、
チェリーレッドの ES-335 のピックガードが
上にあるタイプを使用。
『Little Queen of Spades』、『Cocaine』で
前述の剥げ剥げストラトキャスターを使用。


ステージ上に映されるモニターに時々、
ドラムのあたりから、エリックの後ろ姿を映している
映像が出る。
エリックの後ろ姿の向こうに武道館の観客が
映っているんだ。
曲のエンディングでは、振り向いたエリックが
ソニー(Dr)を見つめ、最後の音を合わせる。
私はそのアングルが大好きだ。
絶対にステージからしか見られない光景。
それは、若い頃に夢に見た、
永遠の憧れの光景なんだ。


[ MEMBERS ]
Eric Clapton (g,vo)
Nathan East (b, vo)
Sonny Emory (dr)
Doyle Bramhall II (g,vo)
Chris Stainton (key)
Tim Carmon (key)
Katie Kissoon (vo)
Sharon White (vo)

@ 武道館

[ SETLIST ]
( Electric set )
01. White Room
02. Key to the Highway
03. I'm Your Hoochie Coochie Man
04. Sunshine of Your Love
( Acoustic set )
05. Kind Hearted Woman Blues
06. Golden Ring
07. Nobody Knows You When You’re Down and Out
08. Can't Find My Way Home
09. Tears in Heaven
( Electric set )
10. Badge
11. Old Love
12. Winderful Tonight
13. Cross Road Blues
14. Little Queen of Spades
15. Cocaine
( Encore )
16. Before You Accuse Me


初日のエントリーにこう書いた。

MCでちょっと喋ったんだけどほとんど聞き取れず。
「Mr. Udo」「opportunity」という言葉が
聞き取れたので、たぶんだけど ウドーさんの
おかげでまた来日できた、という話だったのかな。


今回 紹介したYOUNG GUITARの記事に
そのMC について
「2023年に亡くなったウドー音楽事務所の
創業社長、有働誠次郎氏への感謝を述べてから」

とありました。





2025.4.25

東京フィルハーモニー交響楽団
第169回東京オペラシティ定期シリーズ

指揮:尾高忠明(桂冠指揮者)
ピアノ:舘野 泉




エリック・クラプトンのコンサートに挟まれている今日、
クラシックを聴きに行ってきた。
東京フィルハーモニー交響楽団の
定期演奏会で、ピアノが舘野 泉さん。

昨年11月に東京オペラシティ コンサートホールに
「オーケストラ・プロジェクト 2024」という
コンサ―トを聴きに行った。
その時、会場で配られたチラシの中に
今日のコンサートのものがあった。
それだけなら、聴きに行こうとまで思わなかったかも
知れないけど、その時、ちょっとびっくりするような
ことがあったんだ。
それについては、こちらを。

2024.11.29 舘野さん

で、あれから5か月近く経って今日を迎えた。

今回はS席ではなくC席を買った。
なぜC席にしたのか覚えていないんだけれど、
たぶんエリック・クラプトンにお金をかけ過ぎたので
自粛したのかも知れない。
3階バルコニー席の2列目だったのだけど、
1列目と高低差があり、1列目が視界をふさぎ
ステージの4割ほどが見えない席だった。
下手側だったので、指揮者の出入りは見えず、
ピアノの館野さんも身を乗り出してギリギリ見えるという席。
チケット代はケチるものではないと思った。

まずは、オーケストラで尾高惇忠(あつただ)作曲の
『音の旅』より3曲を演奏。
尾高惇忠(故人)は、今日の指揮者の
尾高さんのお兄さん。
なんとも親しみのあるメロディだったな。

続いて、ラヴェルの『左手のためのピアノ協奏曲』。
この曲は、ラヴェルが第一次世界大戦で右手を
失ったピアニストの依頼を受けて作曲したもの。

舘野さん(88歳)は、65歳の時に脳溢血で倒れ、
右半身に麻痺が残るも、2年後には、
左手だけのピアニストとして復帰を遂げた。
10年前に舘野さんのことを知った衝撃を
ここに書いている。

2015.3.19 左手のピアニスト

舘野さんのピアノを生で聴くのは10年ぶりだったので
楽しみにしていったのだが、ピアノ協奏曲が始まって
しばらくして、眠気で意識が朦朧としてきた。

休憩の後のエルガーの『交響曲第3番』も
半分以上、眠気で聴けなかった。
ここのところ、エリックのコンサートでは
眠くなることなど全くなかったのにな。残念。

エルガーの『交響曲第3番』は、いわくのある曲で
未完成のまま本人が死んでしまった。
現在では、エルガーの死後、60年以上経って、
アンソニー・ペインという作曲家が、
残されたスケッチを元に仕上げたものが演奏される。

オーケストラのアンコールはなかった。
ピアノ協奏曲の後、舘野さんがアンコールを
されたからだろうか。
鳴り止まない拍手に何度目かの登場で、
尾高さんは「疲れた。よくこんな曲書いたと思う」と
言ってたので、エルガーの『交響曲第3番』は、
棒を振るのも大変なんだろう。
尾高さん、77歳だ。




[ 出 演 ]
東京フィルハーモニー交響楽団
指揮:尾高忠明(桂冠指揮者)
ピアノ:舘野 泉

[ プログラム ]
尾高惇忠/『音の旅』(オーケストラ版)より
第1曲「小さなコラール」
第5曲「シチリアのお姫さま」
第15曲「フィナーレ~青い鳥の住む国へ~」
ラヴェル/左手のためのピアノ協奏曲〈ラヴェル生誕150年〉
エルガー/交響曲第3番(A. ペイン補筆完成版)

@東京オペラシティ コンサートホール





2025.4.26

ERIC CLAPTON
エリック・クラプトン 第七夜(追加公演1)




エリック・クラプトン来日公演の第七夜。
いよいよ追加公演のスケジュールに入った。

本日の席は、アリーナ B-6 の106番。
Bブロックの最後列だが、ど真ん中で、
前から数えて 21列目。
真正面にエリックが立っている。


開演前



隣のおにいちゃんが『Wonderful Tonight』を
大声で唄うのは、やめて欲しかったな。
これ、合唱する曲ちゃうしな。

セットリストは、一昨日と全く同じ 16曲だった。
今回は、毎回少し違っていたので、
同じセットリストは、初めて。

一昨日、6公演の中で一番良かったと書いたが、
今日もそれに引けを取らない出来だった。
後半ややミスが目立ったのだけど、
そのミスも含めて今日は良かったと思うね。
『Badge』、『Old Love』のソロは
今日も素晴らしかった。

今日のエリックは、7日間で一番多く
「アリガトウ」「Thank you」を言ったような気がする。
ネイザンは「原宿」と漢字で書かれたTシャツ。

やはり、もう『Layla』は聴けないのだろうな。

来日中のエリックをテレビ局がインタビューし、
先週、放送されたけれど 私は知らなかった。
ここにも書いたけど「日本人ギタリストで
注目している人は?」と聞かれ、
「ソエジマトシキ」と応えたというインタビューだ。
(厳密には名前を思い出せなくて
あとから連絡したようだ。)
そのことを知ってすぐに、番組が YouTube に
アップされていないか検索したのだけど、見つからなかった。
そのインタビューが今日、YouTube にアップされた。

「若さの秘訣は?」と訊かれ、
「たくさん歩く」「ウドーさんが教えてくれた深呼吸」
「瞑想」と答えている。
やっぱり歩かなあかんな。
また「今回の来日は、ウドーさんの追悼のため」
というほど、ウドー氏との関係は深いものであったようだ。
エリックの日本好きは、ウドー氏の存在が
大きいんだろうなと思った。
また、日本の侍映画のオタクぶりも伺えるなど、
興味深い話が満載だ。
  ↓
【情報7daysニュースキャスター】
ギターの神様!エリック・クラプトンを直撃


インタビュアーの質問の内容に批判もあるのだけど、
テレビ局のインタビューだから、
あまりマニアックになるわけにもいかず、
ある程度は仕方がないと思う。
確かにビートルズ関連の質問は私も多すぎると思うけど。
いずれにせよ、雑誌の活字ではなく、生で喋る
エリックのインタビューは、とても貴重だと思う。


ところでステージの上の楽器を見るとこんな感じだ。
ギター/Fender、Gibson、Martin
ベース/Yamaha
ドラム/Yamaha
エレピ/Yamaha
オルガンは、ハモンドかな。
シンセサイザーは、クリスとティムと1台ずつだが
詳しくないので分からない。
それにしても、こう見ると ヤマハはスゴイな。




[ MEMBERS ]
Eric Clapton (g,vo)
Nathan East (b, vo)
Sonny Emory (dr)
Doyle Bramhall II (g,vo)
Chris Stainton (key)
Tim Carmon (key)
Katie Kissoon (vo)
Sharon White (vo)

@ 武道館

[ SETLIST ]
( Electric set )
01. White Room
02. Key to the Highway
03. I'm Your Hoochie Coochie Man
04. Sunshine of Your Love
( Acoustic set )
05. Kind Hearted Woman Blues
06. Golden Ring
07. Nobody Knows You When You’re Down and Out
08. Can't Find My Way Home
09. Tears in Heaven
( Electric set )
10. Badge
11. Old Love
12. Winderful Tonight
13. Cross Road Blues
14. Little Queen of Spades
15. Cocaine
( Encore )
16. Before You Accuse Me





2025.4.27

ERIC CLAPTON
エリック・クラプトン 第八夜(追加公演2)
< 最終公演 !>



エリック・クラプトン来日公演の第八夜。
ついに最終公演が終わってしまった。

昨日のグッズ売り場は、開演40分ぐらい前だったと
思うけど、Tシャツや小物は売り切れており、
パンフレットとボストンバッグしか売っていなかった。
今日は、やはり開演40分ぐらい前だけど、
もうパンフレットしか売ってなかったわ。
追加公演だから仕方ないのかも知れないけど、
Tシャツとか欲しかった人は、残念だったろうな。
私は、初日と2日目にTシャツとマグカップを買ったよ。
年を取ってきて、もうこういうモノは、要らんように
なったと思いながらも、なんか欲しいねんな。
大分買わなくなったけど。

さて、今日の席は、S席 スタンド1階 南A列 13番。
南というのは、ステージの正面なのだ。
その1階1列目。


開演前



確か TOTO や QUEEN をこの南1階最前列で
観たことがあるが、ステージまではそれなりの
距離があるものの、個人的には武道館で
一番見やすい良い席だと思う。
最終日がこの席だというのもなんだか嬉しい。

さてライヴはどうだったかというと、
セットリストは昨日と全く同じ。
最終日ということで私が気持ちが入って
いたのかも知れないけれど、1曲目
『White Room』のイントロのイントロからして
エリックの気合を感じた。
明らかに前7回とは違うフレイズを弾いていたよ。
その流れなので、ソロも初日しか観なかった人が
気の毒なほど、良かった。
総じて、この3公演は、甲乙つけがたい出来だが、
今日は最終公演ということもあってか、
観客のテンションは、一番高かったように思う。

エリックは、8日間通して紺色のジャケットに
黒っぽいパンツ。
シャツは、白の日や青い日があったけれど。

『Sunshine of Your Love』のリフは、
いつもより歪んでいなかったのは、意図的なのかな。

『Winderful Tonight』では今日は、イントロの
あのメロディは、ドイルに弾かせ、エリックは
アルペジオにまわった。

本編最後の『Cocaine』でドイルは、EBOW を使用。
これも もしかしたらレアなことかも。

終演後、深々とお辞儀をするエリックに
なんだか意味不明に恐縮し、感動してしまった。

この2週間に8公演、1回1時間45分として
合計にすると約14時間、エリックと同じ空間で過ごし、
ステージを観て、ギターを聴き、声を聴いた。
ギタープレイには、全盛期に比べて衰えを
否定できないものの、歌に関しては、
80歳とは思えない声だった。
もちろん、それでも40代50代と比べると
本人的にはしんどいのだろうけどね。
それが『Layla』を演らないひとつの理由かも
知れないし。
でも、そんなことは関係ないメッセージを
日本のファンは受け取ったと思う。

25,000円×8公演は安くないけれど、
ロンドンに行くより安いと思って思い切った。
でも、8公演14時間も観るなど、
ロンドンまで行ってもそんなことは出来ない。
エリックが、日本に来てくれたおかげだ。
それは、昨日も書いたけど、ウドーさんという
日本人との関係があってのことでもある。
そんなことは、表面では分からない。
この世界は、知らないところで、知らないことが、
複雑に絡み合って成り立っているんだ。
知らないところで。
知らないことが。


エリック、ありがとう。
たくさんの想い出をありがとう。
素晴らしい音楽をありがとう。
あなたのおかげで、あなたの影響で、
私はとても良い青春を、良い人生を送れたよ。


[ MEMBERS ]
Eric Clapton (g,vo)
Nathan East (b, vo)
Sonny Emory (dr)
Doyle Bramhall II (g,vo)
Chris Stainton (key)
Tim Carmon (key)
Katie Kissoon (vo)
Sharon White (vo)

@ 武道館

[ SETLIST ]
( Electric set )
01. White Room
02. Key to the Highway
03. I'm Your Hoochie Coochie Man
04. Sunshine of Your Love
( Acoustic set )
05. Kind Hearted Woman Blues
06. Golden Ring
07. Nobody Knows You When You’re Down and Out
08. Can't Find My Way Home
09. Tears in Heaven
( Electric set )
10. Badge
11. Old Love
12. Winderful Tonight
13. Cross Road Blues
14. Little Queen of Spades
15. Cocaine
( Encore )
16. Before You Accuse Me


エリックがテレビ局のインタビューで
「日本人で注目しているギタリストは?」
という質問に「ソエジマトシキ」と答えた話は
先日 書いたけれど、ソエジマさん、エリックと
会って話せたんだね。
本当に凄いことです。
こんなことは普通ではないです。

人生本当に何があるかわかりません





2025.4.28

版画家が刻んだ昭和の彩り
―館蔵版画集を中心に―
@昭和館




昨日、クラプトンのコンサートの前に
九段下にある昭和館に行ってきた。
昭和館は、その名の通り昭和に焦点をあてた
様々な展示をしているところ。

大好きな川瀬巴水の作品も展示されて
いるようなので、覗いてみたんだ。
この特別企画展は入場無料だし、
美術館ほどたくさんの展示ではなかったけど、
こんなにたくさんの版画家いたんだと思った。

川瀬巴水の作品は、その中でもやはり
際立っていたと川瀬好きの私には映った。
それ以外では、ノエル・ヌエットというフラン人
版画家の「隅田川」という作品が、
とても繊細で気に入った。
川瀬にも通じるものがある。
他の作品も見てみたい。

他の版画家の作品を観て気付いたのだけど、
私が川瀬やノエル・ヌエットの作品に魅かれるのは
版画なのに版画っぽくない所かも知れない。
例えば、棟方志功のように「THE 版画」というのも
それはそれで魅力があるのは間違いない。
今回展示されている多くの版画が、
一目で版画と分かる作品なのだけど、
川瀬やノエル・ヌエットの作品は、
その版画っぽさがあまりない。
絵画のようでもあるけど、ちょっと違う。
そのタッチが魅力的なのかなと思った。

ノエル・ヌエット『隅田川』



Wikipedia より。
ノエル・ヌエット
(Noel Nouet、1885年3月30日 - 1969年10月2日)は、
フランス、ブルターニュ出身の詩人、画家、版画家。
40歳から75歳までの約36年間、日本で
フランス語教師として方々の学校で教える傍ら、
詩集の出版をはじめとして様々な執筆活動を行った。
晩年はフランスに戻り生涯を終えた。84歳没。

日本にとても縁のあった人でした。





2025.4.29

アサド兄弟



22年ぶりの来日のアサド兄弟。
結成60周年のブラジル出身の兄弟ギターデュオだ。
兄のセルジオは現在ニューヨーク在住。
弟のオダイルはベルギー在住。
25日の東京公演は、行けなかったので、
勢いで名古屋のチケットを買った。
アサド兄弟を観るのは初。
たぶんもう機会がないかも知れないので、
観ておきたいとは思ったのだけれど、
彼らの大ファンという訳でもないので、
果たして名古屋まで行ってどうだろうと
やや不安もあり、睡魔の襲来で
聴きたいのに爆睡で終わるという最悪の事態も
想定の上、名古屋まで行ってきた。

結果、往復約5時間と交通費を
かけてでも行って良かった。
素晴らしい演奏で、大満足し最後には
感動をもらって終わった。
途中、数曲うとうとしてしまったのは、
もったいなかったけど。

会場は、電気文化会館 ザ・コンサートホール。
キャパ400人弱のホールで、前から8列目
(真ん中より前)という良い席だった。
PAなしの生音のみね。


開演前

前述の通り、この兄弟デュオは、今年結成60年!
ご本人たちも「今年はスペシャルな年」と言っていたよ。

兄弟という血の繋がりの上に60年という年月が
そうさせたのか、はたまた結成当初から
そうだったのかは分からないけど、
私にはふたりの演奏とは思えなかった。
ひとつの魂が、ふたりの肉体を使って
演奏している、とでも言えば良いかな。
通常の演奏では「相手を良く聴いて」なんてことを
言われるけど、聴こうが、聴くまいが、
ひとつの魂が演奏しているので、合わない訳はないのだ。
ふたつのギターが、完全にひとつの音楽を
奏でているという感じだった。

一応、弟のオダイルがメロディを、兄のセルジオが伴奏を
弾く場面が多かったけど、ゴンチチの様に明確な
役割分担ということでもなく、時には入れ替わったり
しながら演奏は進んだ。
指板を見ながらなので、やや俯き加減なオダイルに対し、
セルジオは、時折り視線を上げて宙を見つめる。
さながら音楽の妖精を探しているのか、
追いかけているのか、見つめているのか、
何とも言えぬ表情で宙を見ていた。

曲は、オリジナルから、ピアソラやブラジルの
作曲家の音楽。
一応、彼らはクラシックにジャンル分けされて
いるようだけど、私にはクラシックというより南米音楽。
あ、これ何かに似てると思ったら、アルゼンチン出身の
Guillermo Rizzotto(ギジェルモ・リソット)だったり。

予定のプログラムを終了し、一旦舞台袖にはけると、
鳴り止まぬ拍手に応えて登場。
ギターを持たずに出てきたので、
あゝアンコールはないのか と思った。
が、それでも鳴り止まない拍手に応えて
今度はギターを持って登場しアンコール。
その曲が終わると、一旦舞台袖に下がった後、
再び拍手に応えて ギターを持たずに登場。
が、それでも鳴り止まない拍手に
またギターを持って登場し、2度目のアンコールを演奏。
その曲が終わると、またもやギターを持たずに登場。
さすがにもう終わりだろうと思った客が
パラパラと立ち始めるも、三たびギターを持って登場。
なんと、3度目のアンコール!
最後は、日本の映画のために書いた
「組曲『夏の庭』より さようなら」 。
きっと疲れているだろうに「明日、家に帰るんだ」と
言いながら、3度ものアンコールに応えてくれた。
それだけ、拍手喝采が大きかったということでもある。
彼らも観客にあれだけ熱烈に拍手されて
本当に満足だっただろうな。

プログラムは後述するが、本編の後半2曲以降は、
アンコールも含めて楽譜なしね。
今年、73歳のセルジオと69歳のオダイル。
こういう音楽は、何歳ぐらいまで演奏できるんだろうか。
ジャズやロックなら、80歳を超えても曲を選べば
演れるだろうが、技術的に衰えたら、
もう演奏できない音楽だと思う。
これは、本当に観られて良かったよ。


[ プログラム ]
1. ピアソラ:《トロイロ》組曲より バンドネオン、シータ
2. セルジオ・アサド:3つのブラジルの情景
(1) カランゴのご紹介
(2) オウロ・プレット
(3) チコ・レイのコンガーダ
3. ニャターリ:ワルツとコルタ・ジャカ
4. セルジオ・アサド:組曲《リオの1週間》
(1) 月曜日のチャカラ・ド・セウ
(2) 火曜日のコルコバード
(3) 水曜日の現代美術館 (MAM)
(4) 木曜日のフォホー
(5) 金曜日のラージェ公園
(6) 土曜日のセメンテ
(7) 日曜日のマラカナン
5. ヴィラ=ロボス:ブラジルの魂
6. セルジオ・アサド:ディアンスと3つの時
(1) 北のローラン
(2) シャンソンとローラン
(3) 南のローラン
7. ジスモンチ:パラーソ、やくざなバイヨン
8. セルジオ・アサド:タヒヤ・リ・オーソリナ
(アンコール)
9. セルジオ・アサド:メニーノ (MENINO)
10. アントニオ・ラウロ:ナターリア (NATALIA)
11. セルジオ・アサド:組曲「夏の庭」より さようなら

@ 電気文化会館 ザ・コンサートホール(名古屋)







2025.4.30

ハコウマに乗って
西川美和 著




映画監督の西川美和さんのエッセイを読んだ。
コロナ禍真っ只中(2021年)に公開された
西川監督作品『すばらしき世界』を
一年ほど前にビデオで観た。
色々考えさせられる作品で、鑑賞後のエントリーには、
「西川作品では『ゆれる』が一番好きだったけど、
『すばらしき世界』が抜いたな」と書いた。
それから間もなくこの本を買った覚えがあるが、
数十ページ読んでほったらかしになっていた。
途中で読むのをやめたしまったせいか、
何となくあまり面白くなかった様な印象があったのだけど、
再度読み始めてみたら、なぜ途中でやめたんだろうと
思うほど面白かった。
こういう時、自分は あてにならないなと思う。

本書は、2018年12月から2023年12月までに
ふたつの雑誌に連載されたエッセイを集めたもの。
その時期、2020年から2022年と言えば、
コロナ禍の真っ只中。
エッセイの性格上、時事的な話題も多い。
読みながら、そんなこともあったたなぁと
遠い昔の様に感じる。
喉元過ぎればなんとやら。
とはいえ、ここに記された言葉は、映画監督としての
心情の吐露であると同時に一国民の心境であり、
国民の代表意見でもある様にも思う。
そして、あのパンデミックにおける、ある側面の記録でもある。

西川監督作品は、『ゆれる』、『ディア・ドクター』、
『夢売るふたり』、『永い言い訳』を劇場で観ており、
日本人監督の中では、是枝監督と並んで、
作品をよく観ている監督だと思う。
西川監督は、是枝監督の弟子なので、
人間を描く根底に何か共通項があるのかも知れない。
『永い言い訳』は原作小説も監督の筆によるもので
小説家でもあるわけだ。
『ゆれる』の方は、映画の後に監督自身により
ノベライズされている。
映画監督だけではなく、文学の才能も発揮されている。
エッセイも面白いはずだ。


★★★★☆




珠玉の東京富士美術館コレクション
西洋絵画の400年
名古屋市美術館




昨日は、アサド兄弟のコンサートで名古屋に行った。
コンサートは、15時半ごろに終わったので、
すぐに帰るのはもったいないなと思っていたら、
会場のすぐ近くに名古屋市美術館があり
「西洋絵画の400年」なんて展覧会を開催中
だったので、観に行ってきた。
「東京富士美術館コレクション」なので
名古屋で観んでもええのかも知れんけど。
(東京富士美術館は八王子にある。)

その東京富士美術館のコレクションから
83点が展示されていた。
「400年の歴史」ということで、16世紀から18世紀の
作品も多く、その時代の作品、宗教的な作品や
貴族(?)の肖像画などには、興味がないので
その辺はすっ飛ばして、19世紀後半あたりに
期待していたけれど、残念ながら、
新しい出会いと呼べるものはなかった。
展覧会の楽しみの一つは、今まで知らなかった
(自分が好きな)作品に出会えることだけど。

ゴッホも1枚「鋤仕事をする農婦のいる家」が
展示されていたけれど、あんまり好きじゃない、
暗い絵の時代のだったし、
モネの「睡蓮」が目玉なのかも知れないけど、
展示されていたものは、「睡蓮」にしては
あまり大きくなく迫力に欠ける。(チラシの画像の作品)
「睡蓮」自体をそんなに好きでもないし。

そんな中でもジョアン・ミロというスペインの
画家の「改革」は印象に残った。



これは、確かミロの出身地であるカタルーニャ地方を
描いたとキャプションにあたように思う。
真ん中のヤシの木、乾いたビルの感じが好きだな
手前には人と犬が描かれている。

調べてみると、ピカソっぽかったり、
なんだか子供の絵みたいな作品が多い
この絵は、他のとちょっとタッチが違う。
そして、何と東京都美術館で ミロ展を開催中だ。
これは観に行かなきゃ。



ひとりごと